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技術ロードマップ委員会

2023年度第2回セミナー開催報告

報告者 山崎 美稀(技術ロードマップ委員会委員長、(株)日立ハイテク)

 

2023年7 月19日(水)に技術ロードマップ委員会主催の2023年度第2回セミナーを開催した。本セミナーでは、「Technology Roadmap for a Sustainable Future」をテーマに、「JSME’s Technology Roadmap Committee Activities」の紹介、Special Lectureとして「Introduction to Thailand’s Industry-Technology Roadmap」の招待講演、「Roadmap Design for Sustainable Manufacturing Industry」の話題提供および議論を通じて、日本機械学会および機械工学分野における技術ロードマップ策定の今後の活用に反映していくことを目的とした。

 

表1 セミナーのプログラム

2:05-2:20 p.m. Introduction – JSME’s Technology Roadmap Committee Activities

(Dr. Miki Yamazaki, Chair of JSME Technology Roadmap Committee, Japan)

2:20-4:10 p.m. Special Lecture – Introduction to Thailand’s Industry-Technology Roadmaps

 (Assoc. Prof. Nathasit Gerdsri, Mahidol University, Thailand)

4:20-4:50 p.m. Roadmap Design for Sustainable Manufacturing Industry

(Assoc. Prof. Yusuke Kishita, the University of Tokyo, Japan)

(下線の部分はリンクが付けられているのでクリックすると資料がダウンロードできます)

 

本セミナーのプログラムを表1に示す。冒頭の「JSME’s Technology Roadmap Committee Activities」では、委員長から、本委員会の活動軌跡、ビジョン、本年度の目的・計画などの活動内容の紹介と本員会の活動を今後どのように社会の期待と要請に応えて行くかについて説明がなされた。

招待講演「Introduction to Thailand’s Industry-Technology Roadmaps」では、Mahidol UniversityのAssoc. Prof. Nathasit Gerdsrにより、タイにおける産業技術ロードマッピング(TRM)の重要性と、それが国の技術進歩にどのように貢献しているかの説明がなされた。タイにおける具体的なロードマップ開発のステップ、戦略的な目標設定の方法、技術的準備度評価について紹介がなされた。また、産業技術の進歩とイノベーションのための研究開発の潜在能力の特定、そしてそれに対するロードマップの適用のについて説明がなされた。ロードマッピングがどのようにして国家レベルの技術進歩をサポートし、国際的なコンテキストでタイの立場を強化するかを事例を交えて説明された。このセッションは、参加者に対してロードマップの重要性を理解し、自国の産業技術の発展に応用するための洞察を与えられた。

話題提供「Roadmap Design for Sustainable Manufacturing Industry」では、東京大学の木下委員より、将来の製造業・ものづくりのあるべき姿(ビジョン)を描くことの重要性と、そのためのアプローチとしてロードマップの研究について紹介がなされた。ロードマップ研究の歴史的背景、技術ロードマップ委員会による機械工学全体のロードマップの取り組み、技術ロードマップの作成方法、脱炭素社会およびサーキュラーエコノミーに向けたロードマップ研究の必要性と課題について説明がなされた。ロードマップ作成活動の支援の一環として、作業効率化(アジャイル)のためのデジタル技術の活用が有望視されている点が指摘された。

講演後のQ&Aセッションでは、参加者から多岐にわたる質問が寄せられた。ロードマップを企業の事業戦略に統合する方法についての質問に対して、Assoc. Prof. Nathasit Gerdsrは戦略的目標と市場動向の分析を融合させる重要性を強調された。また、ロードマップ作成プロセスとその成果の関係性に焦点を当て、プロセスの透明性と継続的な評価の必要性を指摘された。さらに、ロードマップ作成方法に関する質問には、チーム構成やステークホルダーの関与に関するアドバイスがなされた。技術進化と環境課題の関連性についても話題に上がり、持続可能な技術開発と環境保全のバランスについての洞察が共有された。

本セミナーを通して、持続可能な製造業のための技術ロードマップの重要性と、国際的な視点でのアプローチの必要性を確認した。産業と技術の発展を見据え、JSME技術ロードマップ委員会は、今後もシンポジウムやオンラインセミナーの実施を通じて、手法と事例の共有、知識基盤の強化を図り、会員と業界に貢献していく方針である。

以上

 

お知らせ 2023/12/20