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2025/3 Vol.128

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特集 応用広がるモーションキャプチャ

モーションキャプチャ技術の医療分野への応用≪応用分野≫

金 承革(常葉大学)

異常姿勢・異常動作の診断・評価

医療分野でのモーションキャプチャの利用は、異常姿勢や異常運動を検出して、動作障害の存在を客観的に示し疾患の診断や動作障害の有無を評価することと、関節運動・生活動作の機能障害の重症度レベルを判定すること、に主眼が置かれていることが多い。関節運動・生活動作を表現するための計測法やパラメータ算出法の技術開発よりも、計測したデータの特性とその特性を抽出する分析方法の方に興味・関心が置かれている。正常基準となる健常者のデータや障害を持つ症例の特性データを表示・蓄積して、それらを分析・重症度分類しておき、症例個々の異常な部位を見つけて障害度を評価し、治療法を選択したり、治療効果(機能改善の有無)を見出したりするための基礎資料とすることが、中心課題となっている。

現在のモーションキャプチャシステムは、複数の赤外線カメラとパソコンから構成される。パソコンには計測状況と動作結果をグラフ表示するソフトウェアがインストールされている。モーションキャプチャシステムを利用して、疾患による動作障害を有する症例の歩行動作を計測し、関節運動あるいは体節姿勢の特性を自動的にレポート表示できるようにした現在のシステムの原型を構築したのは、James R Gage氏とその周辺の関係者・協力者たちであろうと考える(1)~(4)

以下にいくつかの疾患の動作研究の動向を示す。

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