特集 機械と情報通信の双方から考えるサイバーフィジカル融合社会[電子情報通信学会 合同企画]ー サイバーとフィジカルが融合した都市の未来 ー
デジタルツインで加速するスマートシティの社会実装
スマートシティの変遷
ICTなどの新技術や各種データを活用し、生活の質の向上や地域課題の解決、また新たな価値の創出を図るスマートシティの取組みが、近年国内外のさまざまな地域で実践に移されている。「スマートシティ」という言葉は2000年代頃から欧米を中心に使われだした。初期のスマートシティはスマートメーターによるエネルギー効率の向上やスマートパーキングシステムによる交通渋滞の緩和など、特定の分野での「センシング型スマートシティ」のサービスが主であった。これに対して2016年ころから、領域や地域を越えてデータを連携・活用し、さまざまな課題解決を目指す「データ駆動型スマートシティ」の取組みが世界的に行われるようになってきた。
例えばヨーロッパを代表するスマートシティの一つであるリスボンでは、市内各所に設置されたセンサやカメラで得られた200種類以上のデータをAIやIoT技術を活用して収集。これを分析することで、交通渋滞対策やインシデント対応、都市計画など、さまざまな領域の課題解決と効率的な都市運営に繋げている。我が国でもスマートシティを『情報社会にAIやIoTが加わったより生活しやすい社会と定義する「Society 5.0」の先行的な実現の姿』として位置づけ、2017年以降多くのデータ駆動型スマートシティの取組みが推進されてきた。関連府省が連携して進めるスマートシティ関連事業や「スーパーシティ構想」、また「デジタル田園都市国家構想」のもと多くのスマートシティの取組みが進んでいるが、その多くがデータ連携を前提としたものとなっている。
表紙:経年変化してグラデーションに紙焼けをした古紙を材料にコラージュ作品を生み出す作家「余地|yoti」。
古い科学雑誌を素材にして、特集名に着想を受け、つくりおろしています。
デザイン SKG(株)
表紙絵 佐藤 洋美(余地|yoti)