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技術ロードマップ委員会

2022年度第1回ワークショップ 開催報告

報告者 山崎 美稀(技術ロードマップ委員会委員長、(株)日立ハイテク)

 

2022年7月1日(金)に技術ロードマップ委員会主催のビジョン2050ワークショップを開催した。

本ワークショップでは、各部門代表委員からなる部門連携グループ(表1)を形成し、JSMEメンバーが考える2050年の社会像を創発し、社会像を実現する新技術や横断分野などの方策を検討することを目的とした。この目的をより効果的に達成するために、模造紙、付箋などを使ってブレーンストーミングによって得られた発想を整序する方式で実施した。また、開催方法は本学会の新型コロナウイルス感染症に対するガイドラインの感染防止対策を講じることによる対面方式で実施した。

 

表1 本ワークショップのための各部門代表委員からなる部門連携グループ

 

本ワークショップのプログラムを表2に示す。「1.開会の挨拶と本ワークショップの趣旨説明」では、委員長から、本員会の位置付け、本ワークショップの目的・期待する価値、本ワークショップの結果を今後どのように繋げて行くかについて説明がなされた。「2.ワークショップの題材説明」では、NISTEPの浦島委員より、本ワークショップ議論の題材となる第11回科学技術予測調査結果からの未来社会とビジョンの概要についてオンラインで説明がなされた。第11回科学技術予測調査結果は,科学技術基本計画を始め、科学技術イノベーション関連政策・戦略検討のためのエビデンスを提供することを目的として実施された結果をまとめられたものである。また、これまでのNISTEPでの予測活動で得られたビジョンと未来社会についての説明,JSMEのメンバーで創る未来社会の期待が述べられた。

 

表2 本ワークショップのプログラム
(下線の部分はリンクが付けられているのでクリックすると資料がダウンロードできます)

全体説明

13:00~13:10 1.開会の挨拶と本ワークショップの趣旨説明(日立ハイテク・山崎美稀)
13:10~14:30 2.ワークショップ題材説明(文部科学省 科学技術・学術政策研究所・浦島邦子)

グループ討議

13:30~13:50 3.2040年の社会像に関するディスカッション
13:50~15:30 4.JSMEメンバーが考える2050年の社会像
セッション(1)ポストコロナの視点による未来変化
セッション(2)JSMEメンバーならではの視点
15:45~16:30 5.社会像を実現するための方策とまとめ
セッション(3)2050年社会で実現されていることの具体化

全体共有

15:45~16:30 6.グループ討議の全体共有と全体討議

 

グループ討議では、A、B、C、Dの4つの各部門連携グループのファシリテーターの進行の下、本ワークショップのガイに沿って進められた。はじめに、議論の参考になる社会像であるNISTEPの未来ビジョンの4つの視点を各グループで分担してレビューを行った。未来ビジョンの4つの視点は50の社会像を個人と社会、無形(仮想)と有形(リアル)で整理・クループ化されたものである。

「4.JSMEメンバーが考える2050年の社会像」のセッション(1)では、NISTEPの未来ビジョンをベースに新型コロナウィリス感染症の影響によるシナリオの変化(価値観、社会、技術、経済、環境、政治の変化)を含めた社会像について創発的議論を進めた。ここでいう創発的議論はある一定の要件に基づいた予測及び計画や意図を超えるイノベーションを誘発できる議論を意味する。また、セッション(2)では、セッション(1)で議論したポストコロナの視点による未来変化をベースに、各参加者の専門家、生活者、組織人の視点で、2050年のありたい社会像に対する期待、懸念、拡張を考えながら議論を重ねた。発言した考えはできるだけ文書にしながら、付箋を使って参加者自身の考えを書き出すように進めた。貼り付けた付箋の内容については逐次グループ化しながら考えの整理・修正を行いながら進めた。さらに、「5.社会像を実現するための方策とまとめ」のセッション(3)では、グループで創発した2050年の社会像で表現された価値・機能・技術・ソリューションを整理し、2050年には実現するかも知れないことや実現させていきたいことを専門家の視点で事前に用意したフォーマットを活用してまとめを進めた。各グループで考えられた社会像のタイトル、価値観、社会、技術、経済、環境、政治などに関わる2050年の社会像、その社会像を実現するための方策(科学技術、その他)、留意点、懸念点をフォーマットに記載していき、シナリオ策定に繋がるようにした。

「6.グループ討議の全体共有と全体討議」では、フォーマットに纏めた内容を参加者全体に発表し、NISTEPの未来ビジョンの4つの視点で開始した各グループの創発を共有するとともにその相違を議論した。今回、4つの視点を用いて各グループで議論を開始したが、各グループの発表内容には多くの共通する部分が含みつつも、異なる視点でビジョンが描かれていることは印象深かった。このことから、我々の中には将来の社会像を予測するよりも、我々が創りたい将来を描き出しその実現に向けた技術開発を進めることが重要であると多くが考えていることを改めて認識することができた。

今回のワークショップでは、JSMEメンバーが考える2050年の社会像を創発し、社会像を実現する新技術や横断分野などの方策を検討した。今後は部門全体で共有作業を進めることとそれらの議論をベースに2050の社会像の実現に向けたJSME技術ロードマップ策定の議論と部門連携による新技術や横断分野の創出を進めて行く予定である。

以上

お知らせ 2022/07/06