13. 機械力学・計測制御
13.1 概論
13.1.1 学術論文/13.1.2 講演会,講習会など
13.2 スマート構造
13.3 計測
13.3.1 計測器/13.3.2 状態監視/13.3.3 二次元計測/13.3.4 産業応用
13.4 非線形振動
13.4.1 国内会議/13.4.2 国内ジャーナル/13.4.3 海外ジャーナル
13.5 マルチボディダイナミクス
13.6 最適化
13.7 音響・騒音
13.1 概論
機械力学・計測制御部門(以下,本部門)は,機械工学におけるいわゆる「四力学」の一つである「機械力学」(振動学を中心とする機械のダイナミクス)と「計測と制御」の分野を主たる活動基盤としている.機械の運動に広く関係し,設計工学や計算力学,バイオメカニクスやスポーツ工学など多様な技術分野との接点を持つとともに学術的な基礎研究から各種産業における実践的な応用研究まで裾野の広い研究活動を行っていることが本部門の特徴といえる.本部門の部門登録者数(第1位から第3位まで)は5137名(2021年3月末)で,流体工学部門に次ぐ規模である.これらの会員が中心となって活発な研究活動が行われており,その成果は主に日本機械学会論文集(和文・英文)やD&D(Dynamics and Design Conference)などの講演会等を通じて発表され,また講習会等における教材として使われ参加者に継承されている.2020年は新型コロナウイルス感染症流行により本部門の諸活動も大きな影響を受けたが,知恵と工夫により可能な形での活動を精力的に行った.ここでは2020年の学術論文掲載および講演会開催の状況,2020年度の講習会実施状況について概説する.
13.1.1 学術論文
2020年1月から12月に日本機械学会論文集に掲載された学術論文のうち,「機械力学,計測,自動制御,ロボティクス,メカトロニクス」のカテゴリーの論文および8月刊行の「機械力学・計測制御分野特集号2020」に掲載された論文(特集号挨拶を除く)は合計88編であった.これは同期間における日本機械学会論文集の掲載論文総数(特集号挨拶を除く)の29%(88編/総数308編)にあたる.なお「生体工学,スポーツ工学,人間工学」および「交通・物流」のカテゴリーにも本部門に深く関連する論文があり,これらも含めれば論文数および割合ともに増加する.この5年間の掲載論文数は,124編(2016年),122編(2017年),108編(2018年),88編(2019年),88編(2020年)と推移しており,減少傾向が改善されたとは言えない.ただし論文総数に対する割合は,31%(2016年),29%(2017年),30%(2018年),28%(2019年),29%(2020年)と同程度を維持しており,日本機械学会論文集に対する貢献度としては高い値を保っている.主な論文発表の場が国外の英文誌に移行する傾向にあることは否めないが,国内の機械工学分野における和文論文の意義を考えると,特集号企画をはじめ掲載数確保に努める必要がある.
13.1.2 講演会,講習会など
毎年開催される部門講演会「Dynamics and Design Conference」(略称 D&D)は本部門活動の中心である.2020年は総合テーマ「交わり,繋がり,さらなる発展へ」のもと,9月1日~4日の4日間にわたり,大阪府立大学中百舌鳥キャンパスで開催予定であったが,新型コロナウイルス感染症に対する日本機械学会としての対応方針に従い,オンラインでの開催となった.講演はZoomにより行い,発表件数は,特別講演1件・KSME(韓国機械学会)招待講演1件を含む284件,参加登録者数は509名であった.懇親会と振動工学データベースフォーラム(v_BASE)は中止されたが,部門賞贈呈式はオンラインによる受賞者紹介として実施されたほか,若手活性化委員会が企画した若手研究者と学生の人脈づくり交流会と,展示参加企業によるプレゼンテーションがいずれもオンラインで実施された.
そのほかの講演会として,当初9月に朱鷺メッセ(新潟市)で開催予定だった国際会議「The Fifteenth International Conference on Motion and Vibration Control(MoViC2020)」を12月に延期の上,オンデマンド形式のe-conferenceとして実施し,参加者数は127名,88件の講演発表があった.なお11月に三菱ケミカル(株)CSセンター(神奈川県平塚市)で開催予定であった「第19回評価・診断に関するシンポジウム」は中止した.
2020年度の部門主催講習会は,2020年12月15日に「振動モード解析実用入門」(受講者59名),2021年1月21日に「マルチボディシステム運動学の基礎」(同39名),2021年1月22日に「マルチボディシステム動力学の基礎」(同41名),2020年12月18日に「納得のロータ振動解析:講義+HIL実験」(同13名),2021年1月19日,20日に「回転機械の振動」(同29名)をそれぞれオンラインで開催した.なお関東地区と関西地区で開催予定であった「振動分野の有限要素解析講習会(計算力学技術者2級認定試験対策講習会)」はいずれも中止した.これらの講習会はこれまで継続して行われ,一定の受講者を獲得して本部門に関連する知識や技術の教育,啓発に大きな役割を果たしてきた.2020年度オンライン開催となっても従来と同程度かむしろ多くの受講者を得ており,本部門の講習会へのニーズの高さと,オンライン形式による実施との親和性が確認できたといえる.
このようにコロナ禍の状況下でも,可能な形式で活発に講演会および講習会を開催しており,本部門の活力を示したといえる.
〔富岡 隆弘 秋田県立大学〕
13.2 スマート構造
スマート構造は,センサやアクチュエータを内包し,環境の変化に自律的・能動的に応答する能力を備えたしなやかな構造物の創製,という概念のもとで過去30年以上にわたり研究が進められてきた.機械工学のみで推進できる課題ではなく,制御工学,材料工学,電気工学などスマート構造を成すために必要な多くの学問を股にかけることが必要であり,上記の基本コンセプトは学際的・横断的分野のそれであると言える.そのためか,ここ30年を振り返ってみても7年から10年単位でその動向が変貌してきたと捉えることができる.材料そのものの知的化の概念は国内にも存在したと考えられるが,Adaptive Structureのような用語をもって構造物や構造システムとしての知的化が推進されるようになったのは1980年代の特に後半からであった.まず,圧電センサやアクチュエータをはじめ各種能動素子が用いられた振動制御が多く研究された1990年代,次いで,エネルギーハーベスティングなど新たな用途に関心が向けられ,エネルギーとしての話題が盛んに議論され,またモニタリング・評価・診断などについても検討が進められた2000年代,さらに,再び振動制御への回帰とともに静音化や静粛化などのニーズや能動的材料開発への再興が見られた2010年代のように大まかに総括することが,一つの見方としてできる.このように,基本的にはアクティブ構造(能動的な素子を内包した構造物)のモデル化と制御を主題にしているという前提の上で,その時点でターゲットとする研究対象は変幻自在に変貌するかのような動向を見せ,また単一の専門や学問でカバーできない課題も多いことから,コラボレーションが鍵となる分野でもあると言える.
2020年の国内のスマート構造研究の動向であるが,日本機械学会においても2020年9月の機械力学・計測制御部門講演会(D&D2020)において例年通り「スマート構造システム」のオーガナイズドセッションが企画され,14件の講演がなされた.その内訳は,エネルギーハーベスティング7件(1)-(7),構造ヘルスモニタリング4件,制振3件であり,後者の7件のうち多くはやはり電源やエネルギー関連しており,依然として発電や回生などエネルギー関連にかなりのウェイトがあることが窺える.このエネルギー関連の研究として,非線形圧電方程式に基づくもの(1),励振型振動発電(2),磁歪式振動発電(4)(6),可変型同調回転慣性質量(5),二自由度振動子(7)など種々の手法や切り口による報告があり,また波力発電(3)なども検討が進められた.また,実用化に向けた材料開発とエナジーハーベスティング内蔵システムの実証前段階の試みも行われてきており,多くの研究者によって多岐にわたる検討が進められていると考えられる.また冒頭に述べた通り,多分野との境界領域に位置する研究や,ターゲットとする構造物の多様性も特徴である.構造物の遠隔モニタリングを視野に入れた振動発電や風力発電(8)の試みなど,流体工学や土木・建築工学との境界領域の研究などもなされている.
