4. バイオエンジニアリング
章内目次
4.1 はじめに
バイオエンジニアリング部門(以下,当部門)は,機械工学を基盤として医学や生物学を融合させた多くの研究分野を確立し,また新領域を開拓し続けている.ライフサイエンスの目覚しい進展とともに高度化,多様化する学術領域の発展を支え,それらを新しいイノベーションに結びつけるべく研究活動を行っている.数年前より「老衰」が死亡原因の第3位になった健康長寿の日本においての新たな産業創出に対する貢献や,現在直面している新型コロナウイルス感染症拡大の脅威に対する医療面や環境面からの克服に対する貢献に結びついている.
当部門はバイオエンジニアリング講演会とバイオフロンティア講演会の2つの部門講演会を実施している.前者はメインの講演会であり2021年度より春開催とした.後者は次世代人材となる若手研究者・大学院生による研究交流活動となっている.また,当部門では国際交流活動や分野や学会の壁を越えた活動を積極的に行っている.2021年度は”The 11th Asian Pacific Conference on Biomechanics”が京都大学でリモート開催され,部門英文ジャーナル(Journal of Biomechanical Science and Engineering)の刊行とともに,アジア太平洋地域におけるバイオエンジアリングの学術発展に大きく貢献した.さらに,医学系学会との連携や韓国機械学会との連携などを学会・部門レベルで継続的に行っている.また,スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス部門やマイクロ・ナノ工学部門をはじめとして部門間連携を進め,新領域を開拓している.
本年鑑では,当部門がカバーする研究分野を3分野15テーマに分類し,各テーマが3年ごとに紹介されるように企画されている.本年度は,「バイオメカニカルエンジニアリング」分野から「筋骨格のバイオメカニクス」と「インパクトバイオメカニクス」,「バイオメディカルエンジニアリング・ライフサポート工学」分野から「リハビリテーション工学・福祉工学」と「治療機器」,「バイオテクノロジー・バイオインフォマティクス」分野から「ティッシュエンジニアリング」のテーマを取り上げ,各専門家に最近の研究動向をまとめていただいた.
〔西田 正浩 産業技術総合研究所〕
4.2 筋骨格のバイオメカニクス
4.2.1 概要
筋骨格系は,臓器を保護すると共に人体を形づくり,身体を支えたり姿勢を維持させたりする他,様々な動作や運動を可能にしている.筋骨格系はその文字の如く,筋と骨格から構成されている.骨格は主に骨からなるが,軟骨や靱帯,腱によって相互に連結されることによって形成され機能を果たす.また,この骨格に筋の力が作用することにより,身体を支え様々な動作を実現している.
4.2.2 骨格系
多くの骨が集合し結合することで,人体を形づくる骨組みを骨格と呼んでいる.骨格はヒトとしての体型を形づくり,脳や内臓を外力から保護し,身体を支え,様々な動作や運動を可能するなどの機能を有している.
2つ以上の骨が結合する部分を関節と呼ぶ.骨同士が連結し合う関節面は,一方の骨端は凸形状(関節頭),他方は凹形状(関節窩)などの形状をなしており,関節の可動域の範囲や支持荷重の大きさによって形状適合性が図られている.関節は,その形状や動きの自由度によって種類があり,肘関節などの様に,主として「屈曲/伸展」の1軸方向にのみ動作できる蝶番関節や,肩関節などの様に「屈曲/伸展,内転(内反)/外転(外反),内旋/外旋」の3軸方向に動作できる球関節など様々である.関節面には弾力性に富んだ関節軟骨が介在し,関節に発生する衝撃力を緩和している.関節の周囲は関節包と呼ばれる膜で包まれており,滑膜や滑液によって関節内の摩擦低減や軟骨への栄養供給が行われている.関節包の外側には靱帯があり,骨と骨とを連結し関節の安定性を保つと共に,関節が特定の方向かつ,一定範囲内のみの動きをする様に可動範囲を制限している.また,関節の動作は骨格筋と呼ばれる筋が骨に相対運動を与えることにより実現されるが,筋の両端は腱と呼ばれる帯状の結合組織となっており,骨と強固に付着した腱を通じて筋力を骨に伝えている.
