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全国学生研修会に参加して

相模女子大学2年
馬場 清子

ある日,父が会社から帰宅するなり私に言いました.
 「盛岡に行く気はないか?」
 東北に行くことが,私のかねてからの望みだということを知っていたのです.私はこの突然舞い込んだ話に飛び付きました.ところが,父に渡された日程表に書かれてあったものは,「日本機械学会学生会−第29回全国学生研修会−.」という,見るからに厳めしい文字.女子大で,食物学科管理栄養士専攻に属している私には,機械学会が未知の世界であることは言うまでもありません.当然,見学地や講演会は専門的なもので,それを理解できる知識や技術を持っている人が参加してこそ意義があるのではないかという考えから,参加すべきかどうか迷いはありました.しかし,個人ではなかなか行くことが出来ない施設の見学や,普段とは全く異なった環境での経験がいっぺんに出来る盛岡のスケジュールは,とても魅力的なもので,初めての東北旅行を心待ちにしていました.
 そう思っていたものの,盛岡駅からのバスに乗り込んだ時には,さすがに心の動揺は隠せませんでした.学生の方だけでなく,大学院生,更には教授までいらっしゃって話しに花が咲いているではありませんか!補助席席で小さくなっていた私の耳に入ってくるのは,分からない専門用語ばかり.工場見学の説明も理解できないのに,鋭い質問を次々と浴びせる皆様がとても賢く見え,私は場違いな人物だと思い知ったのです.違う環境に飛び込んでも,比較的すぐ順応する方だと自分では思っていたのですが,思いもよらぬ始まりに先が思いやられました。
 それが拭い去られたのが夕食時の懇親会です.皆様,各地のお酒やお土産をご持参で,お酒の力も手伝ってか,すっかり打ち解けた雰囲気になりました.昼間とは打って変わった様子に目を疑ってしまいましたが,気が楽になりました.
 それからは,本当に有意義に時間を過ごすことが出来ました.見学地での説明が理解出来ず困っていると,親切に教えて下さった方,参加者は女子が私ただ一人ということで気を遣って話しかけて下さった方,心から感謝申し上げております.あんなに厳めしい存在だった「日本機械学会」も,今では少し身近に感じられます.「機械」に対しても同様です.機械に熟知されている皆様のおかげで,今日の日本の産業が成り立っているのですね.皆様のますますの御発展をお祈り申し上げます.
 最後に,全国学生研修会,更に,三十周年記念行事にまで参加出来て,本当にうれしく思っています.


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