第7回日韓熱流体工学会議報告

実行委員会委員長 工藤 一彦

1. はじめに

第7回日韓熱流体工学会議が,日韓の機械学会の熱・流体工学部門共催で,20081013()から16()にわたり,札幌市の「かでる2・7」を会場として開催されました.

 

2.開催経過

この日韓熱流体工学会議は,日本機械学会と韓国機械学会の熱・流体工学部門の共催で,1988年にソウルで第1回が開催された後,しばらくは熱工学と流体工学の分野で別々に開催されてきました.熱は,北九州(1992),キョンジュ(1996),神戸(2000),流体は,ソウル(1990),仙台(1994),プサン(1998),名古屋(2002)と開催された後,第6回会議はまた熱・流体工学部門合同の会議として,韓国のチェジュ島で2005年に開催されました.今回はこれを受けて,熱・流体合同会議として,日本機械学会の熱工学部門が主担当となり,札幌で開催しました.

 

今回は第1回のソウル大会開催から数えて20周年の節目にあたるので,韓国側からなにか記念行事をしませんか,との提案があり,協議の結果,後述のような20周年記念企画を実施しました.

 

講演件数は,特別講演4件,一般・フォーラム講演450でした.また会議参加者数は,有料登録者672名,招待8名等,合計690名でした.また日本418名(一般252,学生164,招待2),韓国248(一般124,学生118,招待6),その他インドネシア,マレーシア,台湾,中国,ハンガリー,タイなどからの参加者もありました.過去最高の参加者数を記録した前回のチェジュでの大会では,講演件数492件,出席者693名でしたが,今回もほぼ同規模の大会となったわけで,多数の皆様の意欲に支えられた大会であったことを実感いたしました.ご参加いただきました皆様に,心から御礼を申し上げます.

 

3.日程と行事内容

10月13日(月)

熱・流体工学部門行事として,今回の会議の前日に,同じ会場で下記の2企画が開催されました.

「流れの夢コンテスト」流体工学部門企画

「プレセミナー」熱工学部門企画

夕方,レセプションがポールスター札幌で開催され,レセプションとしては例のない豪華な食事が供され,好評でした.

 

10月14日()

9時からの開会式で,日・韓の実行委員長の挨拶があり,その後,韓国側の講師による特別講演2件(熱・流体1件づつ)がありました.その後,一般セッションとフォーラムセッションが,午後6時50分まで13講演室並行で続けられました.

 

10月15日()

午前中一般セッションとフォーラムセッションがあり,午後からは大倉山ジャンプ場とチョコレート工場を回るオフィシャルツアーがありました.

また熱工学部門の部門表彰式が午後に行われました.

夕方には,プリンスホテルで懇親会が開催され,「よさこいソーラン」の熱気溢れる踊りも交え,なごやかな雰囲気で懇親の実をあげました.

この懇親会の間に,この会議の20周年記念企画として,第1回から前回のチェジュ島での第6回までの歴史と写真を会場のスクリーンに映し出し,各回の思い出が司会者M.-Y. Ha先生より披露されました.また参加者全員に20周年を祝っていただこう,との趣旨で,記念ロゴ入りの書類鋏み,二色ボールペンとレポートパッドを参加登録者全員に配布させていただきました.

同じく懇親会の最中に,熱工学部門の部門表彰者の紹介があり,最後に,次回は2012年に仁川(インチョン)で開催することに決まったとの紹介がJ.-M. Hyun先生よりありました.

 

10月16日()

朝一番で日本側の講師による特別講演2件(熱・流体1件づつ)があった後,一般セッションとフォーラムセッションがあり,午後4時15分にすべての日程を終了しました.

 

4.プログラム編成

プログラムは下記のような特別講演4件,フォーラム講演230件と一般講演220件で構成されました.今回の会議では熱心な参加者が多く,最終日の午後も,多くの参加者が熱心な講演と討論を繰り広げておられました.

 

特別講演

Nanoparticles and Air Cleaning  Jungho Hwang (Yonsei University)

Simulation of Fluid-Flexible Structure Interaction  Hyung Jin Sung (KAIST)

Drag Reduction of Turbulent Flows of Surfactant Solutions  Motoyuki Itoh (Nagoya Institute of Technology)

A Strategy of Software Infrastructure Technology Enabling Peta-Scale Computing  Kenji Ono (RIKEN)

 

フォーラム

Advances in home appliance (8)

Advances in turbomachinary (22)

Alternative energy(3)

Bio-medical engineering/ Bio-MEMS (18)

Electronics cooling/ MEMS for thermal engineering (12)

Environmental thermo-fluid mechanics (7)

Fuel cell and its application (15)

Heat and fluid in nuclear reactor (12)

Future engine technology (8)

Micro-scale thermal phenomena in material engineering/ Nano engineering in thermoscience (19)

Combustion and heat transfer (33)

New trends in CFD (11)

Flow measurement and visualization (26)

Multiphase flows (36)

 

5.会議を終えて

今回は計画の進行途中で,機械学会年次大会との日程調整のための日程・会場の変更,サポートのコンベンション業者の被買収による業務停止で,別の業者に変更,など参加者にも影響が出かねないトラブルが多々ありましたが,実行委員会各位の格別の努力に支えられて,なんとか開催にこぎつけることができました.

