部門表彰委員会報告  

表彰委員会 委員長 内山 勝

日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門表彰委員会は平成11年度部門賞各賞ならびに部門一般表彰の選考を厳正かつ公正に行ない、広瀬茂男部門長に報告した。選考結果は平成12年1月28日の部門運営委員会で審議され、承認、決定された。各賞の受賞者は以下の通りである。授賞式は平成12年5月12日、ロボティクス・メカトロニクス講演会の席上において執り行われた。

1.部門賞
(1)功績賞:2名

金子真(広島大学)
 【贈賞理由】 触覚センサ、ロボットハンドなど、ロボティクス・メカトロニクス分野で、多数の著書、論文を著し、国際的に高い評価を得ている。また、IEEE Robotics and Automation Society など、国際学会で活躍し、大きな貢献をした。

中野栄二(東北大学)
 【贈賞理由】 先駆的な論文、著書の執筆、知能ロボットコンテストの主催など、ロボティクス・メカトロニクス分野において、リーダーシップを発揮し、研究、教育、学会活動の面で大きな貢献をした。

(2)技術業績賞:3名

大道武生(三菱重工(株))
 【贈賞理由】 新しいコンセプトの提案と最新のロボット技術の先行開発、導入を行うことによって、改良型原子炉圧力容器超音波探傷装置、可搬式汎用知能アーム、壁面塗装ロボットの開発など、従来実用化が困難とされていたロボット、ロボットシステムを実用化した。これらのロボット、ロボットシステムは、様々な要素技術がバランスよく整合された設計となっており、極めて優れた製品である。

藤江正克((株)日立製作所)
 【贈賞理由】 従来の歩行支援装置では、様々な身体能力・症状の高齢者に対し、単一で柔軟に対応することは困難であった。受賞者は、高度なロボット技術を駆使しつつこの課題を解決し、様々な高齢者に適応しながら、さりげなくやさしく歩行を支援する装置を実現した。この結果、高齢者が自立した質の高い生活を送ることを支援する機器の普及に成功し、新たな産業分野として立ち上げる見通しを得た。

藤田雅博(ソニー(株))
 【贈賞理由】 娯楽応用のペット型ロボットを開発し、Robot Entertainmentと呼ぶべき新しい自立型ロボットの産業を提案した。開発し、商品化されたロボットは、4脚、18自由度で、カラーカメラ、ステレオマイク、接触センサ、加速度センサなど多種のセンサで人間や環境とのインタラクションする高度なものである。受賞者の研究開発活動により、ペット型ロボットの潜在的需要が掘り起こされ、新しいRobot Entertainmentという産業が萌芽した。

2.部門一般表彰
(1)部門貢献表彰:2名

坪内孝司(筑波大学)
 【表彰理由】 1999年1月開催の第4回JSMEロボメカ・シンポジアの実行委員長として尽力し、本シンポジアを成功させ、本部門の活動に著しい貢献をした。

広瀬茂男(東京工業大学)
 【表彰理由】 1999年度6月開催のロボティクス・メカトロニクス講演会'99の実行委員長としてリーダーシップを発揮し、本講演会を盛会に導き、本部門の活動に著しい貢献をした。

(2)ROBOMEC表彰:4件

森田寿郎、児嶋環、菅野重樹(早稲田大学)
 【表彰理由】 1999年6月開催のロボティクス・メカトロニクス講演会'99において発表した「指先圧力調節可能なロボットハンド機構の設計と開発」は、指先姿勢変化による把持圧力調節機能を備えた多指ハンドの開発に関するもので、開発したハンドで実験を行い、指先の圧力調整により把持安定性の向上が可能なことを示している。この結果は、ロボティクス・メカトロニクス分野の発展に大きく寄与するもので、高く評価される。

丸尾昭二、生田幸士(名古屋大学)
 【表彰理由】 1999年6月開催のロボティクス・メカトロニクス講演会'99において発表した「サブミクロン分解能を持つ2光子マイクロ光造形法(超高速造形による可動機構の構築)」は、2光子吸収を利用した内部硬化型マイクロ光造形システムの開発について報告したもので、このシステムにより、従来方式よりもさらに高分解能、高精度、高速な造形が可能となった。この結果は、ロボティクス・メカトロニクス分野の発展に大きく寄与するもので、高く評価される。

遠藤玄、広瀬茂男(東京工業大学)
 【表彰理由】  1999年6月開催のロボティクス・メカトロニクス講演会'99において発表した「ローラーウォーカーに関する研究、第5報:旋回ローラーウォークとシステムの自立化」は、ローラースケートの原理で移動するローラーウォークに関して、その旋回運動に考察を加えたもので、この運動が振動の中心値にオフセットを与えることにより容易に実現できることを示している。この結果は、ロボティクス・メカトロニクス分野の発展に大きく寄与するもので、高く評価される。

前川明寛、鮫島誠、佐藤拓志、森輝幸、中西信太郎(三菱重工(株))
 【表彰理由】 1999年6月開催のロボティクス・メカトロニクス講演会'99において発表した 「視覚フィードバックを用いた高速組立手法」は、6自由度を有するセグメント組立装置(エレクタ)を対象に、組立物とその周辺の隙間、段差をオンラインで視覚フィードバックし、位置決めを行う高速組立手法について述べている。本論文の結果は、ロボティクス・メカトロニクス分野の発展に大きく寄与し、高く評価される。

以 上


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Last Update :  2001/7/7

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