2022年度 宇宙工学部門賞・一般表彰等受賞者
宇宙工学部門
2022年度部門賞・一般表彰等受賞者の紹介
[部門賞受賞者]
業績賞
永田 晴紀(北海道大学)
永田晴紀氏はCAMUI型ハイブリッドロケットの開発者として知られ、ハイブリッドロケ
ットの分野で顕著な研究業績を挙げてきた。2004年度に本部門から「一般表彰フロンティ
アの部」を授与された他、日本航空宇宙学会から2008年に学会賞(技術賞)、米国航空
宇宙学会(AIAA)から2017年にHybrid Rockets Student Best Paper Award、2019 年に
Hybrid Rockets Best Paper Award を授与される等、研究成果は国内外で高く評価されて
いる。指導した学生の多くは大企業の宇宙関連部門のみならず宇宙系ベンチャー企業でも
活躍しており、内閣府主催の宇宙関連ビジネスアイデアコンテストであるS-Boosterで
は、研究室の卒業生らが創業したベンチャー企業が2019年に審査員特別賞(岩谷技
研)、2021年にアジア・オセアニア賞(Letara社)、2022年に最優秀賞(Mjornir
Spaceworks 社)を授与される等、研究成果の社会実装においても多大な貢献が認められ
る。ハイブリッドロケットの分野では我が国を代表する研究者の一人である。
功績賞
下田 孝幸(宇宙航空研究開発機構)
受賞者は、20年近くの長きにわたり、宇宙工学部門を中心として日本機械学会の発展に
貢献してきた。特に年次大会においては毎回、大気突入関係のOSのオーガナイザを務
め、当該技術分野の発展に貢献した。さらには宇宙工学部門において各種委員会の委員長
を長年にわたって務め、部門の発展に大きく寄与した。
[一般表彰受賞者]
スペースフロンティア
平野皓己 安井菜々海 オオグチ レオナルド ハルキ Jazmin Lindsay-Favelle Jemimah Wolf
(東京大学 University of Sheffield University of Newcastle University of New South Wales)
救命システムは必要とされるような事態が発生しないのが最も望ましいが、万一の備え
として必要とされるという相反する側面を有するため、誰が費用を負担するのか、どのよ
うな組織でシステム構築と運営を行うのか、どのようなビジネスモデルが成立し得るの
か、という壮大なシステム構想が必要となります。本アイデア作品は宇宙における活動の
フロンティアの一つのテーマであるこの壮大なシステム構想の一部に取り組んだというこ
とで、日本機械学会 宇宙工学部門一般表彰 スペースフロンティア賞に相応しいと判断
し、表彰させて頂きました。
超音速燃焼飛行試験チーム
(代表 谷 香一郎 宇宙航空研究開発機構 研究開発部門)
空気吸い込みエンジン開発の要である極超音速エンジン風洞では、燃焼加温により、実
飛行状態とは異なる気流での試験を強いられる。そこで実飛行におけるエンジン燃焼デー
タを取得して、風洞で得られるデータとの比較を行う目的で、超音速燃焼飛行試験を実施
した。当該試験は、日本国内の小型ロケット、ならびに軌道設計技術を用いて試験を成立
させ、また国内に蓄積されたスクラムジェット空力、燃焼設計技術を適用して、国内では
初めてとなる、実飛行環境での超音速燃焼試験を実現させたことは、今後の同種のエンジ
ン研究開発に対する、技術的貢献が大きい。
以上の業績について部門委員会で協議を行い,一般表彰スペースフロンティアにふさわし
いとの結論に至った。
優秀学生講演賞
天木 祐希(東京工業大学大学院)
天木氏が発表した一般講演「可変形状宇宙機の外力トルクを利用したリアクションホイ
ールアンローディング」が合計点で一位となり、特に優れたものと認められた。この結果
に基づき、本講演の登壇者であり、論文の筆頭著者である天木氏を、優秀学生講演賞の受
賞者として決定した。
[日本機械学会若手優秀講演フェロー賞受賞者]
大野 莉奈(東京理科大学)
対象者全員に対して最低 2 名の審査委員により審査を行った結果,「研究・開発の独創
性・斬新性」「研究・開発の有益性・重要性」「研究・開発における対象者の貢献度・理解
度 講演論文の質(完成度・理解度)」「講演発表・ポスター・質疑応答の質」の項目
において優秀であった講演者を受賞することとなった.