2020年における海外のスマート構造研究動向を見ると,この分野における代表的国際会議である米国機械学会の2020 Conference on Smart Materials, Adaptive Structures and Intelligent Systems(SMASIS)や(9),国際光工学会(SPIE)のSmart Structures + NDE 2020(10)においても引き続き多くの講演が集まり,それぞれ2020年9月および2020年4月に開催された.それぞれの学会において,エネルギーハーベスティング研究のみならず,機能性材料,アクティブマテリアル,モデリングと制御,実装システム,生体模倣など,スマート構造研究を成す重要な小研究分野について,それぞれ研究発表がなされている.また,国際的に見たときにも,このスマート構造分野を”smart structure”のキーワードを通して考察するのみでは最早不十分な状況になってきている.例えば,本稿でキーワードとして揚げたエネルギーハーベスティング研究についてリサーチするには,応用エネルギー工学,ナノテクノロジーなど,スマートとは異なるキーワードで表現される分野のことにも視野を広げておく必要があると考えられる.これらの分野での研究動向の進展は速く,1年より短期間を単位とする動向の把握も必要となっている.日本機械学会 機械力学・計測制御部門においても「スマート構造システムの将来技術と実用化に関する研究会」が継続中であるが,最新の動向把握やコラボレーションの模索なども目標に,さらなる活動と交流の活発化が期待される.
最後になるが,実用化に向けた大規模研究の動向も注目される.振動発電システムと構造物のモニタリングおよび収集された信号の最適利用などを総合的に進める試みも増えてくると考えられる.振動発電機とセンシング機能をパッケージ化した上で長大橋に設置し不安定振動の予測などに繋げる研究プロジェクトも始まっており,その成果や進展が期待されている.
構造物を小型・軽量化・知的化するということは,質量やスペースを付加的に占有することなく構造物をエネルギー的に最適化することでもあるといえる.この意味でここ数年のスマート構造研究における展開は興味深く,今後あらゆる分野やターゲットを巻き込んで本研究分野が存続・発展してくものと予想される.本稿では紹介できなかったが,遮音システムの研究や,宇宙構造物などをターゲットにしたスマート構造化の研究も引き続き進められており,これら潜在的に多くの可能性を秘めた小分野が本研究分野の新たな動向を生むことにも期待して結びとしたい.
〔西垣 勉 近畿大学〕
参考文献
(1)伊藤有以, 浅沼春彦, 小松崎俊彦, 非線形圧電方程式を基にした振動発電素子の非線形パラメータの決定方法, 日本機械学会Dynamics and Design Conference (D&D2020) 講演論文集,No.447. DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.447.
(2)田中寛人, 浅沼春彦, 小松崎俊彦, 励振型振動発電素子に適した高出力回路の検討, 日本機械学会Dynamics and Design Conference (D&D2020) 講演論文集,No.448, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.448.
(3)根元雄大, 杉浦啓太, 瀧野稔, 浅井健彦,可変型同調回転慣性質量機構をもつ可動物体型波力発電装置, 日本3械学会Dynamics and Design Conference (D&D2020) 講演論文集,No.449, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.449.
(4)北翔太, 上野敏幸, 磁歪式振動発電デバイスの共振周波数調整の広帯域化に関する研究, 日本機械学会Dynamics and Design Conference (D&D2020) 講演論文集,No.450, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.450.
(5)瀧野稔, 浅井健彦, 可変型同調回転慣性質量トランスデューサーの発電効率の実験的検証, 日本機械学会Dynamics and Design Conference (D&D2020) 講演論文集,No.451, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.451.
(6)神田一明, 上野敏幸, 磁歪式振動発電デバイスの簡易共振調整機構の実振動下動作検証, 日本機械学会Dynamics and Design Conference (D&D2020) 講演論文集,No.452, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.452.
(7)田口貴一, 青島慶信, 齋藤彰, 二自由度振動子を用いた電磁誘導型エナジーハーベスタの動的解析, 日本機械学会Dynamics and Design Conference (D&D2020) 講演論文集,No.453, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.453.
(8)小田千寿々, 西垣勉, 圧電フィルムを用いた発電旗の構造パラメータが発電性能に与える影響について, 日本機会学会 第30回環境工学総合シンポジウム2020 講演論文集, No.415, DOI: 10.1299/jsmeenv.2020.30.415.
(9)Proceedings of ASME 2020 Conference on Smart Materials, Adaptive Structures and Intelligent Systems (2020).
(10)Proceedings of SPIE Smart Structures + NDE 2020 (2020).
13.3 計測
機械力学・計測制御分野における計測に関する2020年の研究動向について概観する.計測技術のそのものを対象にした研究は少ないが,力学現象の解析,制御を行う上では必須の技術であり,当部門の根幹をなす分野であると言える.日本機械学会論文集,Dynamics and Design Conference(2020年9月1-4日にオンライン開催),国際会議MoViC2020(2020年12月8-11日オンデマンド開催)での発表を参考に,国内を中心にした計測技術の動向を紹介する.
13.3.1 計測器
計測器そのものに関する研究としては,エナジーハーべスティングと呼ばれる振動発電と組み合わせたものが多い.藤本らは,積層PZT素子で振動発電を行い,その電力で加速度を駆動して,計測できることを示している(1).佐藤らは,磁歪式発電デバイスを電源とセンサとして利用することを提案している(2).増田らは,圧電素子を発電機,アクチュエータおよびセンサとして利用し,励起した弾性波動に対する応答を計測・分析する自己給電型のアクティブセンサを提案している(3).トリリオンセンサーの時代と言われているが,電源の確保が問題となっている.これらは,それを見越した計測技術と言え,同分野の研究は,今後も増えていくと考えられる.
13.3.2 状態監視
インフラ施設の老朽化が社会問題となっているが,それを受けて,多くのモニタリングに関する研究が発表されている.田中らは構造物を対象とした接触型損傷検出(4),Matsuiらは,コンクリートの欠陥検知(5)を,川合らは,街路灯に振動を加え,その応答から質量,剛性等のパラメータ同定を行う,アクティブ計測に基づくモニタリングを行うことを提案している(6).矢野らは,インフラ,プラント点検用ロボットが表面の錆やクラックを画像で点検できるシステムの開発を行っている(7).井村らは,周波数応答から機械学習で境界条件を予測することによるモニタリングを(8), Buiらは,深層学習によるプラスティック歯車の故障検知を行っている(9).木村らは,回転揺動装置を用いて,ファンモータの診断を行っている(10).高重らは,オクターブバンド分析と機械学習を組み合わせた,液体式変速機の異常検知を行っている(11).状態監視においては,計算機の能力向上を背景に,多くのデータを用いた機械学習を使った研究が増えると予想される.
13.3.3 二次元計測
奥村らは,高い空間分解能で膜面の振動応答をカメラによって計測する技術を扱っている(12).松本らは時間平均デジタルホログラフィ干渉法による振動モードの可視化を試みている(13).森本らは,モアレトポグラフィを用いた1ピッチ位相解析を提案し,それを用いてボンネットおよびエンジンの振動分布計測を行っている(14).黄らは,非平面構造物の振動インテンシティ測定法を行っている(15).センサは1点を計測するものが多いが,画像処理技術の向上を背景に,カメラ等を用いた二次元面の計測が可能になっている.
