14. 機素潤滑設計
14.1 機械設計
14.1.1 機械設計・運動機構/14.1.2 ヒューマン・マシン・インターフェース設計
14.2 機械要素
14.2.1 伝動要素/14.2.2 ねじ,軸受,案内,シール
14.3 アクチュエータ
14.1 機械設計
14.1.1 機械設計・運動機構
COVID-19の影響により,2020年4月に北海道にて開催計画されていた日本機械学会第20回機素潤滑設計部門講演会が中止となり,2020年9月に名古屋にて開催計画されていた日本機械学会2020年度年次大会がオンライン開催となった.年次大会では,機械設計・運動機構に関連するオーガナイズドセッション「機械システムにおける機構の設計と要素技術」が設けられ,歩行補助装置(1),パラレルメカニズム(2),ケーブルロボット(3)などの基礎的な研究に加えて,新しい研究として,タイル検査用打音装置(4),スクロール圧縮機の機構・運動解析(5)(6)などの応用研究の発表が行われた.
世界で最も歴史の深いロボット・機構に関する国際学会ROMANSY(IFToMM: International Federation for the Theory of Machines and MechanismsとCISM: INTERNATIONAL CENTRE FOR MECHANICAL SCIENCESの共催)が12年ぶりに日本開催(2020年9月:北海道)を計画されていたが,COVID-19の影響によりオンライン開催となった.ROMANSY 2020では,67件の講演論文の中から,森林内の木材の小枝を自動伐採するロボットシステムの研究(7),動作領域を拡大するパラレルロボットの研究(8)がそれぞれ最優秀応用研究論文賞,最優秀研究論文賞を受賞された.
日本機械学会論文集では,マルチボディシステム運動学を用いて差動ネジ機構の組合せ方を総合する基礎的な研究(9)や,摩擦駆動を利用してハンドの無限回転を実現するケーブル駆動ロボット(10),遠心力を利用した車輪径可変型移動ロボット(11),把持したレール上を自走する鉛直移動機構(12)などの新しい機構を提案し,それを応用した研究が報告されている.英文論文誌 JAMDSM (Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing)では,オルダム継手と偏心カムを利用したスライダクランク機構(13),テレスコピックアームを用いた3自由度姿勢制御パラレルメカニズム(14),ギアレス減速機構(15)などのユニークな機構の研究が報告されている.
14.1.2 ヒューマン・マシン・インターフェース設計
日本機械学会,ライフサポート学会,日本生活支援工学会共催で,リハビリテーション,生活支援,生体計測,制御分野等に関連するおける技術研究開発に関連するLIFEが2020年9月に富山にて開催計画されていたが,COVID-19の影響により1年間延期となった.オンライン開催の日本機械学会2020年度年次大会の基調講演・先端技術フォーラムでは,全体のテーマを「機械・ロボットを介護・リハの現場に導入する際のバリアは何か?―現場を考慮した機械設計を目指して―」とし,基調講演では「Pepperロボットのリハビリテーションへの導入と臨床評価」(16),先端技術フォーラムでは「看護者からみたロボット導入における倫理的問題・法的問題」(17),「現状のコミュニケーション・ロボットを活用するための介護現場での工夫」(18),「リハビリテーションの現場に工学機器を導入する際のバリア各種病態との関連からー」(19)の介護・リハの現場でロボットを導入されている医療関係の研究者からの講演が行われ,聴講者の機械関係の技術者・研究者と活発な議論が行われた.オーガナイズドセッション「機械の設計・知能化と人との協調」が設けられ,メカニカル安全ブレーキの車椅子への応用(20)などの機器のハードウエアに関する研究や,生体系(21)や機械系(22)の知的計測に関する研究などの講演が行われた.
日本機械学会論文集およびJAMDSMでは,歩行支援装置の研究(23)(24)に加え,特に2020年は,人間と協調して高度な支援を実現する車輪移動装置の研究(25)-(28)が活発に取り組まれている.
〔原田 孝 近畿大学〕
参考文献
(1) 南後 淳, 田中 貴大, 遠藤 雅大, 股関節と膝関節の角変位の関数関係を考慮した歩行補助装置の出力特性に関する考察, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集 (2020), S11401, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11401.
