第78期, 79期 宇宙工学部門長からのメッセージ
第78,79期委員長
大久保博志(大阪府立大学)
ご挨拶
宇宙工学は、人類の宇宙活動を支えるための「ものづくり」すべてに関わる学問領域です。宇宙工学部門の活動の目的は、様々 な要素技術として展開される機械工学と、プロジェクトを中心として進められる宇宙工学との間を結び、機械工学と宇宙工学の 橋渡し役となることであると考えます。宇宙の専門家と、「なにか宇宙に貢献したい」という好奇心ある機械工学のエキスパー トが出会うところから、次の世代の宇宙技術の芽が育つと信じております。
21世紀は「宇宙の時代」と言われています。機械工学の様々な分野からの宇宙工学への関心と期待が寄せられています。そのキ ーワードは、宇宙環境利用・微小重力実験、軌道上工学、惑星工学、宇宙医学、バイオエンジニアリング、ダイナミクスと設計、 柔軟構造物と制御・展開構造、宇宙ロボティクス、極限状況下での機械要素、潤滑、信頼性、宇宙用動力、エネルギー工学、推 進工学、宇宙教育など実に幅広い分野にわたり、今後もさらに広がって行くことでしょう。
21世紀を迎える日本の宇宙開発は、人工衛星の不具合やロケットの打ち上げ失敗などが相次ぎ、様々なプロジェクトの延期や計 画の見直しなどに直面しています。これらの不具合原因の多くが、機械工学の基本に関わる技術的問題でした。また、それらの 要因が複雑な環境の下で複合化され、不具合の要因となったことも特徴であるといわれています。こうした問題の解決に向けて、 宇宙工学における技術基本問題は何かについて分析を加え、発信して行くことも宇宙工学部門の役割と考えます。21世紀に向け てますます魅力のある活動、アイデンティのある活動を展開したいと考えております。会員のみなさまからの積極的なご提案、 ご意見をいただければ幸いです。
会員のみなさん ぜひ宇宙工学部門に登録をされ,部門の活動に参加されることを希望します。登録をいただくと部門の「ニュ ースレター」をお送りするとともに,活動や行事予定をタイムリーにお届けします。
部門の活動を具体的に紹介しましょう。
スペースエンジニアリング・コンファレンス
新しい視点に立った機械・宇宙エンジニアの技術交流の場として毎年開催される部門の研究発表講演会です。新しいトピックス を捕らえて将来のビジョンを示すと同時に,終了したプロジェクトの成果を成功したこと,不成功であったことを含めて議論し, 将来の資産としていくように努めています。また、議論を深めるため、一件の講演時間を充分にとるなどの工夫をしています。 (今期は2001年1月に開催の予定です。)
宇宙工学講座
学生や若いエンジニアのための宇宙工学入門講座です。会員の方のご意見を聞きながら,必要な情報を,体系的に分かり易くま とめて紹介する講習会にしていきたいと思っています。昨年度は名古屋地区に於いて、ロケット組み立て工場の見学と併せて開 催し、好評でした。(今期も仙台地区に於いて、見学会と併せた講座を2001年3月に開催の予定です。)
如月宇宙サロン
異分野の専門家との出会いを目的に開催しているセミナーです。毎年2月に開催してきましたが、大学の卒論・修論の提出時期 と重なるため、開催時期の変更を検討しています。(今期は「地球環境と宇宙」をテーマに、2000年11月に開催の予定です。)
衛星設計コンテスト
学生の新鮮な想像力を育てるための企画です。新しいアイディアを「アイディア部門」と「設計部門」に分けて募集し,年に1回 そのコンテストと発表を行っています。とくに「アイディア部門」は,宇宙をこんなふうに使ってみたいというアイディアの募 集です。年々その中身が充実してきており,優秀なアイディアを実飛行衛星として実現することを検討しています。
年次大会特別企画
21世紀最初の年次大会は2001年8月に福井大学・福井工業大学で開催されます。21世紀の宇宙工学を展望するのにふさわしい行事 企画を準備したいと考えておりますので、ぜひご提案をお寄せ下さい。