13.3.4 産業応用
谷岡らは非同時計測信号を用いた統合高寄与主成分モード抽出手法に関する研究を行っている(16).間々田らにより,圧電素子を内蔵した鉄道車両用歯車箱吊り用ゴムの出力から歯車箱軸受の損傷検知を行う方法も提案されている(17).振動音響分野では,車体のモード解析,車体の状態監視等において,計測技術の研究は精力的に進められている.村上らの自動運転に適用する三次元点群の評価に関する研究(18),安藤らの路面に埋め込まれた永久磁石の磁気を計測して,自動車の位置推定を行うシステムに関する研究は,自動車の自動運転に向けた自己位置同定技術を扱っている(19).河原らは,超音波を用いた小型UAVの対気速度の計測を行っている(20).また,可視光カメラを用いた眼球運動計測による自動車運転時のメンタルワークロードの推定(21),パーソナルビークルの搭乗者の行動測定のような,人間工学を向いた計測技術の研究も発表されている(22)(23).従来の車体の音響振動解析に加え,自動車の運転支援・自動運転,無人航空機も有力な応用分野と考えられる.
また,藤岡らは,導電性編物による就寝姿勢モニタリングシステムの開発(24),大瀧らは3軸力覚センサを用いた透析用穿刺針刺入時の把持力の計測(25),廣瀬らは,ウェアラブルセンサシステムを用いた関節トルク推定を行っている(26).吉田らは,ゴルフパターヘッドの三次元運動計測を行っている(27).安比留田らは,誘電エラストマーアクチュエータによって加振し,レーザードップラー振動計(LDV)を用いてりんごの振動応答を計測している(28).このように,医療福祉分野,スポーツ分野での計測分野においても精力的に研究は進められており,また,食物のような柔らかい物質の振動性の計測も,有望な応用先として考えられる.
〔小森 望充 九州工業大学〕
参考文献
(1) 藤本滋,小島翔,一木正聡,La 添加積層型 PZT 素子を電源とした自律型加速度モニタリングシステムの実証実験,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.444, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.444.
(2) 佐藤祐輔,上野敏幸,北翔太,磁歪式振動発電デバイスを利用した電池フリーセルフ速度センシング無線システムの特性評価,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.445, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.445.
(3) 増田新,廣田淳也,井上雅敏,藤原遥介,三浦奈々子,圧電素子を用いた自己給電型超音波センサのNICに基づく発振回路,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.446, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.446.
(4) 田中昂,大浦靖典,前田秀哉,呉志強,非線形波動変調によって生じる固有振動数変動を用いた接触型損傷の程度評価(時刻歴応答解析による固有振動数変動推定手法の検討),日本機械学会論文集, Vol. 86, No. 889 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00105.
(5) Matsui, N., Kuratani, F., Yoshida, T., Hasebe, Y., An automatic detection method for concrete defects based on self-organizing map for rotary hammering test, The 15th International Conference on Motion and Vibration Control (MoViC2020) (2020), Paper ID:10054, DOI: 10.1299/jsmeintmovic.2020.15.10054.
(6) 川合忠雄,林田勇,パラメータ同定による街路灯の損傷検知,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.439, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.439.
(7) 矢野裕太郎,奥川雅之,インフラ/プラント点検ロボットによる目視点検に関する標準性能評価試験法の検討,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.442, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.442.
(8) 井村優太,本田真也,佐々木克彦,武田量,振動応答の機械学習による構造ヘルスモニタリング,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.102, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.102.
(9) Bui, K. H., Iba, D., Tsutsui, Y., Kajihata, A., Lei, Y., Miura, N., Iizuka, T., Masuda, A., Sone, A., Moriwaki, I., Vibration-based early detection of plastic gear faults using Fourier decomposition and deep learning, The 15th International Conference on Motion and Vibration Control (MoViC2020) (2020), Paper ID:10027, DOI: 10.1299/jsmeintmovic.2020.15.10027.
(10) 木村英人,渡部誠二,栁本憲作,揺動励起されたファンモータの振動診断,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.306, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.306.
(11) 高重達郎,堺谷洋,山本真,振動による状態監視法を用いた液体式変速機異物混入時の異常検知,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.307, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.307.
(12) 奥村圭紀,西田尚樹,Ang Yi Yong,原卓也,勝又暢久,岩佐貴史,樋口健,藤垣元治,岸本直子,展開型膜面構造物を対象とした格子投影法全視野形状計測システムの構築,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.104, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.104.
(13) 松本大樹,太田佳樹,轟章,時間平均デジタルホログラフィ干渉法によるCFRTP板の振動モード可視化,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.109, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.109.
(14) 森本吉春,Pirsig Lionel,Yadi Mona,植木将貴,柾谷明大,OPPA振動分布計を用いた自動車のボディとエンジンヘッドの振動分布計測,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.202, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.202.
(15) 黄聖凱,菊地通,山崎徹,非平面構造物の振動インテンシティ計測法の検討,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.324, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.324.
(16) 谷岡拓真,吉田準史,非同時計測信号を用いた統合高寄与主成分モード抽出手法について,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.201, DOI :10.1299/jsmedmc.2020.201.
(17) 間々田祥吾,竹中宏行,太田達哉,高橋研,鈴木大輔,圧電素子を内蔵した鉄道車両用歯車箱吊り用ゴムによる歯車箱軸受の損傷検知(定置試験における損傷検知性能の評価),日本機械学会論文集, Vol. 86, No. 890 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00012.
(18) 村上貴哉,橘川雄樹,竹内栄二朗,二宮芳樹,目黒淳一,自動運転に適用する三次元点群の評価に関する研究(位置ずれの検出のための三次元点群の評価指標の提案),日本機械学会論文集, Vol. 86, No. 892 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00151.
(19) 安藤孝幸,椋本博学,江尻賢治,釘宮航,青木啓二,岡﨑翔悟,長尾知彦,山本道治,中野公彦,磁気ポジショニングシステムによる自動運転の自己位置推定,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.536, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.536.
(20) 河原遼太,小河原加久治,新銀秀徳,超音波を用いた小型UAVの対気速度の計測,日本機械学会論文集, Vol. 86, No. 887 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00429.
(21) 茅原崇徳,小林史拓,坂本二郎,可視光カメラを用いた眼球運動計測に基づく自動車運転時のメンタルワークロード推定,日本機械学会論文集, Vol. 86, No. 881 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00326.
(22) Suzuki, S., Measurement of dynamic behavior of a driver on stand-up type PMV (Steering with intention and without intention), The 15th International Conference on Motion and Vibration Control (MoViC2020) (2020), Paper ID:10096, DOI: 10.1299/jsmeintmovic.2020.15.10096.
(23) Nakagawa, C., Nishimori, K., Murai, A., Measurement of dynamic motion of a standing human on a PMV during braking, The 15th International Conference on Motion and Vibration Control (MoViC2020) (2020), Paper ID:10107, DOI :10.1299/jsmeintmovic.2020.15.10107.
(24) 藤岡潤,宅間陸,川除佳和,宮下大輔,導電性編物による体圧分布測敷布を用いた就寝姿勢モニタリングシステムの開発と評価,日本機械学会論文集, Vol. 86, No. 892 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00199.
(25) 大瀧保明,坂井悠,透析用穿刺針の刺入操作における把持力の計測,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.416, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.416.
(26) 廣瀬圭,近藤亜希子,辻内伸好,伊藤彰人,ウェアラブルセンサシステムを用いた関節トルク推定における誤差低減に関する研究,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.431, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.431.
(27) 吉田智哉,穂苅真樹,ゴルフパターヘッドの三次元運動計測とニューラルネットワークによる打球結果の推定,日本機械学会論文集, Vol. 86, No. 884 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00411.
(28) 比留田稔樹,細矢直基,前田真吾,梶原逸朗,誘電エラストマーアクチュエータ加振に基づくりんごの振動計測と硬さ評価,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.355, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.355.
