構成メンバーは,田畑教授,土屋准教授,菅野助教,招聘外国人学者1名,平井博士研究員,Mohamed博士研究員,博士課程2名,修士課程9名,4回生5名,教務補佐員2名です. “小さな機械が創る大きな機会”をスローガンとし,機械・電気・化学・光・バイオなどの様々な領域に関わる機能部品をマイクロメータからナノメータの微小領域に集積化することによって,新規でユニークな機能を発見させるマイクロ・ナノシステムの実現,および関連する基盤技術の構築,を目的として研究を行っています. 最終目標は,ナノ・マイクロシステムを実現するためのMultidisciplinaryな工学技術(材料工学,システム設計工学,微細加工学,アセンブル工学etc)の体系化(SENS: Synthetic Engineering for Nano System)です. (1)ナノ・マイクロコンポーネントのセルフアセンブリ技術 (2)3次元微細加工技術 (3)静電容量型センサシステム (4)マイクロ流体システムと金ナノ粒子創成 (5)マイクロ・ナノ材料の機械的物性評価 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の性能を飛躍的に向上させるために,マイクロ・ナノオーダーの機能部品をMEMSにセルフアセンブルする技術に関する系統的な研究を行っています.新規に提案したDNA(Deoxyribo Nucleic Acid)をIntelligentな接着剤として用いたセルフアセンブル技術は,その一例です.アセンブルの「位置」と「順序」を制御して複雑な構造を作製するシーケンシャルセルフアセンブルを実現しました.また,直径数十〜数百nmの微粒子から成るナ ノ構造作製技術(粒子アセンブル技術)として,「TASA (Template Assisted Self-Assembly)」と「粒子パターンの転写」を組み合わせた方法を提案しています. 従来のリソグラフィ技術では実現困難な3次元構造を厚膜レジストで実現するための微細加工技術として,「移動マスクUV露光法」を提案し,露光機メーカーと共同開発した専用の露光機を駆使して,基礎から応用までの研究を展開しています.移動マスクUV露光法とは,紫外線露光中にマスクを移動させることでレジスト表面への露光エネルギー分布を制御し,数百ミクロン厚のレジストに自由曲面を有する三次元微細構造体を製作する加工技術です.露光やベーク時のレジスト反応解析から現像シミュレーション,デバイス応用まで幅広く取り組んでいます. 単結晶シリコンを構造体とした静電容量型慣性力センサの研究を行っています.基板垂直方向の変位を検出する新規な垂直櫛歯電極構造とSOI(Silicon on Insulator)ウエハを用いた微細加工プロセスを提案しています.これにより,サーフェスマイクロマシーニングを用いてSOIの活性層のみで構成された3軸加速度センサを実現しました.現在,角速度センサへの展開を進めています.また,静電容量型マイクロシステムの設計を効率化するための電気等価回路による解析手法についての研究も行っています. 電気等価回路を用いたマイクロ流体システムの設計・解析手法に関する研究を行っています.設計・解析手法の応用として,塩化金酸と還元剤の混合速度を制御し,数十nmの均一サイズの金ナノ微粒子を合成するマイクロ流体デバイスの研究を進めています.マイクロ流体デバイスを用いることによって,従来のバッチプロセスでは困難であった,数十nmサイズで均一粒子径の金ナノ微粒子を作製することができます.金ナノ微粒子はバルクと異なる光学的特性を有しており,表面増強ラマン散乱(SERS)を用いた化学分析への応用が期待されています.現在,SERSへの応用に最適な直径60nmの金ナノ微粒子の合成に取り組んでいます. ナノ・マイクロシステムの創成に必要不可欠な構成要素であるマイクロ・ナノスケール材料の機械的物性を評価するための測定法の開発,測定,評価および疲労メカニズム解明に取り組んでいます.マイクロスケールにおいては,「静電チャック」を用いた薄膜引張試験方法,およびデバイス構造の寿命試験方法を提案し,これらを用いて特にシリコンの機械的信頼性に注目した研究を行っています.ナノスケールにおいては,静電容量型MEMSを用いたナノワイヤ引張試験デバイスを製作し,フラーレン(C60 )薄膜ワイヤおよび単層カーボンナノチューブ(CNT)の引張試験に取り組んでいます. |
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