102期部門長挨拶

コロナウィルス感染症が5類に移行して1年が経過し、ようやく以前のような対面開催でのイベントが普通に思えるようになりした。3月に開催された部門講演会も昨年に引き続き対面とオンラインとのハイブリッドで開催されましたが、多くの方々が現地に参加してくださり、久しぶりにお会いした方々と近況報告ができたことは嬉しいことでありましたし、教室が参加者でいっぱいで、さて何処に座ろうかと迷うなど、懐かしい感覚もありました。それと同時に、学会は何のためにあるのか?という問いを思い出しました。この問いは、部門活性化の課題と合わせて本部門でもコロナ禍以前からのもので、筆者が部門の運営委員会に参加させていただいた25年ほど前から既にしばしば話題になっていました。近い分野の研究者が集まり、技術情報を交換する場というのは一つの答えでありますが、技術に限らず、諸問題の相談の場になっていることは、多くの参加者の実感としてあるのではと思います。学会での講演も、生産システムにおける課題解決の成果発表と情報交換が主になりますが、講演者には時間内に話しきれない内容があり、それを聞いてなるほどと思うところに学会参加の意義を感じたりする人も多いのではと思います。

さて、ここからが本題ですが、今年度の部門運営では、対面とオンラインの両方が使えるようになったことを好機に捉えて、それぞれをうまく活用しながら本部門のイベントを増やしていきたいと考えています。特に増やしたいと思っているのが分科会です。現在、本部門固有の分科会はAM分科会(Additive Manufacturingの価値拡張に向けた統合生産システムの研究分科会)の一つだけです。これをさらに2つ程度増やせないかと考えます。分科会の数は以前から多かったわけではありません。しかし、コロナ禍で図らずもオンラインミーティングが普及し、移動を伴わずにミーティングを開催する方法が確立されました。このメリットを部門の活性化に活かす方法として、分科会の設置が効果的と考えています。分科会の実施方法はさまざまで、対面開催が望ましいとするのではなく、オンラインミーティングから開始して、部門講演会や年次大会といった大きなイベントに合わせて対面のミーティングを開催するのもいいでしょう。開催頻度においても負担のない範囲で、いくつかの話題提供とそれに対するフリーディスカッションをする場としてスタートするのも良いと思います。また、その場で結論を出す必要はなく、課題提起だけでも十分な成果と思います。課題の種が出来れば、その課題について講演会でのフォーラム、講習会、見学会といったイベントに繋げていけますし、一貫したテーマでのシリーズにしていくことができますので、分科会の参加メンバーにとっても継続的に情報を得ることができます。さらに、最も重要なのは同じ課題を共有する人脈を作ることができますので、イベント参加への益々のモチベーションに繋がると思います。

「多様性の時代」とよく聞くようになりましたが、人の考えにはいろいろあるもので、話してみると新たな発見があるものです。自分の中では結論が出ているようなことでも改めて話題にするような分科会を考えてみてはいかがでしょう?分科会を設置してほしいと思っているテーマなどありましたら、是非、学会にお寄せいただきたく思います。

小職は本部門に長く係わっていたことだけが取り柄のような者ですが、本年度部門長を拝命し、歴代の部門長が築かれた体制を基に、部門活性化に注力する所存ですので、皆様のご協力のほど、宜しくお願いいたします。

2024年度(102期)部門長 舘野 寿丈(明治大学)