日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第5号
10A型ロータリエンジン
1967(昭和42)年5月30日、マツダ株式会社(当時東洋工業株式会社)は、世界初の2ロータロータリエンジン搭載車となるコスモスポーツを発売した。この車に搭載された10A型ロータリエンジン(単室排気量491cc)は、原理的に小型、高出力、低振動という特徴を持つロータリエンジンを世界に先駆けて実用化したものであり、内燃機関の歴史に新しい1ページを開く画期的なものであった。
このエンジンに採用されたアペックスシールは、新開発の高強度カーボン材であるパイログラファイトに特殊な方法でアルミを含浸させて製造したもので、ロータハウジング内面の波状摩耗を防止すると共に、10万km走行でもわずかに摩耗するだけの高い耐久性を実現した。
ハウジング類は全て軽量なアルミ合金製で、サイド吸気ポートと2ステージ4バレル気化器の組み合わせにより、低速から高速まで安定した混合気を形成させ、また、各ロータあたり2本の点火プラグにより効率的な燃焼を実現して、110PS/7,000rpmという高出力を発生させた。
《写真提供:マツダ株式会社》
公開(事前予約)
マツダミュージアム
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