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機械工学年鑑2019
-機械工学の最新動向-

21. 交通・物流

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章内目次

21.1 自動車
 21.1.1 概況 a.生産/b.輸出/c.輸入/d.保有台数
 21.1.2 四輪自動車の技術動向
 21.1.3 二輪車の技術動向
 21.1.4 生産技術・材料
 21.1.5 基礎研究
21.2 鉄道
 21.2.1 概況21.2.2 新幹線・リニアモーターカー21.2.3 在来鉄道・都市鉄道
21.3 航空宇宙
 21.3.1 概況21.3.2 航空21.3.3 宇宙
21.4 船舶
 21.4.1 概況21.4.2 話題
21.5 昇降機・遊戯施設
 21.5.1 概況21.5.2 技術動向
21.6 荷役運搬機械
 21.6.1 概要21.6.2 物流システム機器21.6.3 運搬車両

 


21.1 自動車

21.1.1 概況
a.生産

 2018年の四輪車生産(1)は973万台(前年比0.4%増)で,内訳は乗用車836万台,トラック126万台,バス11万台で,二輪車生産は65万台(同0.8%増)である.

b.輸出

 2018年の新車輸出(1)は乗用車436万台(同3.3%増)で生産に占める割合は52.1%で2017年より3.2%増加した.二輪車は46万台(同1.3%減)で生産に占める割合は70%で2017年より2.1%減少した.

c.輸入

 2018年の日本メーカー車を含めた輸入車新規登録台(2)数は36.6万台で,前年比4.3%増となった.

d.保有台数

 2018年12月末で,乗用車6203万台,トラック1447万台,バス23万台,原付を除く二輪車371万台になっている(3)

〔関根 康史 福山大学〕

参考文献

(1)統計データベース,一般社団法人 日本自動車工業会

http://jamaserv.jama.or.jp/newdb/index.html(参照日2019年3月20日)

(2) 輸入車統計データベース,日本輸入車組合(JAIA)

http://www.jaia-jp.org/(参照日2019年3月20日)

(3) 自動車保有台数,一般財団法人 自動車検査登録情報協会

http://www.airia.or.jp/(参照日2019年3月20日)

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21.1.2 四輪自動車の技術動向

 現在,自動車産業界では大きなパラダイムシフトが進んでおり,特にCASE(Connected,Autonomous,Shared,Electric)と呼ばれる技術トレンドに注目が集まっている.

 コネクテッドに関しては,事故自動緊急通報システムがEUで義務化され(1),また国内においても同装置の国際基準が導入(2)されたことから,今後装着の法制化が進むことが予想される.また,情報や音楽等の娯楽を提供するいわゆる車載インフォティメントについては,スマートフォンやAI音声アシスタントサービスと連携するシステムの普及が進んでいる.他にも専用のAI音声認識や車載通信機を標準搭載した車両等,この分野の技術が広がりを見せている.将来のConnected Car社会においては,自動車がネットワークを介してさまざまな社会インフラに接続されることで,新しい価値や利便性を創出することが期待されている(3).特にキーとなる通信技術については,5G通信によるV2X(車車間・路車間通信等)のさまざまな実証実験が国内外で実施され,今後の道路交通における社会課題の解決や,便利で快適な生活の実現に向けた検討が進められている.

 自動運転については,監視者の運転席への同乗や地域や期間を限定する等の限られた条件ではあるが,自動運転タクシーによる営業走行が国内外で実施された(4).また,バス自動運転サービスや宅配車両のドライバレス配送等の実証実験が各地で盛んに行われた(5)(6).このように,レベル4(完全自動運転)については市場ニーズの高い商用ベースでの開発が主体で進んでいる.一方,個人所有車両については,ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems,先進運転支援システム)の発展系として,レベル2(部分自動運転)の採用が拡大した.また,周辺環境センサとしてレーザスキャナを搭載した車両や,ドライバモニタで条件が整えばハンズフリー走行を可能とするシステムが市場導入された(7).ADASに関連する安全機能としては,大型バスのドライバ異常時に乗務員や乗客が非常停止を可能にするシステム(8)や,後付可能なペダル踏み間違い防止システム等,市場事故を教訓とした技術が製品化された.