13.4 非線形振動
2020 年1月~12月における非線形振動に関する研究動向について,国内会議,国内ジャーナル,海外ジャーナルの側面から考察する.なお,国際会議については,コロナ禍のために主要なものが延期されたりオンライン化されたりし,執筆者の中に参加者が不在のため,今回は割愛させて頂く.
13.4.1 国内会議
2020年9月1日から9月4日にオンラインで開催されたDynamic and Design Conference 2020(D&D 2020)において,例年のように領域1「解析・設計の高度化と新展開」の中で「OS1-1 機械・構造物における非線形振動とその応用」と題するOSが設けられた.領域1のセッションでは51件の講演が行われ,このうち19件が非線形振動に関するものであった.非線形振動現象の解析に関する研究,エネルギーハーベスティング,効率的な解析法に関する研究,非線形性を利用した制振に関する研究,同期現象・自励振動に関する研究などさまざまな内容の報告が行われた.中でも梁に沿って移動可能なスライダと梁からなる系に生じる受動的自己共振に関する報告(1)は興味深いものであった.
13.4.2 国内ジャーナル
日本機械学会論文集では,非対称非線形系の非線形ばね定数の同定(2),パンタグラフと架線の衝突振動(3),自動車のパワートレーンの非線形捩り振動(4),フラフープと変位拡大機構を用いた制振装置(5),ひし形リンクと板ばねを用いた免震装置(6),構造物のロッキング振動とその数値解析(7),強制変位加振による渦励振の引き込み現象(8)といった,非線形振動に関する多様な論文が掲載された.
13.4.3 海外ジャーナル
2020年の1年間における国外の研究動向について,非線形振動,係数励振,自励振動,分岐現象,カオス,衝突振動,非整数階微分,エネルギーハーベスティング,メタマテリアル,MEMS/NEMSの10項目をキーワードとして概観する.
International Journal of Engineering Science(以下,IJEngSci)について,上記10項目に関連する論文数は14件であった.キーワード単独では,係数励振1件,分岐現象5件,エネルギーハーベスティング2件,メタマテリアル3件,MEMS/NEMSについては3件であった.分岐現象に関する論文が最も多いが,係数励振を利用したエネルギーハーベスティングに関する研究(9),メタマテリアルを用いたエネルギーハーベスティングに関する研究(10)など,複数のキーワードに関連する論文も見られた.
Journal of Sound and Vibration(以下,JSV)については,(係数励振,自励振動,分岐現象,カオス,衝突振動といったトピック以外の)非線形振動10件,係数励振8件,自励振動2件,分岐現象10件,カオス5件,衝突振動3件,エネルギーハーベスティング16件,メタマテリアル25件,MEMS/NEMSは5件で,合計84件(のべ数)であった.近年増加傾向にあるエネルギーハーベスティングに関する研究について,JSVでは,非線形振動を考慮した研究(11)(12),係数励振を利用した研究(13)(14),自励振動(15)や衝突振動(16)を用いた研究,MEMS/NEMS関連の研究(17)などが見られた.
上記2誌とも,分岐現象やカオスといった非線形振動関連の論文は発表されてはいるものの,メタマテリアルに関する研究が盛んになってきていることがうかがえる.ただし,メタマテリアルやMEMS/NEMS関連の研究の中で非線形振動を扱っている研究例は少ないように感じられる.
International Journal of Non-Linear Mechanicsからの主要と思われる13編とJournal of Applied Mechanics (ASME)からの4編を合わせて紹介する.
エネルギーハーベスティングの研究が盛んに行われている.多くのものが非線形であり,分数調波共振(18)を利用したり,複数のバイモルフ型圧電素子(19)を用いたりして広帯域でエネルギーを得ようとしている.また,自励振動(ギャロッピング)を利用するもの(20)もある.MEMSの研究も活発に行われ,3つのモードの利用(21)やモードの局在化(22)が研究されるとともに,レビューには近年の多くの成果がまとめられている(23)(24).衝突や摩擦を伴う強非線形系の研究も根強く行われて,パラメータに敏感にカオスが発生する(25)(26)ことを示している.2次と3次の非線形項を持つ梁(27),3次と5次の非線形項を持つ梁(28)の内部共振の研究が行われている.自励振動・係数励振に関しては,ドリルストリングスのホワールにおけるスティックスリップ(29),周期的移動振動体による構造物の係数励振(30)などが研究されている.玉軸受という基本的要素に生じる係数励振(31)や内部共振・カオス(32)についても研究されている.メタマテリアルに関連する分野では非線形梁の制振への適用(33),2次元的にばねと質量を配置した系の係数励振による振動モードのコントロール(34)の研究が行われている.
International Journal of Mechanical Scienceには33件の論文が発表された.エネルギーハーベスティングに関する論文が7件と最も多く,非線形性を利用したエネルギー回生効率の増加を狙う研究が多くみられた.またフレキソエレクトリック効果を利用したエネルギーハーベスティングに関する研究(35)(36)も見られた.ついでメタマテリアル (37)および傾斜機能材料(38)の非線形振動解析に関する論文が3件ずつ見られた.また,MEMSにおける非線形振動(39),衝突・摩擦・接触を伴う非線形振動(40),大変形による非線形振動(41),自励振動・係数励振振動(42)(43)に関する論文も見られた.熱との連成問題(マルチフィジックス)に関する論文(44)も見られた.
Chaos, Solitons & Fractalsには13件の論文が発表された.エネルギーハーベスティング,MEMS,流体関連振動,電気系との連成振動など非線形振動に関する様々な分野の研究が見られたが,非整数階微分で表される粘弾性特性をもつ非線形振動解析に関する論文(45)(46)があった.
Mechanical Engineering Journalでは,液体中に1部浸けられた円筒形ロータの非線形振動(47)が挙げられていた.
Journal of Vibration and Acoustics (ASME)では,双安定構造物のスナップスルーダイナミクスの抑制(48),3枚ブレードロータの係数励振(49),アディティブマニュファクチャリングによる非線形性が組立構造物の動的応答に与える影響(50),双線形ばね-質量系における非相互的な波動伝達特性(51),メタビーム(メタマテリアル)の非線形応答(52),カム-ローラ-ばね機構を用いた高い静剛性かつ低い動剛性を持つ絶縁装置(53),係数励振系の様々な共振現象(54),周期構造物(メタマテリアル)の非線形動吸振器による振動低減(55),効率的ガラーキン平均化―増分的調和バランス法(56),減衰係数を通じた係数励振系のフロケー理論解析(57),多段式遊星歯車系の非線形振動に与える温度の影響(58)など多様な論文が挙げられていた.
Journal of Computational and Nonlinear Dynamics (ASME)では,1:1内部共振と主共振条件下での旋削作業中の柔軟な工具と薄い円筒型被削材の非線形振動(59),様々な境界条件で非線形動吸振器付き梁の厳密な非線形振動解析(60),ばね付き円筒の渦励振振動のホモトピー解析(61),直交流中の熱交換器配管の非線形時間遅れ微分方程式モデルにおける超臨界および亜臨界ホップ分岐(62),追随力を受ける非伸張性の自由―自由梁の非線形応答(63),複数周波数加振を受ける非線形系の近似解を求める時間変分法(64),加振される空気圧型人工筋肉のカオスを含む非線形振動(65),スナップスルー型幾何学的非線形性を有する動吸振器(66),フライス加工中のCNCマシンの作業台のクリアランスや摩擦を考慮した非線形振動(67),ジャーナル軸受けで支持された柔軟ロータの非線形振動(68),非線形ジェフコットロータにおける1周期解から8周期解の分岐構造(69),ディスクとピエゾ素子片持ち梁からなるエネルギーハーベスティングにおける非線形振動(70),振動低減型スラブ軌道を走る鉄道車両の非線形ハンチング安定性(71),軸方向に加速される部分的に流体に浸された平板の非線形振動(72),ブレーキロータの速度とブレーキの法線力の影響を考慮したブレーキモデルにおけるスティックスリップ挙動(73),門型フレームを利用したピエゾ素子型エネルギーハーベスティング(74)など多様な論文が挙げられていた.
