第84期委員長

三澤正吉(静岡大学・教授)

ご挨拶

部門長の役割をどう果たすのか

この度,木田隆前部門長(電気通信大学)の後を継ぎ,84期の宇宙工学部門長を仰せつかりました. 上野誠也副部門長(横浜国立大学),横井貴弘幹事(三菱電機)をはじめ, 運営委員並びに宇宙工学部門登録の皆様方のご協力を得ながら,部門のさらなる発展に努力する所存です. なにとど宜しくお願い致します.

次期に繋ぐためにどういう役割を果たすべきかと思案しましたが, できる役割は何かに至りました.ひとことで申し上げるならば, 宇宙工学部門登録の皆様方へのお願いです.お願いの内容について述べさせていただきたいと思います.

一つは部門活動の活発化です.勿論,歴代の部門長をはじめ運営委員の方々はこれまでも部門活動の活発化に 腐心されてきました.願わくは,部門活動のさらなる活発化を少しでも押し進めることができればとの思いです. 部門活動の活発化は部門長のみではどうにもなりません.部門の委員のみでも難しいと思われます. 限られた少数の委員のみでは,活動はできても,活発にするには越えられない限界があります. 部門活動の活発化は部門委員を含む部門登録者の皆様のご協力なしには押し進めることはできません. 現在,部門の活動には講演会の企画,講習会の開催,衛星設計コンテストへの協力,広報があります. 講演会の企画は年次大会とスペースエンジニアリングコンファレンスです. 年次大会は多様な分野の会員の参加を期待し,宇宙開発と機械工学との接点をテーマとする構成を心掛けています. 一方,スペースエンジニアリングコンファレンスは宇宙技術の成果を発表する場に特化しています. 講習会としては宇宙工学講座を企画し,小学生から大学生までを対象とした宇宙工学の入門的な分かり易い講習会 に力点を置いて開催しています.また,宇宙サロンでは異分野の専門家を招き, 講演とその後の懇談を通じてネットワークを広げることを意図したサロンを開催しています. 衛星設計コンテストは学生の新鮮なアイデアを競う企画で,今年で14回目を迎えます. 実行委員,審査委員,企画委員としてコンテストを支えています. また,部門活動をアピールするため広報にも力を入れており,部門ホームページの充実, ニュースレターによる活動報告に努めています.宇宙工学部門登録の皆様へのお願いはこれらの部門活動に 参加していただくことです.例えば,企画案をお持ちの方は企画者として, あるいは企画への参加,企画に対する意見等です. 4年前に宇宙工学部門の登録者に「宇宙工学部門のしおり」を配付しました. その中で,部門登録者の全ての方に運営委員への参加を呼びかけています.今も変わりません. これまで部門に尽力された先輩方,現に名を連ねる方々,今後の部門を担う方々, 部門活動の活発化に何ができるかを基準にするのではなく,何かをしたいとお考えの方々のご協力を切に お願い致します(機械学会宇宙工学部門担当 濱谷さんhamatani@jsme.or.jpまでご連絡下さい).

他の一つは部門の英文ジャーナルの発行が可能か否かをクリアにすることです. 日本機械学会の方針として,英文ジャーナルの発行は部門に委ねられることになっています. 宇宙工学部門でも,2年ほど前から英文ジャーナルの発行について議論してきました. 部門委員の多くの懸念は宇宙工学部門単独で英文ジャーナルの発行を継続できるのかという点に尽きます. 現在,宇宙工学部門の第1位登録者数は379人(2006.6末,学生員を除く)で, 投稿が期待できるのは主にこの方々と考えています.年次大会やスペースエンジニアリングコンファレンスへの 参加者数を考慮しますと,投稿を期待できる人数はさらに少ないものと予想されます. 日本航空宇宙学会にも英文ジャーナルがあり,会員数3700人程度で2005年度の掲載件数は約30です. 人数比から予測しますと,安易に発行できる状況にはありません.発行後3年間はインパクトファクターが ありませんので,海外(アジア)からの投稿も期待できません.このような状況ですが, 英文ジャーナルの発行にはメリットがあり,即座に発行を断念するわけにもいきません. 宇宙工学部門が発行できる論文誌を持つことは望ましいことですし,投稿から掲載までの期間が3?4ヶ月程度と 短いことは投稿者にもメリットがあります.また,冊子に代わりOnline Journalになることで 経費や作業を大幅に軽減できます.投稿件数さえある程度確保することができれば, 宇宙工学部門として英文ジャーナルを発行する意義はあると考えられます.どういう結論に至るかは分かりませんが, 英文ジャーナルを発行することになりました場合には,宇宙工学部門の登録者の方々に ご協力(投稿)を強くお願い致します.

日本の宇宙に関する最近の活動はひと頃の氷河期を脱したと言える状況にあります. 多くの方々の地道な努力とエールが結実した結果でしょう.次代を担う若い人たちに (実は私のような若くない人たちにも)インセンティブを与える上で大きな役割を果たしていることは 間違いありません.惑星探査,宇宙に集光装置を建設し, 地球に電力を供給する太陽光発電,小型衛星の実用化,宇宙旅行の商用化等々, 夢を与える研究や技術開発は今後も目白押しです.上記の分野に限らず, 宇宙工学部門の登録者が夢を与える研究や技術開発の一端を担うこと,これに勝る願いはありません. そして,是非それらの成果や経験を部門活動に活かしていただきますよう,ご協力をお願い致します.