2004年度年次大会熱工学部門報告
年次大会熱工学部門実行委員会委員長
池川 昌弘(北海道大学)
例年、年次大会での熱工学部門の活動は、春の伝熱シンポジウムと秋の熱工学コンファレンスとの谷間にあって、余り活発ではないと聞いていましたので、前部門長の工藤一彦先生から年次大会の部門実行委員会委員長を依頼されたときも、気軽にお引き受けしました。この状況は、昨年の金沢での熱工学コンファレンスを境に、大きく変わりました。懇親会の席上で、元部門長笠木先生や工藤先生をはじめ部門運営に関わっておられた先生方の間で、部門活性化のために年次大会を盛り上げなくてはという話が持ち上がったからです。すでに他部門とのジョイントOSの締め切りは過ぎており、特別企画で盛り上げる以外に道はないので、笠木先生から熱工学のホットな話題を集めた「熱工学最前線」のような企画はどうかとのご提案をいただきました。これ幸いと先生には、その講師も快くお引き受けいただき、更に、年次大会の特徴を考慮して他部門との学際領域に関するテーマも取り入れ、結局、各方面で活躍されている10名の方を講師としてお頼みし、丸1日をかけての先端技術フォーラム「熱工学最前線」の開催にこぎつける事ができました。このほかにも、先端技術フォーラム「自然エネルギー変換システム最前線」と「格子ボルツマン法による熱流動解析」、およびWS「サーマルマネージメント用マイクロ機器の現状と将来」をそれぞれのオーガナイザーのご尽力で企画することができ、基調講演1件「ビジネスモデルと研究開発の係り−死の谷を超えるために」を含め、盛りだくさんの特別企画を提案することができました。また一般講演セッションにも、9月初旬の北海道という願ってもない設定に後押しされたのか、予想を上回る30件の講演申し込みをいただき、急遽1室を追加して、年次大会を実施することに致しました。特別企画はいずれも盛況で、特に初日の「熱工学最前線」では講師の先生方のネームバリューも手伝って、会場の後ろに立って聴講する人が出るほどでしたし、その他の特別企画および一般講演も充実した内容だったと思います。こうして振り返って見ると、部門活性化という当初の目標を少しは達成できたのではないかと考えています。
大会初日6日(月)には、夕方から札幌駅近くのパークホテルを会場にして、部門同好会が開かれました。特別参加?の機械学会長島会長の見守る中、恒例の熱工学部門賞・一般表彰の贈呈式が行われ、熱工学部門賞功績賞3件(5名)、業績賞1名、部門一般表彰貢献表彰3名、講演論文表彰3件の表彰が行われました。参加者の大半が、表彰を受ける方々と部門の担当者で占められるというのは、少し寂しい気がします。来年からは是非、多数の方々に同好会へ参加いただき、相互の懇親を深めていただくようにお願い致します。
長島会長と牧野部門長の懇談風景
第2日目と3日目の一般講演セッションでは、座長を含め会場の全員に、優秀講演論文賞の候補論文の推薦をお願いしました。最終的には、部門賞委員会で審査され、来年の年次大会部門同好会で、1件を表彰する運びになると思います。
台風の影響を気にしながらも、勢力の衰えを期待して迎えた大会3日目は、予想もしなかった強い風を伴った台風の直撃を受けました。札幌では、瞬間最大風速50.2mという札幌気象台開設以来の強風を記録し、北大のシンボルであるポプラ並木をはじめ構内の樹木があちらこちらでなぎ倒され、大きな被害を受けました。この様な状況下で、空港へのアクセスや空の便に大きな混乱が生じたため、午後の部門の一般講演やワークショップの中には、続行を途中で断念し、参加者がそそくさと帰路につくというような場面も見られました。
昨年の徳島に引き続き、2年続けて台風に見舞われた年次大会となりましたが、部門の皆様方のご協力で、無事に諸企画を実施することができ、感謝申し上げます。そして、来年の電気通信大学での年次大会では、さらに部門の活性化が達成されることを祈念いたします。