Nonlinear Dynamicsでは,非線形ダイナミクス分野において多重尺度法の開発を始めとする偉大な業績を残され,2017年に83歳で逝去された,A.H. Nayfehに関する特集号が出版された(75).非線形振動に関する原著論文では,動吸振器やアイソレータに関する論文が最も多く,非線形エネルギーシンクや準ゼロ剛性アイソレータを用いた論文が目立った(76)-(80).さらに,定常的に研究されている衝突(81)(82),摩擦(83)(84),流体関連(85)(86),回転系(87)(88)に関する論文,近年注目されているMEMS(89)(90),エネルギーハーベスティング(91)(92),非整数階微分(93)(94)に関する論文など,多数の様々な論文が掲載された.
海外ジャーナル全体をみると,非線形性や非線形現象を利用したエネルギーハーベスティングが最も研究されている.また,既存のトピックに加えて,メタマテリアルといった新しいトピックにおいても非線形振動は精力的に研究され,その存在が顕在化しつつある.
〔黒田 雅治 兵庫県立大学,
奥泉 信克 宇宙航空研究開発機構,
神谷 恵輔 愛知工業大学,
増本 憲泰 日本工業大学,
吉武 裕 長崎大学〕
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(66)Godoy, W. R. A., and Trindade, M. A. (June 8, 2020). “Design and Analysis of a Geometrically Nonlinear Dynamic Vibration Absorber.” ASME. J. Comput. Nonlinear Dynam. August 2020; 15(8): 081002. DOI: 10.1115/1.4047335.
(67)Niu, J., Zhao, Z., Shen, Y., and Yang, S. (July 17, 2020). “Primary Resonance of Computer Numerical Control Worktable With Clearance and Friction.” ASME. J. Comput. Nonlinear Dynam. October 2020; 15(10): 101001. DOI: 10.1115/1.4047482.
(68)Koondilogpiboon, N., and Inoue, T. (July 16, 2020). “Nonlinear Vibration Analysis of a Flexible Rotor Supported by a Journal Bearing Considering Journal Angular Motion.” ASME. J. Comput. Nonlinear Dynam. September 2020; 15(9): 091002. DOI: 10.1115/1.4046735.
(69)Xu, Y., and Luo, A. C. J. (July 17, 2020). “Period-1 to Period-8 Motions in a Nonlinear Jeffcott Rotor System.” ASME. J. Comput. Nonlinear Dynam. September 2020; 15(9): 091012. DOI: 10.1115/1.4046714.
(70)Nezami, S., and Lee, S. (July 16, 2020). “Nonlinear Dynamics of a Rotary Energy Harvester With a Double Frequency Up-Conversion Mechanism.” ASME. J. Comput. Nonlinear Dynam. September 2020; 15(9): 091011. DOI: 10.1115/1.4047238.
(71)Ling, L., Jiang, P., Wang, K., and Zhai, W. (May 20, 2020). “Nonlinear Stability of Rail Vehicles Traveling on Vibration-Attenuating Slab Tracks.” ASME. J. Comput. Nonlinear Dynam. July 2020; 15(7): 071005. DOI: 10.1115/1.4047087.
(72)Li, H., Zhang, S., Li, J., and Wang, X. (July 17, 2020). “Parametric Resonance of Axially Accelerating Unidirectional Plates Partially Immersed in Fluid.” ASME. J. Comput. Nonlinear Dynam. October 2020; 15(10): 101002. DOI: 10.1115/1.4047483.
(73)Liu, F., Li, H., Jiang, H., and Jiang, S. (August 7, 2020). “Influence of Two External Excitations for Brake Stick-Slip Behavior Using New Numerical Calculation Method.” ASME. J. Comput. Nonlinear Dynam. October 2020; 15(10): 101005. DOI: 10.1115/1.4047639.
(74)Rocha, R. T., Tusset, A. M., Ribeiro, M. A., Lenz, W. B., Haura Junior, R., Jarzebowska, E., and Balthazar, J. M. (October 23, 2020). “On the Positioning of a Piezoelectric Material in the Energy Harvesting From a Nonideally Excited Portal Frame.” ASME. J. Comput. Nonlinear Dynam. December 2020; 15(12): 121002. DOI: 10.1115/1.4048024.
(75)Nonlinear Dynamics, Special Issue: In Memory of Professor Ali H. Nayfeh, Vol. 99, issue 1 (2020).
(76)Yang, J., Jiang, J.Z. & Neild, S.A., Dynamic analysis and performance evaluation of nonlinear inerter-based vibration isolators. Nonlinear Dynamics Vol.99 (2020), pp. 1823–1839, DOI: 10.1007/s11071-019-05391-x.
(77)Zhang, Z., Zhang, YW. & Ding, H., Vibration control combining nonlinear isolation and nonlinear absorption. Nonlinear Dynamics, Vol.100 (2020), pp., 2121–2139, DOI: 10.1007/s11071-020-05606-6.
(78)Ding, H., Chen, L.Q., Designs, analysis, and applications of nonlinear energy sinks. Nonlinear Dynamics, Vol.100, issue 4 (2020), pp.3061–3107, DOI: 10.1007/s11071-020-05724-1.
(79)Wang, K., Zhou, J., Chang, Y. et al., A nonlinear ultra-low-frequency vibration isolator with dual quasi-zero-stiffness mechanism. Nonlinear Dynamics, Vol.101 (2020), pp.755–773, DOI: 10.1007/s11071-020-05806-0.
(80)Cirelli, M., Cera, M., Pennestrì, E. et al., Nonlinear design analysis of centrifugal pendulum vibration absorbers: an intrinsic geometry-based framework. Nonlinear Dynamics, Vol.102 (2020), pp.1297–1318, DOI: 10.1007/s11071-020-06035-1.
(81)Hu, R., Gu, X. & Deng, Z., Stochastic response analysis of multi-degree-of-freedom vibro-impact system undergoing Markovian jump. Nonlinear Dynamics, Vol.101 (2020), pp.823–834, DOI: 10.1007/s11071-020-05823-z.
(82)Gzal, M., Fang, B., Vakakis, A.F. et al., Rapid non-resonant intermodal targeted energy transfer (IMTET) caused by vibro-impact nonlinearity. Nonlinear Dynamics, Vol.101 (2020), pp.2087–2106, DOI: 10.1007/s11071-020-05909-8.
(83)Marino, L., Cicirello, A., Experimental investigation of a single-degree-of-freedom system with Coulomb friction. Nonlinear Dynamics, Vol.99 (2020), pp.1781–1799, DOI: 10.1007/s11071-019-05443-2.
(84)Lisowski, B., Retiere, C., Moreno, J.P.G. et al., Semiempirical identification of nonlinear dynamics of a two-degree-of-freedom real torsion pendulum with a nonuniform planar stick–slip friction and elastic barriers. Nonlinear Dynamics, Vol.100 (2020), pp.3215–3234, DOI: 10.1007/s11071-020-05684-6.
(85)Blanchard, A., Bergman, L.A. & Vakakis, A.F., Vortex-induced vibration of a linearly sprung cylinder with an internal rotational nonlinear energy sink in turbulent flow. Nonlinear Dynamics, Vol.99 (2020), pp.593–609, DOI: 10.1007/s11071-019-04775-3
(86)Dou, P., Xue, MA., Zheng, J. et al., Numerical and experimental study of tuned liquid damper effects on suppressing nonlinear vibration of elastic supporting structural platform. Nonlinear Dynamics, Vol.99 (2020), pp.2675–2691, DOI: 10.1007/s11071-019-05447-y.
