目次へ戻る   前のページ   次のページ


JR東日本 郡山工場の一般公開で学んだこと

日本大学大学院工学研究科
機械工学専攻
M1年 金岡 喜望

 日本大学工学部は福島県郡山市に所在し、周囲には福島原発などといった工場、または研究所が多く点在しており工学を習得する上では大変恵まれた環境にあります。去る8月29日、郡山市にあるJR東日本郡山工場の一般公開があり、私は気が赴くままに工場を見学してしまいました。もともと私は鉄道車両のメカニズムに興味があり、修論研究についても鉄道車両からは切り離せない材料の強度について研究しています。当日の様子をおおまかに説明しますと車体をクレーンで吊り上げ台車を外す作業をはじめ、運転台の見学、郡山工場で点検する車両の展示など色々な作業を見学することができました。
 また、現在は見ることのできない車両の展示や、車両の構造がどのようになっているかを示す模型なども見学することができました。
 私が一番興味のあったのは台車を分解し車輪を研磨する装置で、何となく日頃試験片を作成する時に使う旋盤によく似ているものだなと感じました。また車輪、車軸のメインテナンスというのは神経を使うもので車軸に関して言うならば1mm以上の傷のついた車軸のまま使用すると、くり返し荷重でもって傷の先端から亀裂が進展し最終的に破断に至ってしまいます。つまり、車軸にはどんな小さな傷もつけることができないのです。ドイツの高速列車ICEが大惨事を起こしたのは記憶に新しく、台車というのは鉄道車両を構成する部品のなかで最も力のかかる部分であることは確かです。そのため、台車の疲労というのは鉄道にとって大変深刻な問題であることを実感しました。実際、日本国内の鉄道車両は走行距離、使用日数などで交番検査、中間検査、全般検査などの検査があります。内容については車両の種類によって検査の仕方がかわってきます。
 このような検査や車両のメインテナンスを行い日頃の鉄道の安全を守るのが鉄道工場の役目であり、一般公開を通して日頃とのような仕事や活動をしているのかをより多くの人に理解してもらうという意味でも今回のような工場の一般公開というのは、これからも更に継続して欲しいものであると見学を終えて感じました。


目次へ戻る   前のページ   次のページ