2004年度年次大会参加報告
服部 博文
名古屋工業大学 技術専門職員
技術部/機械工学科
hattori@heat.mech.nitech.ac.jp
2004年9月5日から9日に北海道大学で日本機械学会2004年度年次大会が開催された.熱工学部門では,基調講演1件,4つの先端技術フォーラム,1つのワークショップと一般講演29件が2室に分かれて発表された.流体工学部門が6室を使って企画されていることと比較すると,少々寂しい感もしたが,テーマを絞った企画を行うと,熱工学部門で企画されるより他部門に回ってしまうためと思われる.実際,エネルギー関連技術の講演を聴こうとすると,流体工学部門 (自然エネルギー利用技術),熱工学部門 (冷熱利用技術,自然エネルギー),エンジンシステム部門 (エンジンと新燃料),動力エネルギーシステム部門 (原子炉,バイオマス,風力発電,マイクロ,小型分散,発電プラント,燃料電池,ガスタービン技術) と多岐の部門を渡り歩かなければならない.また,自然エネルギーの代表的な風力エネルギーについては,流体,熱工学,動力エネルギーシステム部門と3部門に亘って個々に企画され,時間帯によっては同時進行ということもあり,1度に多くの講演が聴ける年次大会においては如何なものかと感じられた.これらを見ると,熱工学部門は細分化の方向を辿るのか,総本山として地位を保つのか,どうであろうか? (実際,筆者は熱工学部門企画とてっきり思い,申し込んだ講演先が動力エネルギー部門であった) しかしながら,先端技術フォーラム「熱工学最前線」では,前部門長であられる東京大学笠木先生による「エネルギーイノベーション:分散/モバイル/マイクロ・システムへ向けて」等の講演があり,また,ワークショップ「エレクトロニクス機器サーマルマネージメント:産業界の課題と将来展望」,さらに基調講演では,京都大学吉田英生先生企画による「戦略セミナー:ビジネスモデルと研究開発の係わり−死の谷を超えるために (八戸インテリジェントプラザ,毛利邦彦氏)」があり,やはり熱工学部門は総本山的な役割をしているのであろう.
北海道大学正門と講演会場入口
先端技術フォーラムと聴講中の筆者
さて,年次大会では全体の懇親会とは別に,部門別の同好会なるものが開催される.部門同好会は,部門参加者間の交流を深めることが第一であるが,部門賞を授与される方々の栄誉を称える表彰の場としての重要な位置づけがある
(部門賞については,ニュースレターNo. 43, July 2004を参照されたい).まず,部門長の牧野俊郎先生の挨拶,受賞者の表彰の後,ほどなく現機械学会会長であられる長島昭先生による乾杯が始まり,楽しい時を過ごした.
部門同好会での部門長挨拶と参加者
年次大会全体企画として,北海道大学地震火山研究観測センター長岡田弘先生による「映像で見る有珠山噴火・・火山活動の仕組みと減災」と題した特別講演が9月7日にあった.
2000年に起こった有珠山噴火の瞬間や,報道等の映像を通した講演は,火山災害における恐怖と,前回の噴火(1977年)から学んだ防災・避難体制等の説明が,現場の人間として緊迫感の漂う報告であった.また,参加はしなかったが,緊急集会として,「三菱自動車工業(株)関連の問題について」が9月6日に開催され,三菱自動車社員による報告や,技術的な視点,技術倫理の観点からの討論が行われたようであり,機械学会も社会問題に対して敏感に反応する態度が垣間見られた.
昨年度の徳島に引き続き,今年度も台風である.昨年度は,台風が迫り来る時に,明石海峡大橋を渡り逃げ帰った記憶があるが,今年は直撃を食らった.四国ならいざ知らず,まさか北海道で,台風被害に遭うとは
(しかもこの台風,北海道に来て発達した.),滅多にない体験?ではあろうが,北海道大学名物のポプラ並木が倒される等,被害甚大であった.被害者の方々にお見舞い申し上げたい.
最後に,学会参加へご援助頂いた名古屋工業大学理事長野靖尚先生,この報告書作成に援助頂いた名古屋工業大学田川正人先生に謝意を表し,報告を終えることとする.