レスキューロボットコンテスト
京都大学 大須賀公一
1.はじめに
関西地区では「ロボット国際創造国際競技大会関西2001(ロボフェスタ関西2001:
7月20日〜29日.大阪府立国際会議場にて)[1]」をきっかけに,3つの新しいロボットコンテスト--レスキューロボットコンテスト[2],アクロカップ[3],ロボカップレスキュー[4]--が始まる.
このうちここでは,大規模都市災害における救命救助活動を題材とした「レスキューロボットコンテスト」について紹介する.他の2競技については各競技会のホームページを参照されたい.
2.レスキューロボットコンテスト誕生
このコンテストが生まれることになったきっかけは1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災である.震災直後から日本機械学会の中にはレスキュー機器・ロボットに関する研究会や研究分科会が組織され
[5][6],その活動過程で,日本における災害発生後の救助体制の不十分さ,および救助に対する意識の低さが浮き彫りにされた.そして,救助技術を体系化する動きが始まり,それと同時にその意識を高めるための一つの方法として,コンテスト形式による啓蒙活動の有効性が議論された.ちょうどそのころロボフェスタ関西2001の企画がはじまり,そこに上の研究会等で議論されはじめていたレスキューロボットコンテストが提案されロボフェスタの公認競技として認められた.
3.レスキューロボットコンテストの概要
本コンテストには, [社会性]災害救助活動に対する啓蒙
,[教育]創造性を育む場や機会の提供 ,[技術]新しい研究テーマや製品アイデアの発掘,などの多面的な意義がある.特に,従来までのロボットコンテストと大きく異なっているのは,「社会性」を有している点である.具体的には,図に示すような2チーム用の競技場(市街地を模擬した1/8スケールの実験フィールド)を用意し,その中に,複数台のダミーを配置する.参加チームは複数台のロボットを操縦して,ダミーを探し,瓦礫や障害物を取り除きダミーをフィールド内の決められた位置へ運搬する,というのが本コンテストの概要である.本コンテストには多くの特徴があるが,大きくは次の4点になろう.(a)ロボットには無線カメラを搭載し,操作者はフィールドを直接見ずにカメラ画像だけに基づいて無線遠隔制御を行う.(b)ダミーには衝撃センサ・力センサなどが埋め込まれており,ダミーに過大な衝撃・力が加えられた場合には減点の対象となる.(c)
競技の前後に,各参加チーム自分達のアイデアや問題設定を発表してもらい,その内容も競技の評価に加味する.(d)参加に必要な機材のうち高価な無線カメラや無線操縦装置等は,主催者側で用意し何らかの審査を通過したチームに貸与する.
競技に対する制限は何かしら設ける予定ではあるが,多様なアイデアが出てくることを期待して,できるだけ制約は少なくする方法で検討中である.そして,大会規定を満足するロボットを製作し操作できる人たちならば,特に参加資格を限定しない.
4.スケジュールと連絡先
フロボフェスタ関西2001を目指して次のようなスケジュールで準備がすすめられている.まず,2000年8月11日〜13日には,ロボフェスタ関西プレ大会が本大会と同じ会場である大阪府立国際会議場で開催され,レスキューロボットコンテストの競技デモンストレーションが行われる.これによって競技会全貌が明確になり,参加チームの一般募集が開始される.参加チームの募集締め切りは2000年12月頃を予定している.そして,2001年の7月20日〜29日がロボフェスタ関西2001本大会レスキューロボットコンテストの本大会である.
最後に,本コンテストの事務局と実行委員会の連絡先を下記に記しておく.多数の参加を希望する.
レスキューロボット
コンテスト事務局
客員研究室長:大須賀公一 気付
(財)京都高度技術研究所(ASTEM)
E-mail chii@astem.or.jp
レスキューロボット
コンテスト実行委員会
代表:大須賀公一
京都大学大学院情報学研究科
システム科学専攻
E-mail osuka@i.kyoto-u.ac.jp
フィールド
参考文献
[1]ロボフェスタ関西:http://robokansai.gr.jp/
[2]レスキューロボコン:http://www.robot.kuass.kyoto-u.ac.jp/osuka/robofes/rescon.html
[3]アクロカップ:http://www.ritsumei.ac.jp/se/~nagai/AquRoCup/
[4]ロボカップレスキュー:http://robomec.cs.kobe-u.ac.jp/robocup-rescue/
[5]高森,田所,大須賀,鶴谷,他:救助ロボット機器の研究開発に資することを目的とした阪神・淡路大震災における人命救助の実態調査研究会,日本機械学会ロボティクスメカトロニクス部門,1997
[6]高森,大須賀,他:大規模災害救助ロボットシステムの開発研究分科会報告書,日本機械学会,
1999
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Last Update : 2000/7/7
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