(2) 井上 優, 渡邊 幸泉, 田沼 千秋, 田中 豊, パラレルメカニズムを用いた立体造形物への加飾印刷システムの開発, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集 (2020), S11403, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11403.
(3) 広里 光樹, 原田 孝, 道岡 武信, 摩擦ケーブル駆動パラレルロボットのケーブル配置と操作力に関する研究, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集 (2020), S11406, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11406.
(4) 岩本 達也, 塚本 達也, 外壁タイル検査のための単列式回転型打音装置の開発, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集 (2020), S11402, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11402.
(5) 阿南 景子, 川又 純也, スクロール圧縮機における補助クランク機構を用いた完全バランス設計, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集 (2020), S11404, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11404.
(6) 阿南 景子, 鈴木 竜馬, 非対称スクロール圧縮機の転覆モーメントの解析法, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集 (2020), S11405, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11405.
(7) Giovanni CARABIN, Davide EMANUELLI, Raimondo GALLO, Fabrizio MAZZETTO, Renato VIDONI, Development of a Climbing-Robot for Spruce Pruning: Preliminary Design and First Results. In: ROMANSY 23 – Robot Design, Dynamics and Control., Springer (2020), DOI: 10.1007/978-3-030-58380-4_13.
(8) Takashi HARADA, Yuta KUNISHIGE, Singularity Free Mode Changes of a Redundantly Driven Two Limbs Six-Dof Parallel Robot. In: ROMANSY 23 – Robot Design, Dynamics and Control., Springer (2020), DOI: 10.1007/978-3-030-58380-4_49.
(9) 原田 孝, 中村 悠人, マルチボディ運動学に基づく2自由度差動ネジ機構の構造の総合, 日本機械学会論文集, Vol.86, No.889 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00155.
(10) 広里 光樹, 原田 孝, 駆動冗長性と運動学的冗長性を有する摩擦ケーブル駆動パラレルロボットのケーブル配置に関する研究, 日本機械学会論文集, Vol.86, No.887 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00003.
(11) 武部 直人, 末岡 裕一郎, 重吉 比呂, 杉本 靖博, 大須賀 公一, 機構的な伸縮性と柔軟性を有する1アクチュエータ車輪型ロボットの開発, 日本機械学会論文集, Vol.86, No.891 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00095.
(12) 石井 貴大, 菅原 雄介, 松浦 大輔, 武田 行生, 松本 壮史, 中澤 大輔, レールを把持しこの上を自走する鉛直移動機構の開発, 日本機械学会論文集, Vol.86, No.890 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00141.
(13) Jun NANGO, Yutaka YOSHIZAWA, Hiroto ANBE, Kouhei MURAKAMI, Design of a rotational-to-linear motion transformer using a double eccentric crank, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol.14, No.3 (2020), DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0040.
(14) Jiangyi HAN, Yuhang WANG, Changgao XIA, Novel three-degrees-of-freedom hitch mechanism for hillside tractors, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, 2020, Vol.14, No.4 (2020), DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0061.
(15) Lizhong XU, Ruixing LI, Planar two-stage movable tooth reducer closed by input shaft, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol.14, No.4, (2020), DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0062.
(16) 谷岡 哲也, 対話およびリハビリテーションロボット導入におけるバリア:Pepperロボットのアプリケーションの開発および臨床評価から, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集 (2020), K11300, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.K11300.
(17) 安原 由子, 看護者からみた対話ロボット導入における倫理的問題・法的問題, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集 (2020), F11301, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.F11301.
(18) 大坂 京子, 現状のコミュニケーション・ロボットを活用するための介護現場での工夫, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集 (2020), F11302, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.F11302.
(19) 菅原 憲一, リハビリテーションの現場に工学機器を導入する際のバリア, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集 (2020), F11303, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.F11303.
(20) 佐藤 喜昭, 三島 弘希, 甲斐 義弘, 速度ベースメカニカル安全ブレーキの開発, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020) ,J16105, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.J16105.
