日本機械学会 機素潤滑設計部門

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部門賞贈賞のご報告

HOME > 平成22年度部門賞贈賞のご報告

審査経過

選考委員会 委員長 佐分 茂((株)IHI)

 機素潤滑設計部門では部門活動に多大な貢献をされた方々を対象に部門賞(功績賞と業績賞)をお贈りしております.功績賞は学会・産業界への貢献に対して,業績賞は学術研究の発展と先駆的業績に対してお贈りするものです.昨年度の推薦・応募案件については,部門賞・学会賞推薦委員会による推薦を経たのち,部門選考委員会において検討を重ね,第88期部門運営委員会にて厳正なる審議を行ないました.その結果,功績賞に2名,業績賞に1名の方を選ばせていただきました. 表彰式は去る4月24日〜27日に愛知県蒲郡で開催された部門講演会(The 4th International Conference on Manufacturing, Machine Design and Tribology, ICMDT2011)のBanquetにおいて盛大に執り行われました.受賞者の方々には,心よりお祝い申し上げます.

部門賞受賞者のご紹介

綿貫 啓一(埼玉大学 大学院工学研究科)

功績賞

贈賞理由
 候補者の綿貫啓一教授は,機械システム設計およびヒューマンインターフェイス関連の研究を1984年より継続的に行ってきており,特に最近は「バーチャルトレーニングとOJTを融合した設計・製造知識の獲得および人材育成」および「設計・製造知識獲得過程の脳科学的解明およびバーチャルトレーニングへの応用に関する研究」を精力的に行ってきている.査読付き学術論文62編(日本機械学会論文集等掲載論文:31編),査読付き国際会議論文44編,招待論文等17編,著書15冊,招待講演論文31編(日本機械学会6編),講演会論文250編,解説記事等190編の計609編の研究成果を公表している.これらの研究業績により,2008年3月には日本機械学会フェローに認定されている.
 機素潤滑設計部門において,平成7年度より機械設計技術企画委員会委員・幹事・委員長,部門賞推薦委員会委員,広報委員会委員,ヒト・メカの協調設計研究会幹事,Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing編修委員,The 3rd International Conference on Manufacturing, Machine Design and Tribology (ICMDT2009)実行委員長などを歴任し,第83期および第84期部門幹事,第87期副部門長,第88期部門長として部門運営に尽力し,部門発展に貢献している.
 以上より,綿貫啓一教授は部門賞(功績賞)として相応しい人物であり,推薦する次第である.

受賞にあたって
 この度は,機素潤滑設計部門功績賞を頂き,たいへん光栄に存じます.1991年に埼玉大学に着任後,機械システム設計,ロボティクス,ヒューマンインターフェイス,脳科学など,人に優しい機械設計に関する研究や教育に従事しております.1995年より,機素潤滑設計部門において,機械設計技術企画委員会委員をはじめとして,JAMDSM編修委員,ICMDT2009実行委員長,第83期および第84期部門幹事,第87期副部門長,第88期部門長として,多くの方々に支えられながら部門運営に関われたことに深く感謝申し上げます.私自身にとって,本部門での活動を通じて,研究や教育を進めていくうえでよい影響がもたらされ,充実した日々を送ることができております.本部門は,ものづくりの基盤的な要素技術やシステム技術の発展に関与し,産学官が密接に連携してオープンイノベーションをもたらす重要な基幹分野となってきております.微力ではございますが,今後とも部門発展に貢献できれば幸いです.

上田 昭夫(アムテック有限会社) 

功績賞

贈賞理由
 あまりに伝統的であるためか,歯車技術は成熟技術,完成技術と見なされているようであるが,ものづくりを支える機械工学の最も重要な基幹技術であることには変わりなく,今後もその重要性は増すことがあっても衰えることはないものと思われる.にもかかわらず,多くの企業でアウトソーシングが進み,技術伝承がなされなくなり,失われつつある.そのような中,上田昭夫氏は歯車技術に関するソフトウエアの開発・販売を行う企業を設立された.現在世に出されているソフトウエアは,歯車の強度設計,歯形設計検査,金型,工具,歯形応力解析など広範囲を網羅しており,これらを通して日本の歯車技術を下支えしてこられた.その貢献度は計り知れないものがあり,功績賞を贈るに値するものである.

