『技術者へのPR』を心がける 第13期関東支部・支部長 東芝 久保田 裕二 |
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第12期の関東支部では、佐藤支部長のリーダシップのもと大変活発な活動が展開されました。特に、夏休みに上野の国立科学博物館で開催された「おもしろメカニカルワールド」には延1万を超える参加者があり、2週間の期間中会場は子供達の熱気に包まれました。また、関東支部の最大の特徴である各ブロックでの自主的な活動も盛んに行われ、支部全体で共催も含め80の行事に延2万4千の人が集まりました。中でも子供向けイベントは大盛況で、子供の理科離れ、技術離れへの対応という点で学会としての重要な使命を果たすことができました。今期もこれらの活動を継続・発展させていきたいと考えます。 しかし、関東支部には問題もあります。それは会員の減少です。ここ3年は学生へのアプローチ強化が巧を奏して学生員は毎年100名程度ずつ増えていますが、正員の減少には歯止めがかかっていません。この5年間で1,400人も正員が減少しました。退会された会員の多くは企業の技術者で、会費に見合うだけの価値を機械学会に見出せなかったのではないかと推察します。モノづくりに関わる企業が集中する関東地区において、技術者の学会離れという現状を支部として真摯に受け止める必要があります。しかし、機械学会には本当に魅力がないのでしょうか。勿論、否です。全てのモノづくりに機械工学、機械技術が不可欠であることに異論を唱える人はいないと思います。新たな機能の開発や機能の高性能化を目指した開発に留まらず、信頼性の向上やコストの削減などモノづくり力の強化においても機械工学、機械技術は重要な役割を期待されていますし、その期待に応えるべく活発な活動が機械学会の中で行われています。残念ながらその事実が一般の技術者には見えにくい状況なのだと思います。論文を投稿したり講演会に参加するなど積極的に学会活動を行っている技術者は全体からみれば極少数です。一般の技術者にとって、機械学会でどのような活動が行われ、機械学会にどのような技術的資産があるかを知る機会は多いとはいえません。これまでも様々な努力がなされてきましたが、今まで以上に学会として「技術者へのPR」を心がけることが必要です。大学や公的研究機関での先端的な取組みや、加工技術などの基盤技術関連企業の情報などに一般の技術者が触れられる交流の場としての支部機能を充実させていきたいと考えます。これは企業の技術者としての私自身の学会への期待でもあります。実際のモノづくりに携わるこれら一般の技術者をいかに取り込むかが、機械学会をより活性化させるためのキーポイントです。 科学技術開発、製造拠点のグローバル化が進展し各国間の競争が激化する中で、学会が担うべき役割の重要性が増しています。関東支部としても子供達への啓蒙活動を含めた人材育成への貢献と産学の総合力発揮を誘発させられるような場の提供を目指して努力していく決意ですので、支部会員皆様からのご支援をお願い申し上げます。 |