CADによる製図 宮城工業高等専門学校 機械工学科5年 伊藤 税 平成元年11月、宮城高専機械工学科製図室に、40台のパーソナルコンピューターが導入され、高学年の製図は全てCADを使用することになりましたその時の機械4年だった私達が、CAD使用の製図のトップバッターとなりました。(5年生は、後期に製図がない)。4年生後期の製図の課題は、”渦巻ポンプ”でした。 この課題の設計書作成が、ややこしく、提出期限前はかなりあわてたものでした。しかし、私を含め、学生達はみな、図面を書く段階になればCADを使用するので、ドラフター使用時よりも、楽に、かつ、早く図面を書くことができるだろうと考えていました。 ところが、実際にCADを使ってみて、みんなパニックになりました。そして、自分達の甘さに気付いたのです。CADは何といっても、融通がきかないのです。手書きならば、細かいところはフリーハンドでやってしまうのですが、CADでは、当然そんなことはできません。また、長さ30mmの線を書いたつもりでも、距離を測ってみると、30.02とかでてきた事もありました。(使い方が悪かったのかも・・・)。 ところで、このような操作上の問題は、”習うより慣れろ”とは良く言ったもので、使い初めてから1ケ月程度でなくなりました。が、もう一つの大きな問題がありました。 その問題とは、CADが使用できる時間でした。 ドラフターの時、締切前は、土曜日の午後から日曜日の朝まで製図を書くというのは、当たり前でした。しかし、CADは、コンピューターです。つまり、先生が、学校にいる時でないと使えないのです。この時間の不足分のしわ寄せは、部品図にいきました。結局、ほとんどの学生は、組立図だけで手いっぱいのようでした。 このように、初めてのCAD使用による製図は、大成功とは言えませんでした。でも、学生の時に、一人1台、思う存分CADを使用できた事は、貴重な経験でした。この経験を提供して下さった、機械工学科の先生一同に感謝したいと思います。 |