骨格系の主要な要素である骨について概要を記す.生まれたての新生児の時期には約350個の骨があるが,成長の過程で幾つかの骨が結合(骨癒合と呼ばれる)し,成人期までに206個に減少する.ここで,骨の数は骨癒合により減少するが,子供から大人に成長する過程で骨は太く,長くなるため身体は大きく成長することとなる.骨は形状によって長管骨(長骨),短骨,扁平骨,種子骨などに分けられ,各骨の役割に応じて適した形状となっている.骨の機能としては,体重や荷重の支持,脳や内臓の外力からの保護,運動の実現の他に,造血と血液中のミネラル濃度の調整機能を有する.
造血は骨の中央部にある骨髄で行われており,盛んに造血が行われている骨髄は赤色を呈し,赤色骨髄と呼ばれる.造血を終えて脂肪成分に置き換わると黄色骨髄へと変化するが,大量出血時などには赤色骨髄に変わる特徴を有する.新生児は全身の骨髄で造血を行っているが,青年期以降には長管骨(長骨)は造血機能を失い,通常時の成人は椎骨,胸骨,肋骨,骨盤など一部の短骨や扁平骨でのみ造血が行われている.また,血液中に含まれるミネラル成分は筋,血液,臓器の構成成分であると共に,筋や臓器の生理的機能の調整も行っている.血液中に十分なミネラルが存在する場合には,筋や臓器の生理的機能の調整は正常に行われると共に,骨芽細胞により骨形成が行われ,骨の成分としてミネラルが貯蔵される.一方,血液中のミネラル濃度が低下した場合は,筋や臓器の機能に影響を与えるため,破骨細胞により骨自身を溶かし,破壊した骨のミネラル成分を血中に放出することで血液中のミネラル濃度を調整している.
その他の骨格系を要素として,腱と靱帯について一言概説する.腱は,筋と骨とを強固に付着させている結合組織であり,筋の両端に存在する.主成分はコラーゲンの繊維で伸張性に乏しい.代表例としてはアキレス腱が挙げられ,人体の中で一番大きな腱となっている.一方,靱帯は骨と骨を繋ぐ結合組織の短い束であり,関節の安定性と可動範囲を制限する役割を果たしている.靱帯の主成分もコラーゲンの繊維であるが,僅かに弾力性や伸張性がある.長時間にわたり張力を負荷していると徐々に伸び,関節の安定性が低下したり可動域が変化したりするため,脱臼時には早期の整復が重要となる.
4.2.3 筋
筋は細長い繊維状の筋原繊維が集まってできた筋細胞からなる.筋細胞は収縮性に優れており,筋組織はその役割から,骨格筋,心筋,平滑筋に大別される.
骨格筋の両端は骨に付着しており,収縮/弛緩することによって骨に外力を作用させ,相対運動を発生させている.手足などの筋に代表され,自分の意思で動かすことができる随意筋である.微視的には骨格筋は横紋筋と呼ばれ,縞状の模様が認められる.また,骨格筋は筋の特性から,瞬発的な動作時に活躍する白っぽい筋繊維を持つ速筋と,主に持久的な動作時に活躍する赤っぽい筋繊維の遅筋に分類される.これらは身体の各部位によって分布割合が異なる他,同じ部位であっても短距離/長距離走選手などの様に身体の使い方の差によって個人差がある.
心筋は心筋細胞が集まったもので,心臓を形成している.骨格筋と同様に横紋筋から成るが,自分の意思で制御できない不随意筋である.平滑筋は内臓筋とも呼ばれ,胃や膀胱,血管などに見られる不随意筋であり,骨格筋や心筋とは異なり横紋筋ではない.