 シェアリングについては,より広い概念であるMaaS(Mobility as a Service)が注目された.MaaSは色々な種類の交通・物流サービスを,個々の利用者のニーズにあった最適な移動サービスに統合することであり,シェアリングもMaaSを構成する要素のひとつと考えられる.自動車単体の技術革新ではMaaSのニーズを満たすことはできず,コネクテッドや自動運転の技術を取り入れるとともに,多様な交通システムやICT(Information and Communication Technology)との連携による価値創造が求められている(9)

 2018年のEV(Electric Vehicle)の世界販売台数は前年比74%増の126万台であり,自動車全体に占める割合は1.5%となった(10).都市部の排気ガスゼロのニーズから,乗用車に加え大型バスのEVについても新型車両が導入されている.また,EVやPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)のバッテリを仮想発電所とみなして電力系統と繋ぐV2G(Vehicle to Grid)の実証実験が進んだ.EV同様ゼロエミッションビークルであるFCV(Fuel Cell Vehicle,燃料電池車)については,量産型のFCバスやプラグインタイプのFCVが発売された.HV(Hybrid Vehicle)については,欧州市場を中心に48Vのマイルドハイブリッド搭載車両が多数市場導入された.このように電動車両がシェアを拡大する一方で,コンベンショナルなエンジン車両は未だに大多数を占めており,低燃費化と高出力化が並行で進められている.エンジン技術では,量産として世界初の可変圧縮比エンジンが実用化された(11).駆動系ではCVT(無段変速機)に発進用ギヤを加えて効率を高めたシステムが導入された.また,乗用車の排出ガス/燃費試験の国際基準WLTP(World Harmonized Light Duty Test Procedure)が導入され,2018年10月に従来のJC08モードから全面的に移行した.

 その他に,車両運動系の技術として,車両の横方向と前後方向の連係運動にブレーキによる直接ヨーモーメント制御を加えることで車両挙動の安定化を実現する制御(12),カメラ画像で路面の凹凸を検知して可変ダンパを制御するサスペンション(13),小回り時にはリヤタイヤを最大5度まで操舵する4WSシステム(14)が市場導入された.また,ドアミラー位置に取り付けられたカメラとフロントピラー部設置のディスプレイによるデジタルアウターミラーが,大型トラックや乗用車で商品化された(15)

〔門崎 司朗 トヨタ自動車(株)〕

参考文献

(1) eCall in all new cars from April 2018,European Commission

https://ec.europa.eu/digital-single-market/en/news/ecall-all-new-cars-april-2018(参照日2019年6月17日)

(2) 報道発表資料:事故自動緊急通報装置に関する国際基準を導入します,国土交通省

https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000277.html(参照日2019年3月17日)

(3) 「Connected Car社会の実現に向けた研究会 検討結果取りまとめ」の公表,総務省

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000315.html(参照日2019年6月18日)

(4) ZMPと日の丸交通 世界初,自動運転タクシーによるサービス実証,株式会社ZMPプレスリリース

https://www.zmp.co.jp/news/pressrelease_20180827(参照日2019年6月18日)

(5) 2018年度 国の自動走行実証プロジェクト一覧(自動走行に係る官民協議会(第8回)配布資料),首相官邸

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/jidousoukou/dai8/sankou2.pdf(参照日2019年6月18日)

(6) 「ロボネコヤマト」4月24日に神奈川県藤沢市内で自動運転車による配送の実証実験を実施,DeNAプレスリリース

https://dena.com/jp/press/003608(参照日2019年6月18日)

(7) スーパー・クルーズ,M Media

https://media.gm.com/media/jp/ja/gm/news.detail.html/content/Pages/news/jp/ja/2018/june/0607-gm.html(参照日2019年6月18日)

(8) 日野自動車,商用車世界初となるドライバー異常時対応システム(EDSS: Emergency Driving Stop System)を開発 今夏,日野セレガに搭載し発売予定,日野自動車ニュースリリース

https://www.hino.co.jp/corp/news/2018/20180521.html(参照日2019年6月18日)

(9) 「IoTやAIが可能とする新しいモビリティサービスに関する研究会」中間整理,経済産業省

https://www.meti.go.jp/press/2018/10/20181017005/20181017005.html(参照日2019年6月18日)

(10) 2018年グローバル新車販売台数速報,JATO プレスリリース

https://www.jato.com/japan/2019030801/(参照日2019年6月18日)

(11) VCターボエンジン,日産自動車HP

https://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/vc_turbo_engine.html(参照日2019年6月18日)

(12) マツダ,車両運動制御技術「G-ベクタリング コントロール プラス(GVC Plus)」を開発,マツダ ニュースリリース

https://www2.mazda.com/ja/publicity/release/2018/201810/181011c.html(参照日2019年6月18日)

(13) DS アクティブスキャンサスペンション,DSオフィシャルサイト

https://www.youtube.com/watch?v=bCmYGqgP5VY(参照日2019年6月18日)

(14) Audi A8 Dynamic all-wheel steering,Audi adaptive chassis technology

https://www.audiusa.com/technology/intelligence/dynamic-all-wheel-steering(参照日2019年6月18日)

(15) LEXUS,デジタルアウターミラーを量産車に世界初採用,レクサス プレスリリース

https://lexus.jp/pressrelease/news/20180912.html(参照日2019年6月18日)

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21.1.3 二輪車の技術動向

 走行性能や環境性能の向上とともに,乗る楽しみを追求した技術開発が進められた.操縦性と乗り心地の両立をねらったサスペンション機構,スポーツ走行における電子制御機能の熟成,ETCの標準装備,スマホアプリ連携の発表が,各社から相次いだ.安全面では,国内でのABS(アンチロックブレーキシステム)/CBS(コンバインドブレーキシステム)装着義務化(原付一種除く)が開始された.先進運転支援の二輪車用システムを発表する例が見られた.

