熱エネルギー利用の観点における湿り蒸気流量の指示値の補正に関するガイドライン
熱エネルギー利用の観点における湿り蒸気流量の指示値の補正に関するガイドライン
【基準の種類】計測方法
【基準の目的】
≪基準の利用分野≫
生産工程(殺菌、乾燥、洗浄、蒸留)等に蒸気を使用する 工場 、蒸気タービンを持つ発電所等の産業分野
≪必要性,即時性≫
産業分野の蒸気需要は、112 万 TJ /年で電気に次ぐエネルギー量であり、蒸気は産業分野の熱エネルギー利用の約8割を占め、主要生産プロセスである殺菌、乾燥、洗浄、蒸留で幅広く、かつ大量に使用されている(エネルギー消費統計)。省エネルギーや脱炭素化を実現していくためには、蒸気の消費量を精度よく計測する必要があるが、蒸気は輸送に伴う熱損失により湿り蒸気となり、この湿り分が蒸気流量計測に与える影響は明確となっていない。また、国際的な基準等もほとんど存在しないため、 エネルギーマネージメントシステム(EMS)の構築を見据えた現場計測技術の取り扱いの観点からも、湿り蒸気中の蒸気流量の定量化については早期の解決が望まれている。例えば、10% 程度の湿り度の蒸気の場、蒸気成分の占める単位時間当たりの通過熱量は 全体の95%程度以上であり、蒸気成分の流量のみの 正確な流量が評価が可能となれば、熱エネルギーの最適利用に 対する 貢献度は高いといえる 。
このように、湿り蒸気の流量計測 により、蒸気需要の把握が可能となり、ヒートポンプやコジェネレーション等、適切なEMSの導入につながる。この結果、省エネルギー性の達成・向上が期待できる。
以上述べたように、 熱エネルギー利用の観点における湿り蒸気流量の指示値の取り扱いと補正に関するガイドライン を日本機械学会基準として発刊し、当該技術の普及を図る必要性は極めて高い。
≪発展性≫
本基準はJIS、並びに ISO 等の今後の国際展開の出発点ともなり得るものである。
また、将来、到来が 想定される カーボンニュートラル、すなわち 脱炭素社会において、重要な役割を担う水素をエネルギー源として使用した際に生成される蒸気の計測に関しても 、大いに貢献するものである。 熱エネルギーの利活用の観点からも、蒸気流量計測の技術は「見える化」に貢献する基盤技術であり、提案するガイドラインは、その波及効果が非常に大きいと考える。
≪適用範囲・対象≫
配管内の湿り蒸気
【原案作成委員会】
≪委員会メンバー≫
梅沢 修一 (東京電力HD株式会社)
森田 良 (一般社団法人電力中央研究所)
吉田 森之介(横河電機株式会社)
菅家 広大 (株式会社オーバル)
丹澤 祥晃 (日本工業大学)
大木 眞一 (日本工業大学)
村川 英樹 (神戸大学)
内山 雄太 (一般社団法人電力中央研究所)
舩木 達也 (国立研究開発法人産業技術総合研究所)
≪委員会開催≫
(会合にはオブザーバーとして参加可能です。参加希望の方は、standard@jsme.or.jpまでお知らせください)
第1回(2022年8月29日)
第2回(2022年11月22日)
第3回(2023年3月13日)
第4回(2023年6月30日)
第5回(2023年11月14日)
第6回(2023年12月15日)
第7回(2024年1月11日)
第8回(2024年2月27日)
第9回(2024年3月28日<予定>)