 

今回の会議では,日本側の参加者の40%,韓国側では48%と,学生の割合が非常に多かったのが特徴です.学生の参加が多いのは,会議の若返り,活気,教育などの面からは好ましいことですが,今回は指導教員を通さない学生からの直接申し込みが多くあり,このため,連絡先に連絡してもあて先不明で戻ってきたり,申し込みを気軽にキャンセルしたり,締め切りを守らなかったり,と,国際学会への投稿に慣れていないためのトラブルが続出しました.学生の投稿に当たっては,指導教員の学生への適切な指導やコミュニケーションを望むとともに,申し込みフォームに指導教員の連絡先を入れさせる,などの対策が必要と思われました.

また,論文投稿だけして登録費を払わないケースも結構あり,次回からは欧米の国際学会のように,事前登録費の入金がない限りプログラムから削除する,ことも考える必要があると感じました.

 

今回,事前登録費の支払い方法に関しては,韓国側はクレジットカード,日本側は銀行振り込みで御願いしました.これは,カード会社に支払う5%の手数料を節約するための措置でしたが,一部の参加者から,コンピュータ上で処理できるカード決済に比べ,銀行振り込みは時間を取られ,めんどうだ,とのご意見をいただきました.大学も会社もコーポレートカードを発行する時代ですので,今後は5%分の経費を予算に組み込んだ上で,カード決済を認める方向が好ましいのではないかと思いました.

 

以上のように反省点は多々ありましたが,参加者の皆様からは,有意義で楽しい学会でした,とのお声をかけていただき,実行委員一同うれしく思いました.

 

最後に,今回の会議を準備し支えていただきました下記の実行委員各位に感謝の意を表したいと思います.特に事務局の責任者を担当していただいた山田雅彦先生には,国際学会開催のための膨大な事務作業を緻密に手際よく精力的に実行していただき,本当に感謝いたしております.

またこのほか,本会議は,機械学会の国際学会担当の小阪様,熱・流体工学部門長の門出,後藤先生,両部門幹事の鈴木,平原先生,準備と当日の膨大な作業をお手伝いいただいた学生アルバイトの皆様,今回の会議をバックアップしていただいた㈱イベント・コンベンション・プロの久松様,星様,・・・等々の多くの方々の支援によって開催することができました.改めて感謝申し上げる次第です.

 

「第7回日韓熱流体工学会議」実行委員

Chairpersons

Kazuhiko Kudo (Hokkaido University)

Jinho Lee (Yonsei Universiy)

Secretariats

Masahiko Yamada (Hokkaido University)

Hyung Hee Cho (Yonsei University)

Organizing Committee Members  (in alphabetical order)

(JSME)

Takemi Chikahisa (Hokkaido University)

Shigeo Fujikawa (Hokkaido University)

Osamu Fujita (Hokkaido University)

Hiroshi Hayasaka (Hokkaido University)

Masahiro Ikegawa (Hokkaido University)

Hiroyuki Itho (Hokkaido University)

Kazushige Kikuta (Hokkaido University)

Eru Kurihara (Hokkaido University)

Akiyoshi Kuroda (Hokkaido University)

Yuichi Murai (Hokkaido University)

Harunori Nagata (Hokkaido University)

Yuji Nakamura (Hokkaido University)

Hideyuki Ogawa (Hokkaido University)

Nobuyuki Oshima (Hokkaido University)

Hiroto Sakashita (Hokkaido University)

Toshio Shudo (Hokkaido University)

Kenichiro Sugiyama (Hokkaido University)

Yutaka Tabe (Hokkaido University)

Yasushi Takeda (Hokkaido University)

Lee Tetsu (Hokkaido University)

Tsuyoshi Totani (Hokkaido University)

Makoto Tsubokura (Hokkaido University)

Masao Watanabe (Hokkaido University

(KSME)

Byung Joon Baek (Chonbuk National University)

Man Yeong Ha (Pusan National University)

Siyoung Jeong (Sogang University)

Min Soo Kim (Seoul National University)

Woo-Seung Kim (Hanyang University)

Changhoon Lee (Yonsei University)

Sang Joon Lee (POSTECH)

Young June Moon (Korea University)

 

 

 

 

 

 

テキスト ボックス:  会場の「かでる27」

テキスト ボックス:  開会式

テキスト ボックス:  プレナリーレクチャ (Sung先生)

テキスト ボックス:  プレナリーレクチャ(小野先生)

テキスト ボックス:  日韓の実行委員長(レセプションにて)

テキスト ボックス:  懇親会でのご挨拶(韓国側実行委員長のLee先生)

テキスト ボックス:  ヨサコイソーラン踊り (懇親会のアトラクション)

テキスト ボックス:  熱工学の主?の面々(懇親会にて)