(87)Haslam, A.H., Schwingshackl, C.W. & Rix, A.I.J., A parametric study of an unbalanced Jeffcott rotor supported by a rolling-element bearing. Nonlinear Dynamics, Vol.99 (2020), pp.2571–2604, DOI: 10.1007/s11071-020-05470-4.
(88)Prabith, K., Krishna, I.R.P., The numerical modeling of rotor–stator rubbing in rotating machinery: a comprehensive review. Nonlinear Dynamics, Vol.101, issue 2 (2020), pp.1317–1363, DOI: 10.1007/s11071-020-05832-y.
(89)Awrejcewicz, J., Krysko, V.A., Pavlov, S.P. et al., Thermoelastic vibrations of a Timoshenko microbeam based on the modified couple stress theory. Nonlinear Dynamics, Vol.99 (2020), pp.919–943, DOI: 10.1007/s11071-019-04976-w.
(90)Zamanzadeh, M., Jafarsadeghi-Pournaki, I. & Ouakad, H.M., A resonant pressure MEMS sensor based on levitation force excitation detection. Nonlinear Dynamics, Vol.100, (2020), pp.1105–1123, DOI: 10.1007/s11071-020-05579-6.
(91)Leadenham, S., Erturk, A., Mechanically and electrically nonlinear non-ideal piezoelectric energy harvesting framework with experimental validations. Nonlinear Dynamics, Vol.99 (2020), pp.625–641, DOI: 10.1007/s11071-019-05091-6.
(92)Wang, J., Geng, L., Yang, K. et al., Dynamics of the double-beam piezo–magneto–elastic nonlinear wind energy harvester exhibiting galloping-based vibration. Nonlinear Dynamics, Vol.100 (2020), pp.1963–1983, DOI: 10.1007/s11071-020-05633-3.
(93)Zhou, P., Ma, J. & Tang, J., Clarify the physical process for fractional dynamical systems. Nonlinear Dynamics, Vol.100, issue 3 (2020), pp.2353–2364, DOI: 10.1007/s11071-020-05637-z.
(94)Patnaik, S., Semperlotti, F., Application of variable- and distributed-order fractional operators to the dynamic analysis of nonlinear oscillators. Nonlinear Dynamics, Vol.100 (2020), pp.561–580, DOI: 10.1007/s11071-020-05488-8.
13.5 マルチボディダイナミクス
マルチボディダイナミクス(多体系動力学)は,多数の物体や部品からなる構造物を扱い,機械の運動や制御に関する学問分野である.当該分野の近年の発展は目覚しく,優れた汎用コードも開発され,有限要素法と並ぶ強力なCAEツールになりつつある.コンピュータを援用したマルチボディダイナミクスを用いることにより,従来までは不可能であった複雑な物体の動力学の解析が可能になった.そのため,機械工学,航空・宇宙工学,ロボティクス,メカトロニクス,バイオメカニクスなどの多岐にわたる分野で応用されている.2020年9月にD&D2020(Dynamics and Design Conference)がオンラインで開催され,OS「マルチボディダイナミクス」で20件の発表が行われた.その内訳は,「ロボット・鉄道への応用」が8件と多く,「マルチボディシステムの制御」が5件,「定式化・解析手法」が4件,「柔軟体のダイナミクス」が3件と多様な分野で活発な議論が行われた.海外では2020年11月にIMSD-ACMD2020(The 6th Joint International Conference on Multibody System Dynamics and the 10th Asian Conference on Multibody Dynamics)がインドのニューデリーで開催される予定であったが,コロナ禍により2022年に開催が延期された.
ここでは,2020年のマルチボディダイナミクスの研究動向のうち,D&D2020において注目されるいくつかのテーマ及び日本機械学会論文集に掲載された研究を紹介する.
D&D2020において,「鉄道車両」分野では,車輪/レール間の非線形接線力をモデル化し粘着・空転現象をシミュレーションにより再現した研究(1)や三次元はり要素でモデル化した架線とパンタグラフの三次元運動シミュレーション(2)が報告された.「マルチボディダイナミクスの制御」分野では,身体制御モデルに非線形PD制御とディープラーニングを併用したモデルを提案した研究(3)が報告された.「定式化・解析手法」分野では,マルチボディシステムの未知パラメータの推定に随伴法に基づくパラメータ推定法を提案した研究(4),粒子挙動を伴うシステムの解析に用いられるNon-smooth DEM(Distinct Element Method)において問題とされる貫入挙動を低減させる研究(5)が報告された.「柔軟体のダイナミクス」分野では,長さ変化を伴う柔軟体のモデル化にALE(Arbitrary Lagrangian-Eulerian)有限要素法とANC(Absolute Nodal Coordinate)法を組み合わせた方法を提案した研究(6),線形相補性問題を応用して接触現象と塑性変形の状態遷移を利用した定式化の研究(7)が報告された.
日本機械学会論文集では,リアルタイム車両運動解析を実現するために一般化α法の応用した研究(8),ジョイント拘束力を解析するための効率の良い計算手法を提案した研究(9),ヒト頸椎運動の解析に応用した研究(10),柔軟翼のモデル化に応用した研究(11),レール摩耗形状の予測に応用した研究(12),土砂の挙動を考慮したホイールローダの挙動解析の研究(13)などの論文が発表された.
以上より,柔軟構造の解析や接触問題などの従来から行われてきた基礎研究に加えて,DEMやFEMとMBDの連成解析,鉄道や自動車分野への応用,人体の運動解析への応用,機械学習や強化学習を適用した制御系設計など,実アプリケーションの問題解決にMBDが用いられた研究も増えており,当該分野の今後の更なる発展が期待される.
〔安藝 雅彦 日本大学〕
参考文献
(1) 山口泰平, 道辻洋平, 牧島信吾, 平行カルダン駆動台車の粘着・空転現象を考慮したモデル構築, 日本機械学会 D&D2020講演論文集, (2020), No.503, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.503.
(2) 小山達弥, 長尾恭平, 池田充, 臼田隆之, MBD モデルを用いた架線・パンタグラフの三次元運動シミュレーション, 日本機械学会 D&D2020講演論文集, (2020), No.507, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.507.
(3) 島上智士, 石内諒, 赤星雄太, 岩村誠人, マルチボディダイナミクスとディープラーニングを用いた自動車乗員身体制御モデルの構築, 日本機械学会 D&D2020講演論文集, (2020), No.520, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.520.
(4) 西凌弥, 原謙介, 山浦弘, マルチボディダイナミクスに基づいたパラメータ推定法の構築, 日本機械学会 D&D2020講演論文集, (2020), No.510, 10.1299/jsmedmc.2020.510.
(5) 松本栞理, 菅原佳城, 武田真和, 山本拓矢, Non-smooth DEMにおいて発生する貫入挙動の低減手法に関する研究, 日本機械学会 D&D2020講演論文集, (2020), No.511, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.511.
(6) 竹内将人, 原謙介, 山浦弘, 長さ変化を伴う柔軟体の非線形動力学解析, 日本機械学会 D&D2020講演論文集, (2020), No.513, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.513.
(7) 山口峻, 菅原佳城, 武田真和, 線形相補性問題に帰着した接触挙動と塑性変形を伴うマルチボディシステムの運動解析手法, 日本機械学会 D&D2020講演論文集, (2020), No.515, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.515.
(8) 椎葉太一, 土谷悠太, 数値減衰特性を有する解析手法を用いたリアルタイム車両運動解析, 日本機械学会論文集, Vo.86, No.881 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00234.