 環境面では,各国での排ガス規制強化が進んでいる.走行性能と燃費性能の両立をねらったハイブリッド二輪車が発売された.電動化の波が加速し,新興国市場メーカーの新規参入が盛んである.レンタルサービス,通信による情報提供,優遇措置,レース競技への参戦などにより,普及促進を行っている.充電スタンド等のインフラや法規の整備も始まっている.

〔品川 晃徳 ヤマハ発動機(株)〕

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21.1.4 生産技術・材料

 米国と中国の貿易摩擦影響による生産変動や,CASEと呼ばれる相互通信・自動運転・カーシェアリング・電動化などへの対応生産技術が求められ,国内外の生産体制見直しが急務となっている.

 車体材料では,ハイテン鋼材・ホットスタンプ材などの更なる高強度化が進み,軽量化のためアルミ材などの適用拡大,樹脂材料では高級車の骨格や軽自動車の蓋物などから徐々に適用が増加している.

 パワープラント系材料では,エンジン・ミッション・モータケースなどでアルミ鋳造材・鍛造材などが表面処理技術と共に用られ,軽量・薄肉化が進んでいる.

 生産ラインでは電動化対応として,電池パック搬送・組付,先進自動運転支援ADAS検査機器などが導入されてきている.レアアース(Nd,Co,Ptなど)希少金属材料などの資源確保,リサイクル・材料再資源化技術への取組みも推進されている.

〔倉橋 秀範 ホンダエンジニアリング(株)〕

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21.1.5 基礎研究

 自動車に対する新しい付加価値としてConnected(繋がる自動車),Autonomous(自動運転),Electric(電動化),などが2018年においても話題となった.それらの実現のための基礎研究も盛んに進められており,当面この傾向は続くと思われる.

 自動車の要素技術の観点からは「現在の走行状況や走行状態を正確に推定し認識する技術」,「より効率よく安全に走れる走行シナリオを描き判断する技術」,「自動車が狙い通りの運動を達成するために動作および制御する技術」に分類できる.いずれも自動車単体では完結しない内容であり,より大きな視点から自動車を交通システムの一要素として捉え,自動車と外部環境の関係を研究することに主眼が置かれているのが特徴である.インフラの画像情報を用いた自動運転システム構築に関する研究(1),クロソイド曲線による初期と終端の曲率が指定可能な経路生成手法(2),プレビューサスペンション制御のための前方路面変位推定(3)などが,2018年に発表された研究例として挙げられる.

 一方,人が運転する乗り物として,人と自動車の繋がりの研究も盛んに進められている.運転外部環境がドライバの運転疲労に与える影響に関する研究(4),車載HMIにおける情報の提示量及び提示市がドライバの情報認識に及ぼす影響(5)などが2018年に発表された.自動車を構成するモジュールや部品を対象にした従来の研究対象領域とあわせて,基礎研究分野に広がりをみせている.自動車単体に関する研究としては,接地面圧分布がタイヤのコーナリング特性に与える影響に関する研究(6)などが発表された.

 「交通社会-自動車-人」の相互作用に関する基礎研究は今後も活況を呈し,それらの研究成果を複合した新たな付加価値により,将来自動車社会に大きな変革をもたらすことが期待される.

〔豊島 貴行 (株)本田技術研究所〕

参考文献

(1)(文献番号18-83)田中ほか,インフラの画像情報を用いた自動運転システム構築に関する研究,日本機械学会第27回交通・物流部門大会予稿集(2018).講演1113 DOI: 10.1299/jsmetld.2018.27.1113

(2)(文献番号18-83)有田ほか, クロソイド曲線による初期と終端の曲率が指定可能な経路生成手法,日本機械学会第27回交通・物流部門大会予稿集(2018).講演1109 DOI: 10.1299/jsmetld.2018.27.1109

(3)(文献番号18-83)佐藤ほか, プレビューサスペンション制御のための前方路面変位推定,日本機械学会第27回交通・物流部門大会予稿集(2018).講演1102 DOI: 10.1299/jsmetld.2018.27.1102

(4)(文献番号18-83)李ほか, 運転外部環境がドライバの運転疲労に与える影響に関する研究.日本機械学会第27回交通・物流部門大会予稿集(2018).講演3104 DOI: 10.1299/jsmetld.2018.27.3104

