報告 |
熱工学コンファレンス2010開催報告 |
今年度の熱工学コンファレンス2010は平成22年10月30日(土),31日(日)の2日間にわたり,長岡技術科学大学で開催されました.熱工学コンファレンスは11月開催が一般的でありますが,当地は11月中旬から天候が悪く,場合によっては寒さが心配されましたので,10月開催とさせていただきました.講演総数は198件で,その内訳はオーガナイズドセッションが12テーマで156件,一般講演が42件でした.また,参加登録者は360名,懇親会参加者は124名でした.講演総数および参加者数もこちらの予想を大きく超えるもので,予定していた部屋数を増やさざるをえず8室で,2日目の午後にもセッションを組み入れて対応しました.何はともあれ,盛況であったことが実行委員全員の安堵と喜びでした.
論文集表紙(大花火・三尺玉) | Ping Cheng先生の特別講演 |
今回のコンファレンスの企画として,上海交通大学のPing Cheng先生に特別講演をお願いしました.この度,Cheng先生が熱工学部門の推薦により国際功績賞を授賞されるに際し,来日していただけるとのことで無理を承知で特別講演をお願いしたものです.この企画に関して,先生とご親交のある中山顕先生(静岡大)および長山暁子先生(九工大)に大変お世話になりました.もう一つの企画として,オーガナイザーからの要請で,沸騰に関するオーガナイズドセッションに“話題提供セッション”を設け,基調講演的な要素を含み講演時間が長めのセッションを組み入れました.一般講演と基調講演の中間的な内容で,講演の取り扱いには少し問題が残りますが,研究の全体を見通すには分かりやすいとの意見もいただきました.
講演会会場の風景 |
全般的に,講演会はどの会場も活気に溢れており,通常より質疑応答の時間を少し長めに設定したのですが,討論の時間がまだ足りない状況でありました.「今回は,会場を抜け出してどこかに行くこともなく,講演会に集中できて良かった.」との意見もいただきましたが,このことは,大学が市街地から離れており,周りに名所旧跡はもとよりレストランや喫茶店もないことにも関係し,当事者としては喜んでいいのかどうか複雑な心境でもありました.
Ping Cheng先生の特別講演は,「Recent Work on Microscale Heat & Mass Transfer」と題し,マイクロ伝熱に関連する先生の最近のご研究を中心に,次の3テーマ(1)サブクール状態での気泡微細化沸騰(MEB),(2)気泡成長に及ぼすパルス加熱および電場の影響,(3)燃料電池用ガス拡散層(GDL)内の水分移動における異なる濡れ性分布の効果,についてマイクロスケールの場で検討された内容でした.いずれのテーマも時代に即応する興味深い内容であり,日本にも関連する研究者が多く,充実した議論がなされました.ご講演の時間が短かったのではと反省しています.
最初に長岡でのコンファレンス開催を打診されたとき,真っ先に危惧したことは,長岡までの交通の便が良くないことに加えて,ホテルの位置する駅周辺市街と会場となる大学までの公共交通の便が悪いことです.このため,長岡駅と会場間に貸し切りバスをチャーターして配慮いたしました.公共バスの便を補うつもりで計画しましたが,貸し切りバスに多くの皆様が乗車されましたので,途中,窮屈な思いをさせましたことをお詫びいたします.
企画上の反省点についても記しておきます.毎年,秋には熱に関連する学会も多く,関連する他学会と開催日程を調整したつもりですが,あろうことか本学会の流体部門講演会と日程が重なり,それも昨年度に続いて同じミスをしてしまい,関係する皆様には誠に申し訳なく思っています.もう一つ,オーガナイズドセッションのテーマに少し偏りがあり,熱工学全般をカバーされていないとの意見を耳にしました.これは,全体の講演件数が少なくなることを避けるために,オーガナイズドセッションのテーマを多く設定したことが,あたかもオーガナイズドセッションがすべてである印象を与えたことによるものと考えます.確かに,昨年度の山口では,ほぼすべてがオーガナイズドセッションから構成されており,そのような印象をもたれてもやむをえない面もあります.今回は,オーガナイズドセッションと一般セッションの割合を同じくらいに想定したのですが,結果的には一般セッションが1/4と少なくなってしまいました.オーガナイズドセッションですべて構成し,熱工学全般をカバーするとなると,毎年,同じようなテーマの設定になり,オーガナイズドセッションの意味も希薄になり,なかなか難しいです.何はともあれ,懇親会で堪能していただきましたおいしい新潟の銘酒に免じてすべてご容赦いただければ幸いです.
菱田部門長の乾杯音頭 | 懇親会会場の風景 |
今回のコンファレンスの開催に際し,長岡観光コンベンション協会には多大なご協力をいただきました.特に,長岡駅新幹線コンコースに掲げられた歓迎の看板が皆様の目を引いたようです.また,長岡技術科学大学の協力により会場費をすべて無料としていただき,財政的に援助いただきましたことを合わせて申し添えます.
最後に,7名と非常に少ない実行委員の構成であり,赤堀匡俊幹事をはじめ実行委員の皆様には多くの役割分担をお願いし,大変な労力を割いて準備をしていただきました.また,機会学会の大通千晴様には,学会からの備品手配,受付およびお金の管理をすべて取り仕切っていただきました.この場を借りまして厚く御礼申し上げます.さらに,前回開催の山口大学の三上真人先生から多くのノウハウをいただきました.その他関係各位の皆様方にここに感謝申し上げます.