(9) 神谷恵輔, 微分方程式型零空間行列法に基づくマルチボディシステムの拘束力解析, 日本機械学会論文集, Vo.86, No.887 (2020), DOI; 10.1299/transjsme.19-00419.
(10) 嶋脇聡, 宇津木琢也, 中林正隆, 杉本英治, マルチボディシミュレーションを用いたヒト頸椎運動の解析(第2報:側屈運動およびカップルド軸回旋運動に及ぼす筋活動の影響の評価), 日本機械学会論文集, Vo.86, No.888 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00123.
(11) 津島夏輝, 玉山雅人, 槙原幹十朗, 有薗仁, 3Dプリンティングによる大変形を伴う柔軟翼の空力弾性特性, 日本機械学会論文集, Vo.86, No.890 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00452.
(12) 辻江正裕, 沖田雅佳, 陳樺, 曄道佳明, 混合すべり条件下におけるレール摩耗形状予測モデルの構築, 日本機械学会論文集, Vo.86, No.890 (2020), DOI: /10.1299/transjsme.20-00056.
(13) 天内流星, 竹囲年延, 今西悦二郎, 土砂の挙動を考慮したホイールローダまき出し作業の解析, 日本機械学会論文集, Vo.86, No.891 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00062.
13.6 最適化
機械力学・計測制御分野における最適化やその応用分野に関する2020年の研究動向について概観する.当分野では,最適化や最適設計の手法そのものを研究対象としている例は少なく,構造物の振動抑制や制御性能の向上のために最適化手法が用いられている.また,材料定数や制御パラメータの同定を行う際に最適化技術が利用されており,最適化に関連する研究は広範囲で実施されている.
例えば,2019年および2020年の機械力学・計測制御部門講演会のDynamics and Design Conference(D&D20019, 2020)において,単純に講演タイトルに「最適」を含むものを検索すると,それぞれ19件,13件であった.発表件数はそれほど多いものではないが,発表されている領域は,講演会における全7領域中の6領域に渡っており,幅広い研究分野で最適な条件が必要とされていることがわかる.
D&D2020に限ると,メタヒューリスティクスと言われる汎用的な最適化手法が利用されていた以下のような研究発表が行われた.複合材料の減衰性能を向上するために繊維形状を設計する際に粒子群最適化法(PSO; Particle swarm optimization)が利用され(1),磁歪式振動発電デバイスの発電量の向上を図ることを目的して,寸法や負荷質量の重量を差分進化法(DE; Differential evolution)を用いて最適に設計された(2).また,音響メタマテリアルの寸法最適化に遺伝的アルゴリズム(GA; Genetic algorithm)が利用され(3),タービン動翼の強制振動,自励振動,不釣合い量を考慮した統合最適化にDDE(Discrete differential evolution)が用いられた(4).
さらに寸法のみではなく,構造の位相も最適化が可能であるトポロジー最適化が利用されていた研究例としては,カメラ構造を模した中空三次元物体に関して,構造強度と固有振動数の多目的最適化を行う際にトポロジー最適化が利用され (5),また,吸音率を最大化する目的で多孔質材の微視構造を設計するためにトポロジー最適化の一種である密度法を適用する試み(6)などがあった.
また,適切なサンプル点を追加しながら応答曲面の精度を向上する手法である,ベイズ最適化を利用した研究例としては,自動車のドライバビリティ性能に関連する加速ショックの最悪条件を抽出する手法に関する研究(7)や,ロケットフェアリング模型の数値解析を実施するにためのボルト結合モデルのパラメータを推定する研究があった(8).
先に述べたベイズ最適化に代表されるサロゲート最適化は,設計空間を学習しながら代理関数の近似精度を高める点から機械学習の一種とみなせる.その他の汎用的な最適化手法も繰り返し計算により半自動的に最適解を求める点を考慮すれば広い意味で機械学習と言える.そのため,機械学習を利用した当分野の研究についても本節で触れておく.D&D2020においては,構造物の振動応答を畳み込みニューラルネットワーク(CNN; Convolution Neural Network)により学習し,構造ヘルスモニタリングに適用する研究(9)や,強化学習を解析的な制御器の設計理論と融合して学習制御器の学習高速化を試みる研究(10)があった.
最適化に関する海外の研究動向について,振動関連で主要なジャーナルである「Journal of Sound and Vibration」を例にあげると,「Optimization」の単語のみで検索した結果,2020年に発行されたものだけでも227件であった.2010年発行の際には95件であるため,10年間で最適化に関連した研究報告は倍増し,広く研究に利用されていることがわかる.一方,機械学習を意識して「Learning」と検索すると,2020年発行でも23件に留まっており,機械学習が利用された当分野での研究例が多くはないことがわかる.しかしながら,他分野の状況を見ると機械学習を応用した研究が盛んに行われており,当分野でも今後増加していくと予想できる.
以上のように機械力学・計測制御分野において,2020年現在,最適化は幅広い分野で利用されるようになった.今後は最適化を含めた機械学習との融合により,当分野が工学の発展に大きく寄与することを期待する.
〔本田 真也 北海道大学〕
参考文献
(1)瀧澤 拓,本田 真也,片桐 一彰, 佐々木 克彦, 武田 量, 電着樹脂含浸法により作製した複合材の振動減衰性能の推定と最適化, 日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.105, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.105.
(2) 小松崎 俊彦, 上野 敏幸, 北 翔太, 牧野 史弥, 振動発電デバイスの自由度拡張と実環境振動を考慮した最適設計, 日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.133, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.133.
(3)小高 良介,山本 崇史, 底面を薄膜化したレゾネータを用いた二重壁音響メタマテリアルの寸法最適化,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集,No.352, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.352.
(4)金子 康智, 吉田陸,渡邉 敏生,古川 達也,ミスチューンを有する翼・ディスク系の最適設計(強制振動,自励振動,不釣合い量の同時最適化),日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.619, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.619.
(5)横山 翔一,松本 大樹,カメラ構造における多目的最適化手法の考案,日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.106, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.106.
(6) 山本 崇史, 山川 啓介, 桂 大詞, 遊川 秀幸, 大下 浄治, 吸音率最大化を目的とした多孔質材微視構造のトポロジー最適化, 日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.336, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.336.
(7)山本 望琴,石崎 啓祐, 新谷 浩平, 尾越 敦貴, 能動学習を用いた最悪条件の自動検出手法の開発, 日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.224, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.224.
(8) 安部 賢治, 堤 誠司, 武田 啓仁, 有限要素法のボルト結合モデルにおける経験的パラメータのベイズ最適化を用いた推定, 日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.312, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.312.
(9)井村 優太, 本田 真也, 佐々木 克彦, 武田 量,振動応答の機械学習による構造ヘルスモニタリング, 日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.102, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.102.
(10) 布施 郁也, 横山 誠, 非線形システムに関する強化学習と解析的制御器設計理論の融合, 日本機械学会Dynamics and Design Conference(D&D2020)講演論文集, No.548, DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.548.
13.7 音響・騒音
音響・騒音分野における2020年度の研究動向についての紹介となる.計算機の発達とともに振動と音響の連成に関連する研究が行われることが増加しており,音響・騒音のみに絞ることはあまり現実的ではないため,部門所属の振動・音響研究会に関連する分野を中心に報告する.本会では,D&D2020講演会で音響・騒音に関連する研究発表として,領域3「振動・騒音」の分野の中で「OS3-1 音響・振動」に関連するテーマで募集した.領域3ではその他に「OS3-2サイレント工学」,「OS3-3モード解析とその応用関連技術」,「OS3-4自動車の制振・防音」および「OS3-5ソフトセンサ/アクチュエータおよびソフトメカニクス」の全体で5つの音響・騒音に関連したオーガナイズドセッションが開催された.音響および騒音に関連する多数の発表があり,領域3では68件の一般講演と2件の基調講演があった.音響.騒音に関連した同定・推定,制御,吸音,最適化等の講演発表があった.以下では,これらの一部を紹介する.音響関連として,ギターの音質に関する研究(1),音響式信号機の指向性の検討(2),音場局在化に関する研究(3)等があった.また,格子投影法を用いた振動分布計測(4),劣決定系の実稼働解析(5),発表があった.詳細はD&D2020講演論文集を参照して頂きたい.