(21) 池原 忠明, 小島 一恭, 筋電図を用いた筋疲労バイオフィードバック装置の開発, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), J16102, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.J16102.
(22) 小島 一恭, 佐藤 博之, 位相シフト撮影による機械要素周期運動の高速高解像度撮影, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), J16101, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.J16101.
(23) Bo-Rong YANG, Hee-Hyol LEE, Eiichiro TANAKA, Posture compensation of a walking assistive device using zero-moment point to stabilize motions on stairs, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol.14, No. 3 (2020), DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0036.
(24) 松田 聡一郎, 武田 行生, ダイナミックペアを適用したモデルに基づく高齢者の歩行時の転倒防止に着目した前方杖先位置の評価法の提案, 日本機械学会論文集, Vol.86, No.885 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00063.
(25) Hiroki KATO, Masaharu KOMORI, Tatsuro TERAKAWA, Human-powered vehicle capable of movement in the longitudinal and lateral directions, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol.14, No.6 (2020), DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0082.
(26) 岡田 昌史, ユウ アレン, 舛屋 賢, 人間支援による車輪移動系の軌道収束制御, 日本機械学会論文集, Vol.86, No.889 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00268.
(27) 坂東 直行, 近藤 学, 池田 貴公, 山田 宏尚, 前輪キャスター上げ動作が可能な車いすシミュレータの開発, 日本機械学会論文集, Vol.86, No.888 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00074.
(28) 楓 和憲, 宇津木 政人, 綿貫 啓一, 村松 慶一, ハンドル型電動車いすの操作情報を用いた心理的負荷のある走行環境の推定, 日本機械学会論文集, Vol.86, No.892 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00162.
14.2 機械要素
14.2.1 伝動要素
国内会議における研究発表は,本会の関連では,2020年度年次大会(2020年9月,名古屋,オンライン開催)「伝動装置の基礎と応用」にて15件の講演発表が行われた.
以下,歯車技術分野の主だった論文を列挙する.最初に歯車加工法について述べる.サイクロイドベベルギヤの共役特性に基づいた歯当たり不良修整法の提案に関する研究(1),切削パラメータを最適することでまがりばかさ歯車の両歯面を加工及び修正する方法に関する研究(2),歯車測定誤差データをもとに,研削誤差を定量的に補正し研削精度を向上させる研究(3),ホーニングホイールの形状決定法に関する研究(4),微粒子ショットピーニング後の仕上げが歯面性状や疲労寿命に与える影響を調査した研究(図14-2-1)(5)などが報告された.真空浸炭窒化処理後,歯面研削のみの歯車をGear G,Gear Gの歯面にダブルショットピーニングを施した歯車をGear GS,Gear GSをさらに歯面研摩を施した歯車をGear GSPとした.この処理により,Gear GSPでは,ND=2.0×107における耐久限σHが2.38GPaにまで達することを実験的に明らかにした.
図14-2-1 歯形方向及び歯筋方向の歯面粗さ(上図)と歯車運転試験結果(下図)
歯車装置の振動については,変速機自動変速機内の遊点部品が衝突する非線形的な捩り振動現象に関する研究(6),減速比の少し異なる2台のモータで1つの負荷を駆動するときの固有振動抑制に関する研究(7)などが報告された.
また,動力損失に関して,高速列車用減速機内部についてMPS(Moving Particle Semi-implicit)でシミュレーションを行った結果に関する報告(8), 遊星歯車の歯数を強ねじれ・強転位設計で6歯とし,1段で減速比を20.67まで高減速化を成立させた研究(9)などが報告された.
歯車の強度に関しては,HIP処理を用いず7.7g/cm3の真密度に近い焼結合金製歯車を作製し,疲労試験により高密度焼結合金製歯車の面圧強度と損傷形態を調査比較した研究(10),無潤滑で使用するチタン合金歯車に銀めっきを施した歯車の摩耗特性に関する研究(11),内部亀裂進展に着目したシミュレーション手法を用いて,ハイパーコニカルギヤの疲労強度評価法に関する研究(12),歯車耐久試験を行い,トロコイド干渉の進行状態と歯筋方向と歯形方向の摩耗によってヘリカルギヤのピッチング耐久性に影響を及ぼすことの検討を行った.また,歯筋方向の修整を適正化することにより,ピッチング耐久性を向上させ得ることを明らかにした(図14-2-2)(13).また,DLCコーティングを適用した歯車を用いた疲労試験により,歯面粗さとDLCコーティングのはく離および疲労寿命についての研究(14)などがなされた.