(5)(文献番号18-83)清水ほか, 車載HMIにおける情報の提示量及び提示位置がドライバの情報認識に及ぼす影響,日本機械学会第27回交通・物流部門大会予稿集(2018).講演3103 DOI: 10.1299/jsmetld.2018.27.3103

(6)(文献番号18-83)諏訪ほか, 接地面圧分布がタイヤのコーナリング特性に与える影響に関する研究,日本機械学会第27回交通・物流部門大会予稿集(2018).講演1103 DOI: 10.1299/jsmetld.2018.27.1103

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21.2 鉄道

21.2.1 概況

 国土交通省ホームページの鉄道車両等生産動態統計調査月報によると(1),2018年1月から12月の1年間の車両生産数は,総生産数1857両(内新幹線車両は240両)であった.また,国内向け車両が1513両,輸出向け車両は344両であった.2017年1年間の生産数は,2024両(内新幹線車両232両,国内向け:1835両,輸出向け:189両)であり,前年と比べ国内向けは減少したものの,輸出向けは増加した.

 6月28日から7月8日にかけて,台風および梅雨前線の影響による豪雨(「平成30年7月豪雨」)は,西日本を中心に北海道や中部地方を含む広い範囲の鉄道に被害をもたらした.7月7日には,九州から北海道まで32事業者,115路線で運転休止になり,これらの路線の多くで土砂流入,斜面崩壊,盛土流出等が発生し,10以上の路線が復旧までに1か月以上を要する被害を受けた(2).とくに,関西と九州の物流の幹線となっている山陽本線は全線開通までに約3ヵ月間を要する甚大な被害を受け,西日本方面の物流に大きな影響を与えるとともに,鉄道による貨物輸送の重要性を改めて認識する機会となった.

 また,短時間強雨の発生回数の増加を受け,大規模な計画運休が幾度か行われた.計画運休は,安全を確保することに加え,駅での混乱や駅間停車した場合の乗客の閉じ込め等を防止する観点から実施するもので,2018年は関西圏だけでなく,首都圏でも初めて実施された.

 6月9日に,東海道新幹線の車内において,乗客が持ち込んだ刃物で他の乗客に対して切り付け,3名が死傷する痛ましい事件が発生した.このような事件が,新幹線・在来線を問わず鉄道車両の車内に防犯カメラ設置を推進する要因の一つとなっている.

 12月5日~7日に第27回交通・物流部門大会(TRANSLOG2018),および第25回鉄道技術連合シンポジウム(J-RAIL2018)が東京大学・駒場リサーチキャンパスで併催され,鉄道分野の研究開発成果が数多く報告された.

 海外では,世界最大の鉄道に関する展示会InnoTrans2018が9月18日~21日の4日間にわたり,ドイツ・ベルリンで開催された.世界中の61カ国・地域から出展者が集まり,来場者は過去最高の16万人を数えた.また,鉄道技術に関する国際会議Railways 2018とSTECH 2018がスペイン・バルセロナで併催された.

 

21.2.2 新幹線・リニアモーターカー

 複数の事業者で次世代新幹線車両の開発が進められているほか,運転速度向上に関する試みも行われた.

 JR東海は,東海道・山陽新幹線の次期モデルであるN700Sについて,2018年3月から走行試験を開始した.主回路機器を中心とした小型・軽量化を進め,編成両数を柔軟に決定でき,またこの結果生み出されたスペースにフルアクティブサスペンションや,全席コンセントの機材を搭載するほか,試験的にバッテリ自走システムも搭載している.これにより,長時間停電時等にトンネル内や橋梁上に停車した車両を自力走行で移動させることが可能になる.また,2019年中に360km/hでの速度向上試験を行うと発表した(3)

 JR東日本は,「さらなる安全性・安定性の追求」「快適性の向上」「環境性能の向上」「メンテナンスの革新」をコンセプトとする新幹線試験電車E956形式(ALFA-X)の開発を発表した.営業運転での最高速度360km/hの可能性,地震時に脱線しにくくさせるための技術,着雪しにくい車体構造,乗り心地向上のための技術などの試験が計画されている(4)

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構は,2018年9月に青函トンネル内で,新幹線の速度向上試験を実施した.その結果を受け,北海道新幹線を運用するJR北海道は,2019年春より青函トンネル内の北海道新幹線の運転速度を140km/hから160km/hに引き上げると発表した.これにより,東京~新函館北斗までの最速達列車の運転時分は4分短縮される(5)

 リニアモーターカーについて,JR東海は,現在走行試験を実施しているL0系について,先頭形状の最適化や誘導集電方式の全面的な採用など,ブラッシュアップした改良型試験車を製作し,2020年春に完成予定と発表した(6)

 