受賞にあたって
 この度,機素潤滑設計部門「功績賞」をいただき,大変光栄に思っております.当初,機械学会から内示を頂戴したとき,本賞に対して全くと言って良いほど認識不足でしたが,受賞歴を調べてみますと本賞の受賞者がこの業界の重鎮の先生方ばかりであることに大変驚いております.ご高名な先生方と同じステージに名前を連ねるということは,この業界の人間にとって大きな誉れであり身の引き締まる思いで一杯です.
 何故,受賞に至ったのかは承知しておりませんので推測になりますが,今から20余年前に歯車ソフトウェアを専門とした会社を興し,現在,ソフトウェアは,歯車の強度設計,歯形設計,検査,金型,工具,歯形応力解析,特殊歯車,成形研削機用のソフトウェア等々,広範囲を網羅しており町工場から大手企業までお使いいただいていることから,これらのソフトウェアが日本の歯車技術に微力ながらでもお役に立てたのが受賞理由かと思っております.しかし,開発しなければならないソフトウェアが数多く残されているためこれからも研究・開発を積み重ねていく所存であります.皆様方のご指導,ご鞭撻をお願いいたします.

田所 諭(東北大学) 

業績賞

贈賞理由
 被推薦者は電気刺激型高分子ゲルアクチュエータであるICPF (IPMC)が材料として発見された当初より,基礎動作モデルの研究(YTモデルなど),および,先駆的応用の研究開発を世界に先駆けて行った.マイクロマニピュレータや分布駆動デバイスは同種のアクチュエータの応用として世界初であり,触感呈示デバイスへの応用ではタオルやデニムなどの布地の手触り感覚を仮想的に創り出すことに成功し,現在の応用の基礎を築いた.また,繊毛振動駆動をレスキューロボットに適用して,分布駆動によるロバスト性と柔軟機構による耐久性を兼ね備えた能動スコープカメラを開発した.これは瓦礫内の要救助者捜索や管路内部の点検に高い実用性を示し,米国の建設現場倒壊事故の原因調査やケルン公文書館倒壊事故の人命救助などに活用された.これらの業績は消防庁長官表彰,「今年のロボット」大賞優秀賞,各種論文賞などを受賞している.また,被推薦者は,アクチュエータシステム技術企画委員会委員長を務め,アクチュエータに関する教科書・洋書の出版や講習会開催等に対する貢献も甚大である.以上の業績は高く評価できるため,部門業績賞に推薦する.

受賞にあたって
 このたびは部門より業績賞をいただき,大変光栄に存じます.これはひとえに,神戸大学時代より大変お世話になっている高森年先生や,学生時代よりご指導をいただいている樋口俊郎先生をはじめ,多くの先生方にアクチュエータ研究をご教示いただいたおかげです.ここに深くお礼を申し上げる次第です.災害に対応するロボットの主な機能を整理すると,センサにモビリティを与えて状況調査を可能にすること,災害空間を改変し被害の防止と復旧にあたること,の2つです.これら双方において,アクチュエータは極めて重要なキー技術です.たとえば,狭く制約の多い空間では,これまでの車輪やクローラでの移動は困難であり,超小型かつロバストな駆動原理をアクチュエータとして実装しなければなりません.すなわち,基礎研究が必要な課題がいくつも残されており,また,実用化研究が重要な要素も数多く,これからの重点的な研究開発が必要です.今後とも,微力ながらお役に立てるよう努めて参りたく存じますので,皆様のご指導ご鞭撻並びにご協力をお願いいたします.

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