さらに,計測技術に関して,加速度を用いた計測とサーモグラフィを用いた歯当たり解析により,歯当たり部の温度上昇と振動成分との関係を明らかにした研究(15),最高面圧2.53GPaの条件において動的熱電対法で歯面の温度計測を行った事例(16),また,動的熱電対法において複数接点に温度差があった場合,どの温度が計測されるのかを調査した研究(17),歯すじ偏差から導出される相関係数をもとに作成したマトリクス画像により,ホブ切り時の運動偏差を表現する手法(18),畳み込みニューラルネットワークを用いて樹脂歯車き裂検出システムで,歯車のクラックと非クラックを判断する研究(19)などが報告された.計測技術はさまざまな計測法が提案されている.歯車のかみ合いで発生している現象の正しい理解ができ,その結果から歯車の損傷を防ぐような計測法が望まれている.
これらに加えて歯車以外では,トラクションドライブに関する研究として,高速回転化が進むモータ用減速機の伝達要素開発のための,50000rpmでの評価が可能な高速試験機の開発(20),円筒転がり軸受で構成された無段変速機の動力伝達効率向上に関する研究(21),トラクションドライブの接触部油膜厚さをフォトクロミズムによる計測に関する研究(22),トラクションドライブでのローラ表面の冷却効果についてフォトクロミズムを用いて油膜厚さの分布の可視化を行い,ローラ表面に付着する油の量と冷却効果に関する研究(23)などが報告された.チェーンに関しては,2本掛けの新疲労試験法に関する研究(24)などが報告された.
そのほか,ツェッパ形等速ジョイントの荷重変動低減技術に関する研究(25),同期差動変速機を用いた電動可変ピッチプロペラ機構の提案(26),同じく同期差動変速機の3Dプリンタによる試作(27)などが報告された.
〔東﨑 康嘉 近畿大学〕
参考文献
(1) Jing DENG, Shaowu NIE, Xiaozhong DENG and Chuang JIANG, Tooth surface mismatch modification method of cycloidal bevel gear based on conjugate tooth surface modification, Bulletin of the JSME, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol.14, No.1 (2020), Paper No.19-00319, DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0017.
(2) Jing DENG, Chuang JIANG, Xiaozhong DENG, Mingzhu ZHANG and Shaowu NIE, The optimal calculation and machining of the spiral bevel gear pinion based on the same cutter head, Bulletin of the JSME, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol.14, No.4 (2020), Paper No.19-00273, DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0045.
(3) Tianxing LI, Jinfan LI, Xiaozhong DENG, Meng TIAN and Yulong LI, Quantitative correction method for the grinding errors of cycloidal gears in precision reducer, Bulletin of the JSME, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol.14, No.4 (2020), Paper No.20-00065, DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0052.
(4) Kouji MATSUO, Yoshitomo SUZUKI, Junichi HONGU, Daisuke IBA and Ichiro MORIWAKI, Method of designing gear-honing-wheel geometries (Validation based on fundamental theory and honing experiments), Bulletin of the JSME, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol.14, No.7 (2020), Paper No.20-00241, DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0098.
(5) 森川浩次,西山健太郎,中江道彦,微粒子ショットピーニング後の歯面仕上げが真空浸炭窒化歯車の歯面性状と疲労寿命に及ぼす影響,日本機械学会論文集, Vol. 86, No. 887 (2020) ,DOI:10.1299/transjsme.20-00090.
(6) 宮部友博,日比野良一,豊田光洋,萩野保幸,AT内の遊点部品によるパワートレーンの非線形捩り振動現象の解析,日本機械学会論文集, Vol. 86, No. 883 (2020),DOI:10.1299/transjsme.20-00267.