21.2.3 在来鉄道・都市鉄道

 2018年初頭に,相次いで電気式気動車が報道公開された.これは,ディーゼル機関と発電機による電力により,主電動機を駆動し走行するもので,JR東日本からはGV-E400電気式気動車が(7),JR北海道からは,GV-E400と基本仕様は同一で北海道向けの耐寒耐雪仕様等を加えたH100形電気式気動車(DECMO)が公開された(8).さらに,JR九州からはYC1系「蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック車両」が公開された(9).これは,電気式気動車を基本としつつ蓄電池も併用し,ブレーキをかけた際に発生する電力を蓄電池に充電し,これを力行時に供給して再利用する機能を有している.このように,新しい気動車に電気式の導入が増えている背景は,通常の気動車で用いられている推進軸等の機械的駆動部分を減らし,極力電車と共通の駆動装置を使用することにより,電車のメンテナンス技術を応用できること,および駆動軸の多軸化による空転防止などのメリットがあるためである.さらに,JR東海もハイブリッド方式を採用した次期特急形車両(試験走行車)を製作中で(10),これまでの液体式気動車から電気式気動車へトレンドが移行しつつある.

 JR東日本が開発中のATO装置について,2018年12月29日から山手線E235系を使用した走行試験を実施した.この開発中のATOは,ドライバレス運転の実現に向けたもので,運行条件(列車の遅れや急遽の徐行など)を反映し,最適な運転を行うことができる高性能なもので,最適な運転性能の実現を目指している(11)

 き電(饋電)電停止や大規模停電時の駅間における長時間停車を,車両側の対策により避ける取り組みが,21.2.2で取り上げた新幹線の例だけでなく,在来線でも導入され始めた.例えば,東京地下鉄の2000系ではリチウムイオン電池を搭載することにより停電時もモーターの駆動を可能にし,最寄り駅まで自走することができる(12)

 そのほか,CBM(状態基準保全)を実現させるため,各種センサ・故障検知装置・通信システムを搭載した車両が相次いで導入されるなど,JR各社・民鉄を問わず,IT技術を使いメンテナンス性・安全性を向上させる取り組みが継続的に行われている.

〔菅原 能生 (公財)鉄道総合技術研究所〕

参考文献

(1)鉄道車両等生産動態統計調査,国土交通省,
https://www.mlit.go.jp/k-toukei/tetsudousyaryou.html(参照日2019年5月18日)

(2)平成30年7月豪雨による被害状況等について(第52報),国土交通省,
http://www.mlit.go.jp/common/001268344.pdf(参照日 2019年5月18日)
(3) 田中秀允,大塚智広,福島隆文,藤井忠,西村浩一,N700S新幹線電車確認試験車の概要,R&m,Vol.26, No.9(2018), pp.42-49

(4)新幹線の試験車両ALFA-Xのデザインおよび開発状況について,JR東日本,

https://www.jreast.co.jp/press/2018/20181003.pdf(参照日 2019年5月18日)

(5)北海道新幹線 速度向上の実施について,JR北海道,

https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20181212_KO_Speed%20up.pdf(参照日 2019年5月18日)

(6)超電導リニア 改良型試験車の製作について,JR東海,

https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000039077.pdf(参照日 2019年5月18日)

(7)渡邊龍太郎,GV-E400系新型電気式気動車(量産先行車)の概要,R&m,Vol.26, No.5(2018), pp.31-34.

(8)水上幸治, H100形電気式気動車(DECMO)の概要, R&m, Vol.26, No. 7(2018), pp.31-34.

(9)梅下孝希,安森渓太郎,蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック車両「YC1系」量産先行車の概要,JREA, Vol.61, No.11(2018), pp.32-35.

(10)ハイブリッド方式の次期特急車両(試験走行車)のデザイン等について,JR東海,

https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000039001.pdf(参照日 2019年5月18日)

(11)山手線E235系で自動列車運転装置(ATO)等の試験を行います,JR東日本,

https://www.jreast.co.jp/press/2018/20181202.pdf(参照日 2019年5月18日)

(12)永井衆,東京地下鉄丸の内線2000系新造車両の概要,R&m, Vol.26, No. 12(2018), pp.40-49.

