リアルタイムマーカーレスモーションキャプチャによる製造業分野での新しい活用事例

昨今急速に進化し、普及が広がっているマーカーレスモーションキャプチャ（図1）における製造業をはじめとした産業分野への応用において、事例を交えて紹介する。

図1　マーカーレスモーションキャプチャ

マーカーレスかつリアルタイムでのモーションキャプチャシステム概要

マーカーレスモーションキャプチャは、人の動きを計測する際に、従来のように身体にマーカーや専用スーツを装着せずに、カメラ映像をもとに人の動きを解析、および何をしているかを判定できる技術になる。これまでのモーションキャプチャ技術では、マーカーやセンサを身体の各部に貼り付ける必要があったが、マーカーレス技術ではこの手間を省き、カメラで捉えた映像データをAIが骨格推定から解析する。さらにカメラパラーメータの計算により3次元の人の骨格セグメントを演算したり、AIが骨格を最適化し出力したりする技術になる。この技術により、私服や作業着、ユニフォーム姿のまま、簡単に動きの計測が可能となる。計測対象者への負担が少なく、より自然な動作をリアルタイムにデータ化できることは、人の動きのデータ化を行う上で、大きな利点となるだけでなく、利用用途がこれまでのモーションキャプチャとは異なり適用用途が大きく拡がる。

エンターテイメント分野や研究分野、技術伝承、スポーツパフォーマンス評価、リハビリテーション評価に活用するための技術として、これまでは、光学式モーションキャプチャや慣性センサ式モーションキャプチャが選ばれてきた。それぞれの技術的なメリットやデメリットから、マーカーレス技術への期待は大きい。ここで各技術の概要や課題を下記におさらいする。