(7) 前川明寛,安江寿洋,飯田光,山田拓海,減速比が異なる二軸のタンデム制御(固有振動抑制に関する3方式の比較),日本機械学会論文集, Vol. 86, No. 889 (2020),DOI: 10.1299/transjsme.19-00456.
(8) Xingqiao DENG, Shisong WANG, Shike WANG, Jie WANG, Yucheng LIU, Yangqing DOU, Ge HE and Linmao QIAN, Lubrication mechanism in gearbox of high-speed railway trains, Bulletin of the JSME, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol.14, No.4 (2020), Paper No.19-00465, DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0054.
(9) 岡部祐貴,藤川実香,高減速・高効率遊星ギヤ(1段減速で高減速・高効率を実現する遊星ギヤの開発),日本機械学会2020年次大会講演論文集(2020),S11218, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11218.
(10) 藤井正浩,宮脇良太,伊志嶺朝之,江頭繁樹,高密度焼結合金製歯車の損傷形態と疲れ強さ,日本機械学会2020年次大会講演論文集(2020),S11106, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11106.
(11) 東﨑康嘉,小谷晃輝,小島一輝,銀めっきを施したチタン合金歯車の摩擦摩耗特性に関する研究,日本機械学会2020年次大会講演論文集(2020),S11108, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11108.
(12) 上野颯太,大町竜哉,内部亀裂進展に着目したハイパーコニカルギヤの歯面疲労強度解析,日本機械学会2020年次大会講演論文集(2020),S11111, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11111.
(13) Koji KUMAGAI, Yuta NAITO and Syuhei KUROKAWA, Pitting failure of helical gears induced by trochoidal interference and multidirectional, interacting wear, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol. 14, No. 4, (2020), Paper No.20-00109, DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0060.
(14) 藤井正浩, 慶児祐介, 田中祥和, 藤井慎也, 歯車に施したDLC コーティングのはく離挙動に及ぼす基材粗さの影響, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), S11112, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11112.
(15) 作田浩輝, 山下蓮, 松井翔太, 廣垣俊樹, 青山栄一, 高速ビデオ型赤外線サーモグラフィによる熱画像に基づくハイポイドギヤのかみあい現象の解明とオフセット量の影響, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), S11115, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11115.
(16) 東﨑康嘉, 田端一真, 保阪瞭太, 奈良智明, 櫻井英人士, 動的熱電対法を用いた超高面圧時の歯面温度評価に関する研究, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), S11116, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11116.
(17) 東﨑康嘉, 櫻井英人士, 保阪瞭太, 奈良智明, 田端一真, 複数接点に温度差がある場合の熱起電力に関する研究, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), S11117, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11117.
(18) 河野邦俊, 射場大輔, 瓜生耕一郎, 井上大暉, 森脇一郎, ホブ盤診断システムのための歯車精度表現手法, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), S11217, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11217.
(19) Kien Huy BUI, Daisuke IBA, Yunosuke ISHII, Yusuke TSUTSUI, Nanako MIURA, Takashi IIZUKA, Arata MASUDA, Akira SONE and Ichiro MORIWAKI, Vibration-based plastic-gear crack detection system using a convolutional neural network – Robust evaluation and performance improvement by re-learning, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol. 14, No. 3, (2020), Paper No.19-00315, DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0035.
(20) 山本健, 飯野樹, 高回転トラクション/歯車試験機の製作, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), S11101, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11101.
(21) 東﨑康嘉, 四方晧平,柳井剛志,小林洸太,円筒ころ軸受を用いた無段変速機の接触面改善による動力伝達効率向上に関する研究, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), S11103, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11103.
(22) 宮島拓也, 落合成行,トラクションドライブにおけるフォトクロミズムを用いた弾性流体潤滑下での接触部の油膜厚さ測定, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), S11102, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11102.
(23) Naoki MURAOKA, Masayuki OCHIAI, Effect of oil film behavior on roller surface on cooling in traction drives, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol.14, No.3 (2020), Paper No.19-00311, DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0038.
(24) 田村晃斗, 板垣貴喜,高橋美喜男,高橋秀雄,伝動用チェーンの新疲労試験方法に関する基礎研究, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), S11110, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11110.