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21.3 航空宇宙

21.3.1 概況

一社)日本航空宇宙工業会によると,2018年の航空機生産額は2017年より626億円増の1兆8232億円となった.2013年から2015年まで増額基調が続いた後,2016年は一旦減額となったが,2017年以降は再び増額基調となっている(1)

 国土交通省航空局によると,2018年12月末の登録航空機数は2,840機となった.毎年末の登録航空機数がピークだったのは1991年末の2,882機であり,その後,減少基調となったが,2011年末の2,633機で底を打ち,以降は増加基調となり現在に至っている(2)

 日本政府観光局(JNTO)によると,2018年の訪日外客数は前年比8.7%増の3,119万2千人で,JNTOが統計を取り始めた1964年以降,最多の訪日外客数となった(3).首都圏空港の更なる機能強化に向けた取り組みが進められている.羽田空港では,2018年12月10日,国内線搭乗ゲートを備えたサテライト施設の供用が開始された(4)

 

21.3.2 航空

 国内における航空機分野に関して,三菱航空機は2018年12月21日,三菱リージョナルジェット(MRJ)に対する飛行試験開始確認書を国土交通省航空局(JCAB)から受領した(TIA:Type Inspection Authorizationを取得した).TIA取得に伴い,国産初のジェット旅客機であるMRJ90の型式証明飛行試験(TC飛行試験)を開始できるようになった(5).また,川崎重工は2018年2月6日,大型旅客機ボーイング777Xの初号機用胴体パネルを出荷し,名古屋第一工場においての納入式が行われた(6).SUBARUは,大型旅客機ボーイング777X型機の初号機用中央の製造および主脚格納部の組立結合を完了し,航空宇宙カンパニー半田工場にて出荷式を執り行った(7)

 アメリカ,ボーイング社は,787ドリームライナーファミリーの中でも最長の胴体を備え,標準的な2クラス構成の座席数が合計330席となる,787-10型機をシンガポール航空に初納入したことを,2018年3月25日に発表した.シンガポール航空は同機を5月からシンガポール-大阪(関西国際空港)線に導入した(8).一方,エアバス社は2018年10月2日,A321neoのオプションとして3個の中央燃料タンクに燃料を装備し,ETOPS認可が必要な路線で最大4000海里の飛行ができるA321LRが,欧州航空安全庁(EASA)および米連邦航空局(FAA)より型式証明を取得したことを発表した(9)

 世界最大の総2階建てジェット旅客機であるエアバスA380型機に関して,ANAがホノルル線に投入する「FLYING HONU」1号機の機体塗装が完了しドイツ・ハンブルクのエアバス工場にて披露された(10)

 

21.3.3 宇宙

 宇宙技術に関しては,宇宙飛行士の金井宣茂氏の国際宇宙ステーション(ISS)第54次/第55次長期滞在が関心を集めた.168日間の宇宙滞在日数を経て,日本時間6月3日午後3時02分,金井宇宙飛行士らが搭乗したソユーズ宇宙船のハッチが閉じ,午後6時16分にISSから分離,午後8時52分に軌道離脱噴射を完了し,午後9時39分カザフスタン共和国に着陸した(11)

 種子島宇宙センターから2014年12月3日に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」は,打ち上げから1302日目となる2018年6月27日午前9時35分(日本時間)に小惑星リュウグウに到着,探査が開始された(12)

 現在運用しているH-IIAロケットの後継機として,柔軟性・高信頼性・低価格の3つの要素を実現することを目指すH3ロケット開発の進捗状況が,11月29日に開催された宇宙開発利用部会(文部科学省 科学技術・学術審議会)において報告された.2020年度に試験機1号機打上げの予定で開発が進められている(13)

〔手塚 亜聖 早稲田大学〕

参考文献

(1) 平成30年航空機生産額は前年比626億円の増額,(一社)日本航空宇宙工業会

http://www.sjac.or.jp/common/pdf/kaihou/201903/20190303.pdf(参照日2019年4月3日)

(2)登録航空機の推移(1967年(S42)から2018年(H30)まで), 国土交通省航空局

http://www.mlit.go.jp/common/001270052.xlsx(参照日2019年4月3日)

(3) 訪日外客数(2018 年 12 月および年間推計値), 日本政府観光局(JNTO)

https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/190116_monthly.pdf(参照日2019年4月3日)

(4) 羽田空港国内線 第 2 ターミナル サテライト 供用開始のお知らせ,日本空港ビルデング株式会社

https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/files/whats_new/1198_1120_0759.pdf(参照日2019年4月3日)

(5) 三菱航空機,当局の飛行試験に先立ち,MRJへの飛行試験開始確認書を受領,三菱航空機ニュースNo.73

http://www.flythemrj.com/j/news/date/news_181221.html(参照日2019年4月3日)

(6) ボーイング777X向け初号機用胴体パネルの納入を開始,川崎重工プレスリリース

https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20180206_1.html(参照日2019年4月3日)

(7) ボーイング777X型機の初号機中央翼が完成,SUBARU PRESS INFORMATION

https://www.subaru.co.jp/press/file/uploads/news/2018_0209_5.pdf(参照日2019年4月3日)

(8) ボーイング,シンガポール航空に787-10ドリームライナーを初納入,ボーイング ジャパン プレスリリース

https://www.boeing.jp/ニュース/プレスリリース/2018/march/Boeing-Delivers-Worlds-First-787-10-Dreamliner-to-Singapore-Airlines.page(参照日2019年4月3日)

