日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第70号

鉄道跳開橋「末広橋梁」

 1931(昭和6)年12月に完成した「末広橋梁」は、三重県四日市市にある跳開(ちょうかい)式鉄道可動橋で、四日市港修築工事による第一号埋立地(末広町)と第二号埋立地(千歳町)間の千歳運河に架けられている。本橋梁は5つの桁によって構成される鋼製鉄道橋(単線)で、岸よりの桁が上路プレートガーダー(鋼板や鉄骨等をI字型の断面になるように組み合わせた桁)、岸から2つ目の桁が下路式プレートガーダーとなっている。可動桁の支点は四日市駅側にある。設計・製作は山本卯太郎(山本工務所)が行った。今日まで主にセメントの搬出に用いられてきたほか、中部国際空港建設時には埋め立て用土砂運搬の貨車も数多く通過している。現在(2015年)、JR貨物四日市港線の橋梁として稼働しており、跳開下路式鉄道橋としては現役で唯一の可動橋である。
 全長58m、幅4m、釣合おもり24トン、跳開部桁長18m、跳開部質量48トンの片持梁型橋梁は、普段は跳上状態とし、貨物列車通過時のみ可動桁を降ろす。昇降のための動力は、リンク平衡装置により、可動部橋桁の角度に関係なく一定で、それ以前のものに比して荷重を軽減できる工夫がなされている。
 1998(平成10)年に近代化遺産構造物として重要文化財指定を受けた。貴重な橋梁は、日常的な保守も確実に施され、現在まで使用され続けている。

《写真:日本貨物鉄道株式会社》

外観:公 開
内部:非公開

日本貨物鉄道株式会社
四日市駅構内四日市臨港線

住  所:
三重県四日市市
電話番号:
03-5367-7370
HPアドレス:
http://www.jrfreight.co.jp/
交通機関:
JR四日市駅から徒歩20分

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