(25) 杉浦豪軌,柏木勇史,池尾眞人,ツェッパ形等速ジョイントのボール荷重変動低減技術に関する研究,日本機械学会論文集, Vol. 86, No. 882 (2020) ,DOI:10.1299/transjsme.19-00264.
(26) 大河原孝, 後藤佑典,松日楽信人,同期差動変速機の仕組みと電動可変ピッチプロペラ機構, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), S11210, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11210.
(27) 後藤佑典,大河原孝,松日楽信人,同期差動変速機の設計と3Dプリンタによる試作, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020),S11212, DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.S11212.
14.2.2 ねじ,軸受,案内,シール
2020年度年次大会講演会では,ねじ関連の発表が8件,軸受及び案内関連の発表が6件,シール関連の発表が1件あった.
a.ねじ
締結ねじでは,ねじ締結体の疲労強度に関する研究(1)(2),油圧テンショナを用いたねじ締結に関する研究(3),ピッチ差を付加したねじ締結体の締め付け/緩ませ過程の有限要素法解析に関する研究(4)などがあった.
送りねじでは,高負荷かつ高速で使用されるボールねじの制御に関する研究(5)などがあった.
b.軸受
転がり軸受に関する研究としては,転がり軸受の回転非同期振れを加振によって低減する研究(6),回転方向変化が小型軸受玉軸受の疲労寿命に与える影響に関する研究(7),転動体の荷重分布が小型軸受玉軸受の疲労寿命に与える影響に関する研究(8)などがあった.
すべり軸受に関する研究としては,すべり軸受の自励振動の予測に関する研究(9),ティルティングパッドジャーナル軸受の給油量と温度及び動特性に関する研究(10),すべり方向に撥水領域と親水領域を交互に配置した部分撥水型軸受に関する研究(11)などがあった.
軸受に関する他の研究としては,受動型磁気軸受の抵抗削減と共振回避に関する研究(12) などがあった.
c.案内
案内に関する研究としては,直動ボールガイドの静剛性に関する研究(13),直動ボールガイドの高精度化に関する研究(14)などがあった.
d.シール
シールに関する研究としては,半径流ラビリンスシールの漏れ流れに関する研究(15)などがあった.
〔岡田 学 長野工業高等専門学校〕
参考文献
(1)Masaya HAGIWARA, Ryota SUZUKI, Yutaka INAGAKI, Effect of bending moment on the fatigue strength of a bolt in bolt/nut assembly, Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing Vol.14, No.3(2020), DOI: 10.1299/jamdsm.2020jamdsm0031.
(2)小田和広,松成智彦,王彪,野田尚昭,佐野義一,立石孝介,薬師寺輝敏,乾湧人,ボルト・ナット締結体の疲労強度に及ぼすボルト形状とピッチ差付与の影響, 日本機械学会論文集 Vol.86, No.884(2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00339.
(3)丹野洋平,油圧テンショナを用いた各種ボルト締結体の軸力推定手法, 日本機械学会論文集 Vol.86, No.886(2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00036.
(4)野田尚昭,劉溪,佐野義一,立石孝介,王彪,乾湧人,高瀬康,ピッチ差を有するボルト・ナット締結体の締め付け/緩ませ過程の3次元有限要素法解析, 日本機械学会論文集 Vol.86, No.886(2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00413.
(5)箕田幸太郎,涌井伸二,射出成形機における位置と力のハイブリッド制御に基づく高速運転時の衝突力と応力の低減, 日本機械学会論文集 Vol.86, No.885(2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00425.
(6)正和裕太,吉岡勇人,新野秀憲,工作機械用転がり軸受主軸の工具回転非同期振れによる加工面影響の低減(加振システムの開発),日本機械学会論文集 Vol.86, No.884(2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00450.
(7)野口 昭治,金田 徹,宮永 宜典,堀田 智哉,小型玉軸受の振動上昇損傷に及ぼす回転方向変化の影響, 日本設計工学会誌, Vol.55, No.11(2020) , DOI: 10. 14953/jjsde.2020.2892.