〔寺島 正二郎 新潟工科大学〕
4.3 インパクトバイオメカニクス
日本国内におけるインパクトバイオメカニクス研究は,日本機械学会や自動車技術会が大きな発表の場となっており,日本機械学会損傷バイオメカニクス研究会,自動車技術会インパクトバイオメカニクス部門委員会において,医学,工学,理学,情報科学など,多角的な観点から学術交流が行われており,一般人から専門家までの幅広い対象に向けた情報提供も行っている(1).さらに近年では日本法科学技術学会,日本転倒予防学会といった科学捜査や医学系の学会において人体が衝撃力を受けた際の受傷リスク定量化を目的とした発表が増えており,それらの学会が臨床応用や社会実装を目的とした産学官連携の橋渡しとなっている.
インパクトバイオメカニクスは1970年代の米国において大きく発展を始めた学問領域である.全米にわたって高速自動車道が整備されるようになると,交通事故(衝突)の問題,特に衝撃力の人体に及ぼす影響が大きな問題となってきたことが理由の一つである(2).そのような経緯で発展を遂げたインパクトバイオメカニクスは,自動車の安全性評価用ダミーの開発やエアバックなどの安全装置の開発に貢献してきた.今日でも米国はインパクトバイオメカニクスにおける情報発信の中心であり,毎年米国で開催されるStapp Car Crash Conferenceは,衝突安全の分野では世界で最も水準が高い学会である.なお,2021年に予定されていたStapp Car Crash Conference の65回目の会議はCOVID-19の影響により中止されたため,2021年Stapp Car Crash Journal(第65巻)への掲載が承認された論文の著者は2022年に実施される第66回Stapp Car Crash Conferenceにおいて発表の機会を得ることになっている.
一方,傷害事件や虐待事件において,その凶悪性を受傷リスクの定量評価という形で立証しようという試みも近年増えている.2021年2月に米国コロラド州州コロラドスプリングスで開かれた米国法科学会主催のAmerican Academy of Forensic Sciences 73rd Annual Scientific Meeting (AAFS2021) では,コンピュータシミュレーションを用いた打撃力鑑定における骨折リスク定量評価法高度化のため,骨に作用する動的外力の圧力分布を高精度に再現する手法に関する発表(3)や児童虐待が疑われる症例に対して治療痕との見分け方に関する発表(4)などが行われた.
医療の分野においては,超高齢社会を迎えている我が国において大きな課題となっている高齢者の転倒骨折予防に関する研究発表が日本転倒予防学会を中心に行われており,転倒時の骨折リスク低減に向けたインパクトバイオメカニクス研究の成果も毎年発表されている. 2021年10月に愛知県名古屋市で開催された日本転倒予防学会第8回学術集会の中で行われたシンポジウム1「転倒外傷予防の最前線」では4件の講演があり,その全てにおいてインパクトバイオメカニクスの視点からの解析,分析,考察が大きなウエートを占めていた(表4-3-1).
