2023年度 宇宙工学部門賞・一般表彰等受賞者
宇宙工学部門
2023年度部門賞・一般表彰等受賞者の紹介
[部門賞受賞者]
功績賞
中村 和行(株式会社テクノソルバ)
受賞者は、12年の長きにわたり、宇宙工学部門を中心として日本機械学会の発展に貢献してきた。特に衛星設計コンテストにおいては永年にわたり審査委員を務め、当コンテストの運営と若手宇宙技術者育成に多大な貢献をした。さらには、宇宙工学部門において第99期ならびに第100期の部門長を務め、部門の発展に大きく寄与した。
[一般表彰受賞者]
スペースフロンティア
大気球を利用した火星飛行機の高高度飛行試験MABE-2実施チーム(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)
当該試験は大気球を利用した飛行機型火星探査機(火星飛行機)の高高度飛行試験であり、火星疑似環境下における機体空力特性を取得するとともに、軽量機体、低大気密度・低大気温度環境下における温度管理、姿勢センサなどの技術実証に成功した。また、高度36kmという高高度での無人飛行機飛翔試験は他に例の無い独創的な実験である。当該研究は今後の惑星探査にも応用可能な研究であり、宇宙工学への技術的貢献が大きい。
EQUULEUSプロジェクトチーム(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)
EQUULEUSは、NASAのSLS ロケットによって打ち上げられた地球-月圏超小型探査機であり、新規開発した水を推進剤としたレジストジェットスラスタAQUARIUSにより精密軌道決定・軌道制御を成功させた。予定していたサイエンス観測にも成功し、フルサクセスを達成した。当該探査機に使用された技術は今後超小型衛星を月やそれ以遠へ展開していくにあたって必須の技術であり、今回の成功により超小型衛星の深宇宙進出が大きく促進されることが期待される。
佐藤 大斗 他9名(大阪公立大学)
作品名(第31回衛星設計コンテスト):薄膜挙動計測衛星「Film Sat」
本作品のミッションは、”折り癖”などの影響で理想的な展開が難しいことが知られている膜構造体の展開時の動特性を、格子投影法を用いて画像分析することにより導出するものである。ミッションのテーマとしては基礎研究的で工学的意義が大きく、正にキューブサットでチャレンジングに実証すべきテーマである。膜構造物の展開はさまざまな応用が期待されるため、本提案による基礎データの計測は大きな意義を持っており、宇宙分野全体への貢献が期待できる。
優秀学生講演賞
葛野 諒(東北大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻)
No.23-110講演会「第32回スペース・エンジニアリング・コンファレンス [SEC’23]」における講演について審査した結果、葛野氏が発表した一般講演「非赤道上宇宙エレベータの3次元動解析の高精度化」が特に優れたものと認められた。