(8)野口 昭治,吉山 光佑,金田 徹,堀田 智哉,転動体荷重分布を考慮した小型玉軸受の疲労寿命評価, 日本設計工学会誌, Vol.56, No.2(2020) , DOI: 10. 14953/jjsde.2020.2889.
(9)関口 泰久,松田 隆太郎,大上 雅弘,松下 修己,すべり軸受ロータ系の安定限界の簡易予測, 日本機械学会論文集 Vol.86, No.885(2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00445.
(10)辺見 真,高橋 直彦,山下 智彬,直接潤滑式ティルティングパッドジャーナル軸受の温度および動特性に対する給油量の影響, 日本機械学会論文集 Vol.86, No.892(2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00218.
(11)竹内 彰敏,部分撥水領域を有するフラットスラスト軸受の水潤滑特性基礎, 日本機械学会論文集 Vol.86, No.893(2021), DOI: 10.1299/transjsme.20-00226.
(12)Mahmoud S. MAHMOUD, Satoshi UENO and Changan JIANG, Power reduction and resonance avoidance of Maglev vertical axis wind turbines using attractive type passive magnetic bearings, Mechanical Engineering Journal Vol.7, No.5(2020), DOI: 10.1299/mej.20-00043.
(13)今井竜也,青山将大,濱田喜大,高橋徹、野口昭治,直動ボールガイドの静剛性の解析に関する研究(負荷分布理論の解析精度向上と解析コスト低減), 精密工学会誌, Vol.86, No.5(2020), pp.353-359.
(14)高橋徹、野口昭治,直動ボールガイドシステムの高精度化に関する研究(テーブル剛性がウェービング振幅値に与える影響について), 精密工学会誌, Vol.86, No.10(2020), pp.793-799.
(15)兼森 祐治, 半田 康雄,ポンプ性能に及ぼす半径流ラビリンスシールの影響, 日本機械学会論文集 Vol.86, No.887(2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00408.
14.3 アクチュエータ
本会2020年度年次大会(2020年9月,名古屋/オンライン)において,本会機素潤滑設計部門(本部門)アクチュエータシステム技術企画委員会(AS委員会),ロボティクス・メカトロニクス部門及び,流体工学部門のジョイントセッション「次世代アクチュエータ」が企画され,21件の口頭発表があった.形状記憶合金や圧電材料といった機能性材料を用いたアクチュエータ,ソフトアクチュエータ,機能性流体を用いたアクチュエータに関する研究成果が報告された.加えて,プラズマアクチュエータに関する研究発表が多く見られた.次世代に向けたアクチュエータ開発が期待される.
同大会では,慶應義塾大学竹村研治郎教授より「超音波細胞学:音響工学と細胞生物学の融合」と題した基調講演(1)が行われ,音響工学と細胞生物学が融合した学問分野についてご紹介いただいた.また,先端技術フォーラムとして「触覚技術の展開」が企画され,5件の講演が行われた.アクチュエータ・センサの進化にともなう触覚技術の展開が期待でき,触覚提示技術,触覚研究の新しい方向性,それらを支えるアクチュエータ技術などについて広く議論する場となった.
日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門が主催するロボティクス・メカトロニクス講演会2020(オンライン)では全体で1,319件の発表が行われた.OS「アクチュエータの機構と制御」,OS「ソフトロボット学/フレキシブルロボット学」,OS「フルードパワーロボティクス」を中心に多くのアクチュエータ技術に関する研究発表が行われた.アクチュエータ関連の最新の研究成果が報告された.
隔年で開催される国際会議ACTUATORが21年2月にオンラインで開催された(当初,2020年6月にドイツ開催予定).圧電アクチュエータ,磁歪アクチュエータ,ポリマーアクチュエータ,ER流体/MR流体アクチュエータなど,アクチュエータ開発研究の成果が数多く報告された.中でも,形状記憶合金を用いたアクチュエータ研究の発表件数が前回よりも多くなっていた.
〔高崎 正也 埼玉大学〕
参考文献
(1) 竹村 研治郎, 超音波細胞学:音響工学と細胞生物学の融合, 日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(2020), DOI: 10.1299/jsmemecj.2020.K11200.