表4-3-1 日本転倒予防学会第8回学術講演会シンポジウム1「転倒外傷予防の最前線」
座長 | 原田敦 | 介護老人保健施設ルミナス大府 | |
山本創太 | 芝浦工業大学工学部 | ||
講演番号 | 講演題目 | 講演者 | 所属 |
S1-1 | メカニカルマテリアルを用いた新たな挑戦~転んだときだけ柔らかい床“ころやわ”~ | 杉浦太紀 | 株式会社Magic Shields |
S1-2 | 直階段転落事故の力学シミュレーション | 山本創太 | 芝浦工業大学工学部 |
S1-3 | 数値シミュレーションを用いた頭部外傷の発症メカニズムの解明・解析 | 張月琳 | 上智大学理工学部 |
S1-4 | 法科学および安全性評価における骨折リスク | 伊藤安海 | 山梨大学大学院総合研究部 |
これまで自動車の安全技術開発に大きく貢献してきたインパクトバイオメカニクスであるが,近年は生活支援ロボットの安全要求(ISO 13482で規定)(5)をはじめ,多くの機器,用具の安全性向上のために活用されはじめている(6).また,インパクトバイオメカニクスは医療や科学捜査の分野で活用される機会も増え,より生活に密着した研究領域として発展すると考えられる.しかし,インパクトバイオメカニクス分野で最も多く研究され,その信頼性も高いといわれている頭部耐性の研究成果(Wayne State耐性曲線,HICなど)でさえ,死体実験や動物実験のデータ,安全な領域でのボランティア実験に基づくデータに頼っている(7)現状では,高齢者や乳幼児といった多様な個人差を持つ生きたヒトの挙動や衝撃耐性の推定精度には限界がある.今後は,医学(臨床)研究や,事件・事故データを扱う法科学(科学捜査)研究と従来からのインパクトバイオメカニクス研究に携わる研究者がより連携を深めることで,一人一人のヒトに対する受傷リスクの定量評価技術の高精度化を実現させるなど,安全性評価,医療,科学捜査といった社会の安全を守る基盤技術の中心としてインパクトバイオメカニクス研究が更なる発展を遂げることを期待する.
〔伊藤 安海 山梨大学〕
4.4 治療機器
世界的な高齢化の傾向に伴い,医療機器市場は拡大傾向にある.医療機器には治療機器,診断機器,その他の機器が含まれるが,とりわけ治療機器に関しては市場に占める割合が大きく,成長率が高い.また,利益率も相対的に高いことが報告されている(1).国内でもこの傾向に変わりは無く,国内医療機器市場2.9兆円のうち,治療機器は約6割を占める.治療機器については,輸入比率が高いことも特徴であり,金額ベースで6割以上が輸入品である(2018年報告(2)).
本稿では,治療機器(あるいは治療系医療機器)を該当する4区分の大分類である,「生体機能補助・代行機器」,「処置用機器」,「治療用又は手術用機器」,「鋼製器具」それぞれについて概要を紹介する.表4-4-1にそれぞれの分類と製品例について示す.「生体機能補助・代行機器」には,体内に移植(植込み)し留置することで継続的に機能する様々な機器が含まれる.これらの機器は,生体適合性をはじめとして,機械・電気・化学等の様々な技術的観点から要求に応える必要がある.「処置用機器」は,主として比較的複雑度の低い注射器,チューブ,カテーテル等の機器が含まれ,その多くが単回使用(ディスポーザブル)である.「治療用又は手術用機器」には,多くの先端機器が含まれており,手術用としては電気メス等のいわゆるエネルギーデバイスをはじめ,手術ロボット,そのほかリハビリ用の機器(ロボットを含む),放射線・量子線治療に関する装置等が含まれる.「鋼製器具」については,メス,へら,鉗子等をはじめとする外科手術用器具が多く含まれ,主には滅菌・消毒して再利用する複数回使用製品である.