(9) 長距離型A321LR,欧州航空安全庁と米連邦航空局より型式証明取得,エアバス ジャパン プレスリリース

http://www.airbusjapan.com/single-jp/detail/a321lr-3/(参照日2019年4月3日)

(10) エアバスA380型機「FLYING HONU」1号機をお披露目,ANA NEWS 第18-084号

https://www.ana.co.jp/group/pr/pdf/20181213-2.pdf(参照日2019年4月3日)

(11) 金井宣茂宇宙飛行士 長期滞在概要,JAXA宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター

http://iss.jaxa.jp/iss/jaxa_exp/kanai/overview/(参照日2019年4月3日)

(12) はやぶさ2プロジェクト トピックス リュウグウ到着!,JAXA

http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180629je/index.html(参照日2019年4月3日)

(13) H3ロケットの開発状況について,JAXA

http://www.jaxa.jp/press/2018/11/files/20181129_h3.pdf(参照日2019年4月3日)

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21.4 船舶

21.4.1 概況

 2018年の世界の新造船建造量(竣工量)は2017年より12.1%程度減少し,約5,781万総トン(2,361隻)であった.日本は約1,453万総トン(454隻)とシェア25.1%で,中国の40.0%に次ぐ世界第2位であった.一方,2018年の世界の新造船受注量は,2017年の約4,320万総トン(1,432隻)から約5,143万総トン(1,467隻)に19.1%程度増加している.そのうち,日本は約995万総トン(320隻)とシェア19.3%で,韓国(45.4%),中国(25.4%)に次いで,第3位であった(IHS “World Shipbuilding Statistics”の集計による)(1)
 2018年の受注量は前年を2年連続上回った.海洋の環境規制の強化を見据え,世界的に造船市場が回復の兆しを見せ始めたと思われる.

 

21.4.2 話題

 近年,海事分野においては,海上ブロードバンド通信の進展や,ICT(情報通信技術)を活用した運航支援技術の高度化を背景に,自動運航船の導入に向けた動きが活発化してきている.IoTやビッグデータ,AIなどの最新技術を活用して,船舶の開発・建造から運航に至るあらゆる段階にICTを取り入れ,船舶の開発・建造のコスト競争力の強化や,品質・サービスの向上などを目指している.

 建造段階においては,AIを活用した自動溶接ロボットの開発,3D図面の共有プラットフォームの構築などの技術開発に取り組んでいる.

 運航段階においては,海上ブロードバンド通信の進展を背景に,IoT化やビッグデータ解析などを活用し,船舶の安全性向上を実現する先進的な船舶・舶用機器やシステムの研究開発が活発化している.国土交通省では,IoT活用船が更に進んだ自動運航船について,2025年までの実用化を目指して,2018年6月に自動運航船の実用化に向けたロードマップを策定した.

 現在,自動運航船の実用化に向け,安全な運航のために必要な要件を検討する実証事業が実施されている.また,航海データや気象情報を分析し,最適な航路選定による安全な運航を可能とするシステムの開発などが実施されており,日本が誇る世界最先端の技術力を維持・向上するとともに海事産業の国際競争力を一層強化するための取り組みが活発に行われている(2)

〔坂邊 久美 (一財)日本海事協会〕

参考文献

(1) 造船関係資料 2019年3月, https://www.sajn.or.jp/data(参照日2019年4月8日).

(2) 海事レポート2018, http://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk1_000072.html(参照日2019年4月8日)

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21.5 昇降機・遊戯施設

21.5.1 概況

 日本エレベーター協会の2018年調査(1)による2017年度の国内の昇降機全体の新設台数は28,113台(前年度27,348台)であり,2015,16年と減少傾向にあったものが増加傾向に転じた.しかしながら,2015年の水準を若干下回っている.新設台数の内訳は,エレベーターが23,943台(前年度23,618台),エスカレーターが1,360台(前年度1,459台),小荷物専用昇降機が2,398台(前年度2,169台),段差解消機が412台(前年度102台)であり,エスカレーターの新設台数は減少した.建物の用途別に見ると,住宅,商業施設,工場など多くの建物用途で新設台数が増加しているのに対し,病院・福祉は減少した.

 

21.5.2 技術動向

 国内の講演会では,エレベータロープの振動解析や特性試験など,ロープに関する研究が多く発表された.また,エスカレーターのハンドレールエレベーターのロープの健全性診断に関する研究も発表されている(2019年1月:技術講演会“昇降機・遊戯施設の最近の技術と進歩”).超高速エレベーターの制振技術に関する研究も進められており(2),講演会での発表を含め,超高速,長行程のエレベーターに関する研究が盛んに行われている.

