ロボカップのチャレンジ
公立はこだて未来大学 鈴木昭二
1.ロボカップとは
ロボカップは,動的な環境下で作業するロボットチームの実現を目標として掲げ,その技術評価の例題としてサッカーを提唱している[1].サッカーをするロボットには,他のロボットの存在を考慮しつつ状況に応じて行動決定をする能力が要求され,これを実現するためには多くの課題を解決していかなければならない.
ロボカップの国際大会は,名古屋(1997年),パリ(1998年),ストックホルム(1999年)と開催され,国内大会も1998年から行われている.競技としては,使用するロボットの形体に応じて,シミュレーション,小型ロボット,中型ロボット,脚式ロボットの部門がある(http://www.robocup.org/参照).また,競技だけではなく,技術討論のためのワークショップも同時に開催されている(例えば,[2][3][4]).
2.サッカー以外の分野への広がり
2.1 レスキュー
ロボカップはグランドチャレンジの下に最先端技術を開発することがその本質である.サッカー以外の取り組みとして,社会的に普遍性を持つ防災・救命救助問題を扱ったRoboCup-Rescueが提唱され,シミュレーション,ロボティクス&インフラストラクチャ,インテグレーション,オペレーションの各プロジェクトに関する国際的共同研究が開始されようとしている.現在は災害シミュレーション空間とその中で活動する自律エージェント,実世界・人間とのインタフェースの研究が約50名の世界各地の研究者によって進められつつあり,6月にはプロトタイプが公開される予定である.
2.2 技術教育
近年,ロボットコンテストの教育効果が注目を集めているが,ロボカップにも教育効果が期待できる.ロボカップの大会は大学生や研究者を対象としているが,小中学生でも参加できるようなロボカップ・ジュニアの企画が検討されている.サッカーをするロボットを製作するためには広い分野にわたる知識と技術が必要であり,ロボカップ・ジュニアはこれらを習得する機会を提供することになるであろう.また,ロボカップ・ジュニアが充実することにより,ロボカップの参加を目指した長期的な教育プログラムを作り上げていくことも可能となる.
3.今後のロボカップ
ロボカップの2000年の大会は,国際大会はメルボルン,国内は公立はこだて未来大学で開催される.また,2002年には日本で国際大会が開かれる予定である.ロボカップの活動も,試合のナレーション自動生成などの周辺技術,ヒューマノイドによるサッカー,教育活動のネットワーク化等へも広がりつつある.ロボカップはロボフェスタの公認を受けており,ロボフェスタの場においてもさまざまな活動が披露されるであろう.
[1]H.Kitano et al, "RoboCup: A challenge problem of
AI", AI Magazine, Vol. 18, pp.73-85, 1997.
[2]H.Kitano eds., RoboCup-97, Robot Soccer World Cup I, Springer,
1998.
[3]M.Asada and H.Kitano eds., RoboCup-98: Robot Soccer World Cup
II, Springer, 1999.
[4]第3回JSMEロボメカ・シンポジア講演論文集,1998.
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Last Update : 2000/7/7
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