表4-4-1 治療機器の分類と製品例
大分類の名称 | 中分類の名称 | 製品例 |
生体機能補助・代行機器 | 生体内移植器具,血液体外循環機器,生体機能制御装置,腹膜還流用機器及び関連器具,生体機能補助・代行機器の付属品,その他の生体機能補助・代行機器 | 人工血管・ステント・移植組織血管,植込み型心臓ペースメーカ・自動植込み型除細動器等の植込み型装置,血液体外循環機器,人工透析器等 |
処置用機器 | 注射器具及び穿刺器具,チューブ及びカテーテル,採血・輸血用,輸液用器具及び 関連器具,結紮・縫合用器械器具,外科・整形外科用手術材料,その他の処置用機器 | 注射器,チューブ,カテーテル等,結紮・縫合用器械等,外科手術用補綴・補強材等
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治療用又は手術用機器 | 放射性同位元素治療装置・治療用密閉線源,治療用粒子加速装置,放射性治療用関連装置,理学療法用器械器具,レーザ治療器及び手術用機器,手術用電気機器及び関連装置,ハイパーサーミア装置,結石破砕装置,その他の治療用又は手術用機器 | 放射線・粒子線治療に関する装置,リハビリ機器等の理学療法用装置,電気メス,レーザ治療器等のいわゆるエネルギーデバイス,手術ロボット等 |
鋼製器具 | 切断,絞断及び切削器具,挟器,鋭ひ及び鈍ひ,鈎,開創器,開孔器,起子,剥離子及びてこ,整形外科手術用器械器具,その他の鋼製器具 | メス,へら,鉗子,拡張器等の器具類等 |
冒頭に述べたデータの通り,表4-4-1に示した治療機器の国内市場は1.7兆円にのぼる.その中でも特に大きいのは生体機能補助・代行機器(0.7兆円)と処置用機器(0.8兆円)である.加えて,その成長率は4.3%であり,さらなる拡大が見込まれる.医療機器の進歩が医療技術そのものの伸展へもたらす影響は非常に大きいと考えられる.市場動向からも明らかであるとおり,当該分野は社会の要請が極めて高く,機械技術が成し得る貢献は大きい.国内でもさらなる研究開発の促進と伸展が望まれる.
〔荒田 純平 九州大学〕
4.5 ティッシュエンジニアリング
ティッシュエンジニアリング(Tissue engineering)は,生体組織工学,再生医療工学とも訳され,細胞集団および細胞外基質の組織構築や生体組織・臓器として機能を果たす上でのメカニズムを工学的に理解し,生体内外での組織および臓器再構築を目的とする学術分野と捉えることができる.このような観点からその研究におけるアプローチは多岐にわたり,細胞のバイオメカニクスを基盤として生理学的な機能や応答を明らかにする研究やナノテクノロジー・MEMS技術を用いて生体外で生体組織や臓器の最小単位を構築し,組織の再生過程や病態理解に繋げる研究など,融合領域と言われるバイオエンジニアリングにおいて,さらにバイオエンジニアリングの各分野が融合する領域であると言える.ここでそのすべてを網羅的に解説することは難しいが近年の動向について紹介したい.
2021年にはこの分野の代表的な国際会議であるTERMIS 2021(The 6th world congress of the Tissue Engineering and Regenerative Medicine International Society)が開催されているが,セッションにおいてはMechanobiology,Biomaterials,Regeneration,Induced Pluripotent Stem Cellsなど本分野における代表的なキーワードが並ぶとともに,3D in vitro model,Cancer/Tumor,Disease investigationsなど生体外でがんに代表される疾患モデルの構築やその現象理解への応用を対象とするセッションが設けられており,多くの研究報告がなされていた(1),(2).ティッシュエンジニアリングはその起源として再生医療を実現するための工学的アプローチである側面が大きかったが,近年は培われてきた知見や技術をがん医療など疾患の理解や治療に活かそうとする試みが増えてきている(3),(4).
日本機械学会での研究動向に目を向けると,2021年度は第33回バイオエンジニアリング講演会,日本機械学会2021年度年次大会,第32回バイオフロンティア講演会においても関連のセッションが設けられて活発な研究報告がされている.内容もマイクロ流体デバイスを用いた脳におけるがん微小環境の再現(5),力学的刺激によって筋組織再生を促進する試み(6),生体組織再構築に関わる足場材料の開発(7), など多くの研究報告があり,さらに対象組織・臓器も従前は皮膚,血管,肝臓,骨・軟骨など力学と関連が深いものが多かったが,近年は子宮(8),多臓器モデル(9)など多様化している.
冒頭で述べたように,ティッシュエンジニアリング分野は細胞,生体組織に関連する諸分野が重なる融合領域に属すると考えられ,細胞工学,細胞・組織のバイオメカニクス,バイオマテリアル,MEMS/NEMSなど関連分野との相互作用によって,創薬や医療分野への展開,生理学的現象の理解など今後のさらなる発展が期待される.
〔宮田 昌悟 慶應義塾大学〕