〔皆川 佳祐 埼玉工業大学〕

参考文献

(1) 一般社団法人日本エレベーター協会, 2017年度昇降機台数調査報告, Elevator Journal No.21,(2018).

https://www.n-elekyo.or.jp/about/elevatorjournal/pdf/Journal21-01_2.pdf(参照日 2019年6月26日)

(2) 交通物流部門ニュースレターNo.57, 日本機械学会

https://www.jsme.or.jp/tld/home/topics/no057/topics4.html(参照日2019年4月3日)

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21.6 荷役運搬機械

21.6.1 概要

 経済産業省の生産動態統計(確報)による,2018年1月~12月の荷役運搬機械運搬機械からエレベータエスカレータを除いた)生産額は,4,468億円(2017年度比17.8%,673億円増)であった.このうち,クレーンは2017年度比1.1%減,巻上機は22.9%増,コンベヤは29.8%増,機械式駐車装置は3.2%減,自動立体倉庫装置は24.2%増である.

一社)日本産業車両協会の調査による,2018年1月~12月のフォークリフト生産台数は12.2万台で,2017年度比7.1%増,輸出を含めた販売台数は7.6%増,国内販売台数は5.5%増の状況である.

 2019年は,人手不足を背景とした合理化・省人化投資などのニーズが引き続き強いことから,企業収益が底堅く推移するなか,堅調な設備投資が続くと考えられる.

〔上田 雄一 (株)ダイフク〕

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21.6.2 物流システム機器

 2017年度の物流システム機器の総売上金額は,2016年度の4625億円から0.1%増の4626億円となった.一方,売上件数も2016年度の137千件から139千件へと増加した(前年度比1.7%増).

 機種別に見ると,自動倉庫が1,144億(前年度比14.8%増),コンベヤが1,083億(前年度比7.2%減),台車関連が801億(前年度比10.9%減),棚が308億(前年度比1.7%増)となっている.

 景気回復の進展により,設備投資意欲は2016年度から継続して高まっているが,総売上金額は横ばいである.一方受注金額が増加傾向にあることを踏まえると,労働力不足による着工や工期の遅れや,受注時にすでにスケジュールの後ろ倒しがなされているものと推察される.さらには,資材調達先もまた労働力不足により生産の遅れが発生し,全体のスケジュールに影響を与えている可能性も考えられる.

 売上金額を領域別に見ると,海外向けは8.9%増加し,クリーンルーム向けも2.1%の増加となった.業種別に見ると「電機・精密機器」に対する売上の比率が依然として高水準となっている.

〔長部 洋介 住友重機械搬送システム(株)〕

参考文献

2017年度 物流システム機器生産出荷統計 【概要版】,
(公社)日本ロジスティクスシステムシステム協会
https://www1.logistics.or.jp/data/manufacture/2017_mh_statistics.pdf

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21.6.3 運搬車両

 2018年の産業車両の国内生産実績は3,614億円(前年比110.1%),うち,主力機種のフォークリフトは2,519億円(前年比109.2%),121,971台(前年比107.1%)で,いずれも2年連続で増加した(表6-1).フォークリフトの生産台数では10年ぶりに12万台を超えたが,その要因としては,国内ではEコマースの増加により大型物流施設の新設が進んでいることや物流現場の労働力不足からパレット荷役化が進んでいることによる需要の増加.輸出向けでも世界市場が各地域とも拡大を続けていることが挙げられる.

 

表6-1 産業車両及びフォークリフト生産実績

産業車両 フォークリフト
生産額(百万円) 生産台数 生産額(百万円)
2014年 363,667 114,705 234,049
2015年 335,813 115,470 233,270
2016年 326,295 109,249 220,402
2017年 328,121 113,932 230,683
2018年 361,424 121,971 251,915

 

 フォークリフトの国内販売では,電池を搭載した電気駆動車の割合が3年連続で全体の6割を超え,水素を燃料とする燃料電池車も国内各地で導入が進んでいる.各メーカーでは,ロボティクス,IoTや次世代電池等の新技術を取り込んだ,物流の効率化,安全向上,環境負荷低減に貢献する信頼性の高い商品やソリューションの開発と提供を引き続き推進している.

 自動で走行・荷役を行うことができる無人搬送車システム(AGVS)も,これまでは製造業向けが多かったが,物流施設等の非製造業分野でも導入が進み,床面への誘導体の設置が不要な,自律移動式の導入も増えている.

〔高瀬 健一郎 一般社団法人日本産業車両協会〕

参考文献

フォークリフト生産・販売統計, 一般社団法人日本産業車両協会

http://www.jiva.or.jp/data.html

無人搬送車システム納入実績, 一般社団法人日本産業車両協会

http://www.jiva.or.jp/pdf/AGV-Stat-2017.pdf

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