日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第45号
幹線用電気機関車ED15形
電気機関車ED15形は、1924(大正13)年に製造された幹線用直流電気機関車である。
この機関車は、日立製作所の創業者、小平浪平(おだいらなみへい)が鉄道省の東海道線の電化計画に伴う事業として、全社の技術力を挙げて設計開発に取り組んだ純国産第1号の貨物・旅客用電気機関車である。電気部品は日立工場(茨城県)で、機械部品は笠戸工場(山口県)で設計・製造された。車両は運転室・機関士席も広く、長さ13.3メートル、重量59トン、最高速度65km/h、直流1500ボルト、主電動機4台による820キロワットの定格出力は当時の輸入機関車に匹敵するパワーを有していた。
この機関車は1924(大正13)年に試運転が行われ、その様子は米国の新聞に紹介されるなど技術の高さが海外でも注目された。その後35年余り、東海道線や中央線で使用され、八王子機関区を最後に1960(昭和35)年に廃車された。この機関車は、3両製作されたうちの唯一の現存車両であり、鉄道の電化に伴い、蒸気機関車に代わる国産電気機関車の原点に位置する。現在まで長年に亘って開発・改良されてきた鉄道輸送における電化技術の上で極めて重要な遺産である。
《写真提供:株式会社日立製作所》
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