本会論文集和文誌では,近接モードが存在する場合の1自由度モード同定法(6),設計初期での分系が及ぼす振動特性の推定(7),結合剛性の設計(8)などに加えて,モード解析関連技術の新しい提案(9)(10)がなされている.音響および騒音解析(11)(12),防音および吸音に関する研究(13)-(15)がある.また英文誌では,周波数特性を持つ耳栓の開発(16),ヒステリシス減衰を持った動吸振器の最適設計(17),液体の非線形挙動を考慮した円筒ロータの振動解析(18),変位励振を等価な力励振に置き換える解析法(19),固有モードに影響を与えない減衰材配置の線形最適化(20),横方向不規則さをもつカーブ走行時の列車の振動伝達解析(21),数値流体力学を用いたダンパーの動特性(22),減衰を持つ主系の動吸振器のH∞最適化(23)などについての報告がある.これら以外にも多くの研究が発表されており,この分野の研究が1つの方向を向いているということは無いが,個別の内容としてはそれぞれ興味深い成果が報告されている.
音響関連の本会以外の一例では,アメリカ音響学会論文集ではキーワードで分類された中で,2020年にはComputational acoustics 5編, Engineering acoustics 15編, Musical acoustics 6編, Noise 12編, Signal Processing in acoustics 24編, Structural acoustics and vibration 15編が発表されている(24).このほかにも海洋や生物関連のキーワードがあり,機械や構造関連以外の報告も多くある.
〔日野 順市 徳島大学〕
参考文献
(1)熊倉有紀,岸田雄太郎,大石久己,長谷川浩志,岡村宏,クラシックギター表面板の力木等による音質への影響に関する一考察,日本機械学会D&D2020論文集(オンライン講演論文集)(2020), DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.302.
(2)佐藤健伍,井坂秀治,平板スピーカを用いた音響式信号機の指向性の検討,日本機械学会D&D2020論文集(オンライン講演論文集)(2020)DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.304.
(3)貝塚勉,周波数固定型近距離場スピーカの音場局所化性能の評価,日本機械学会D&D2020論文集(オンライン講演論文集)(2020), DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.326.
(4)森本吉春,Lionel PIRSIG,MonaYADI,植木将貴,柾谷明大,OPPA振動分布計を用いた自動車のボディとエンジンヘッドの振動分布計測,日本機械学会D&D2020論文集(オンライン講演論文集)(2020), DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.202.
(5)富田直,神保智彦,ベイジアンテンソル分解を用いた劣決定系の実稼働モード解析,日本機械学会D&D2020論文集(オンライン講演論文集)(2020), DOI: 10.1299/jsmedmc.2020.213.
(6)田尻大樹,竹原伸輔,松原真己,河村庄造,同定対象モードに近接したモード成分を考慮した1自由度実験モード解析法の提案,日本機械学会論文集,Vol.86, No.891 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00075.
(7)松村雄一,森厚夫,渡邊祐人,主系に比して剛な微小分系の質量特性を概念設計段階で最適化する方法,日本機械学会論文集,Vol.86, No.892 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00272.
(8)松村雄一,尾崎広典,駒田匡史,古屋耕平,複数の共振周波数の同時配置に供する結合剛性の設計法,日本機械学会論文集,Vol.86, No.883 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00290.
(9)古屋耕平,新谷拓己,吉村卓也,松村雄一,過渡応答を利用した実構造物と有限要素モデルの乖離要因の特定,日本機械学会論文集,Vol.86, No.883 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00369.
(10)田中昂,大浦靖典,前田秀哉,呉志強,非線形波動変調によって生じる固有振動数変動を用いた接触型損傷の程度評価 (時刻歴応答解析による固有振動数変動推定手法の検討),日本機械学会論文集,Vol.86, No.889 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00105.
(11)小川渉,鞍谷文保,吉田達哉,小出俊雄,水田泰次,シンバルの音響特性に及ぼすベルサイズの影響,日本機械学会論文集,Vol.86, No.881 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00237.
(12)佐藤佳宏朗, Jan Hendrik ELM, Jens VIEHÖFER, Jan-Welm BIERMANN, 岩附信行,In-situ blocked force 法による空気伝ぱ音を含む騒音レベルの推定 (第3 報,電動パワーステアリングシステムのラトル音への適用による実験的検証),日本機械学会論文集,Vol.86, No.891 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00008.
(13) 増田直樹,牛島邦晴,山口誉夫,山本崇史,選択的レーザー溶融法で造形したラティス構造の吸音特性評価,日本機械学会論文集,Vol.86, No.883 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00311.
(14)山本崇史,桂大詞,久保田寛,均質化法による吸音材微視構造の寸法最適化,日本機械学会論文集,Vol.86, No.889 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.20-00073.
(15)後藤達彦,江波戸明彦,回転翼から生じる同位相円周上分布音源に対する騒音低減手法および低減指標の提案,日本機械学会論文集,Vol.86, No.883 (2020), DOI: 10.1299/transjsme.19-00276.
(16)Sanada, A. and Takaso, H., Effect of flexible plates and micro-orifices on acoustic filter response for frequency-specific earplugs, Bulletin of the JSME, Mechanical Engineering Journal, Vol.7, No.6 (2020), DOI: 10.1299/mej.19-00462.
(17)Asami, T., Mizukawa, Y. and Yamada, K., Optimal design of a hysteretically damped dynamic vibration absorber, Bulletin of the JSME, Mechanical Engineering Journal, Vol.7, No.2 (2020), DOI: 10.1299/mej.19-00482.
(18)Utsumi, M., Vibration analysis of a cylindrical rotor partially filled with liquid considering nonlinearity of liquid motion, Bulletin of the JSME, Mechanical Engineering Journal, Vol.7, No.4 (2020), DOI: 10.1299/mej.19-00554.
(19)Yamada, K. and Utsuno, H., Modal analysis of continuous systems by replacing displacement excitation with equivalent excitation force and fixed boundary, Bulletin of the JSME, Mechanical Engineering Journal, Vol.7, No.4 (2020), DOI: 10.1299/mej.20-00003.
(20)Inozume, S. and Aihara, T., Linear optimization method for layout of unconstrained damping materials with negligible effect on eigenmode, Bulletin of the JSME, Mechanical Engineering Journal, Vol.7, No.6 (2020), DOI: 10.1299/mej.20-00121.
(21) Hidai, M. and Michitsuji, Y., Analysis of vibration transmissibility of railway vehicles while transiting curves with lateral track irregularity, Bulletin of the JSME, Mechanical Engineering Journal, Vol.7, No.6 (2020), DOI: 10.1299/mej.20-00177.
(22)Honda, I., Asami, T. and Shiozaki, H., Determination of dynamic characteristics of piston-hole-type and bypass-pipe-type oil dampers using computational fluid dynamics, Bulletin of the JSME, Mechanical Engineering Journal, Vol.7, No.5 (2020), DOI: 10.1299/mej.20-00193.
(23)Asami, T., Calculation of the H1 optimized design of a single-mass dynamic vibration absorber attached to a damped primary system, Bulletin of the JSME, Mechanical Engineering Journal, Vol.7, No.5 (2020), DOI: 10.1299/mej.20-00250.
(24) The Journal of the Acoustical Society of America, URL https://asa.scitation.org/journal/jas, (参照日2021年4月2日)