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機械工学年鑑2019
-機械工学の最新動向-

1. 一般

章内目次

1.1 工業研究
 1.1.1 研究費,研究者数の動き/1.1.2 国際技術交流(技術貿易)の動き

 


1.1 工業研究

1.1.1 研究費,研究者数の動き

 図1-1に研究費総額と対国内総生産比率を示す.平成29年度の研究費総額は19兆504億(前年度比3.35%増)で,国内総生産に対する比率は3.48%で3年ぶりの増加である.
 図1-2は研究主体別研究費の額と研究費総額に対する割合の年度による変化を示している.平成29年度の研究費総額の72.4%を占める企業等の研究費は前年度比3.6%の増加,研究費総額の8.4%を占める非営利団体・公的機関の研究費は前年度比6.6%の増加,19.1%を占める大学等の研究費は1.0%増となっている.

図1-1 研究費総額とその対国内総生産比率(1)

 

図1-2 研究主体別の研究費と研究費総額に対する割合(1)

 

 図1-3は,自然科学に使用した研究費を基礎研究費,応用研究費,開発研究費に分類した性格別の研究費の額と自然科学に使用した研究費全体に占める割合の年度ごとの変遷を示している.企業等で行われる研究が多いことから,開発研究費が最も多く,平成29年度は11兆2671億円と自然科学に使用した研究費全体の63.8%を占め,基礎研究費は2兆7643億円で15.7%,応用研究費は3兆6201億円で20.5%を占めている.

 図1-4は,第2期科学技術基本計画(平成18年3月28日閣議決定)に定められていた重点推進4分野等の特定目的別の研究費の額を示している.ライフサイエンス分野が3兆1741億円で研究費全体に占める割合が16.7%,情報通信分野が2兆2448億円で11.8%,環境分野が1兆1905億円で6.2%,エネルギー分野が1兆334億円で5.4%,宇宙開発分野が2903億円などとなっている.重点推進4分野では,ナノテクノロジー・材料分野が前年度比7.5%増,環境分野が0.9%増,ライフサイエンス分野が4.7%増,情報通信分野が3.5%増となっている.なお,宇宙開発は前年度比7.4%増,海洋開発は7.9%増である.


図1-3 性格別研究費とその割合(1)

 

図1-4 特定目的別研究費(1)

 

 企業における平成29年度の研究費を産業大分類別にみると,「製造業」が11兆9818億円と研究費全体に占める割合が86.3%と最も多く,次いで「学術研究,専門・技術サービス業」が8817億円,同6.4%,「情報通信業」が6062億円,同4.4%となっている.

 表1-1は,平成29年度の企業における研究費のうち自然科学に使用した研究費を産業大分類別に,研究費総額,基礎研究費,応用研究費,開発研究費に分けて示している.自然科学に使用した研究費は,全産業で前年度比3.6%増,製造業で3.5%増である.製造業の中では「輸送用機械器具製造業」が最も多い3兆646億円,前年度比4.8%増であり,平成29年度に自然科学に使用した研究費総額の23.1%を占めており,その84.0%が開発研究に使われている.

 

表1-1 産業大分類別の自然科学に使用した企業の研究費総額及び比率(1)

 図1-5は,男性研究者と女性研究者の数を示している.平成11年度に7.6万人であった女性研究者の数は,年々増加し,平成30年度には15.1万人になり,まだ割合は少ないものの全研究者の16.2%となっている.

図1-5 男性研究者と女性研究者の数(1)

 

 図1-6は職種別研究関係従業者数の推移を示す.研究者が86.7万人(全体に占める割合80.2%),研究事務その他の関係者が9.1万人(同8.4%),研究補助者が6.6万人(同6.1%),技能者が5.7万人(同5.3%)となっており,前年比で,研究者が1.6%増,技能者が5.9%増,研究事務その他の関係者が2.6%増,研究補助者が3.4%増となっている.

図1-6 職種別研究関係従業者数(1)

1.1.2 国際技術交流(技術貿易)の動き

 図1-7は諸外国との特許,ノウハウなどの技術の提供及び受入れである技術輸出の受取額と技術輸入の支払額を示している.平成29年度の技術輸出の受取額は3兆8844億円で前年度に比べ8.7%増である.技術輸入の支払額は6298億円で前年度に比べて39.1%増である.


図1-7 技術輸出受取額と技術輸入額(1)

 

 図1-8は相手国別の技術輸出の受取額,図1-9は相手国別の技術輸入の支払額を示している.いずれもアメリカ合衆国相手が最も多く,技術輸出の受取額は1兆2779億円で前年度比7.6%減であり,受取額全体に占める割合は32.9%,支払額は3941億円で20.2%増であり,支払額全体に占める割合は63.1%となっている.また,技術輸出の受取額は,子会社などの進出が多い中国とタイが2位と3位を占め,中国が5067億円で前年度比13.7%増,タイが3338億円で10.7%増となっている.技術輸入の支払額は,アメリカ合衆国の他にはドイツ,スイス,イギリス,フランスなどヨーロッパ諸国が多い.特にドイツの技術輸入は前年度比4.6倍となっており,ここ数年と比較しても増加が突出している.


図1-8 国別の技術輸出の受取額(1)-(5)

 

図1-9 国別の技術輸入の支払額(1)-(5)

参考文献

(1)平成30年科学技術研究調査・結果の概要,平成28年12月,総務省

(2)平成29年科学技術研究調査・結果の概要,平成27年12月,総務省

(3)平成28年科学技術研究調査・結果の概要,平成26年12月,総務省

(4)平成27年科学技術研究調査・結果の概要,平成25年12月,総務省

(5)平成26年科学技術研究調査・結果の概要,平成24年12月,総務省

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