特集 機械と情報通信の双方から考えるサイバーフィジカル融合社会[電子情報通信学会 合同企画]ー サイバーフィジカルシステムの要素技術と産業応用 ー
Society5.0 実現に向けた分野間データ連携基盤(CADDE)の取組み紹介
背景
近年、少子高齢化の進展により日本の生産年齢人口は減少傾向にある。そのため、日本は労働力の不足や国内需要の減少による経済規模の縮小などさまざまな社会的・経済的課題の深刻化に直面している。また、社会経済の発展に伴い、人々のニーズは多様化・高度化している。そのため、人々は従来の画一的な製品・サービスではなく各個人のニーズに合わせたものを求めるようになってきている。
これらの課題や社会の変化に対応すべく、政府は狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな社会の姿として超スマート社会(Society 5.0)を提唱した(1)。この社会では ICT*1やデータの活用によって製品やサービスを人々の個別のニーズに対応させ、それにより人々は年齢、性別、地域、言語といったさまざまな制約を乗り越え、活き活きと快適に暮らせるようになると想定されている。
Society5.0で実現を目指すさまざまなニーズへのきめ細かな対応には、さまざまな分野のデータを収集し、組み合わせ、解析しなくてはならない。しかしこれまで WAGRI*2や都市OS*3などの、分野や地域ごとのデータ連携基盤を構築する取組みは行われてきたものの、それらを横断して連携可能とする仕組みは存在しなかった。そのため、さまざまな分野間のデータを組み合わせるための基盤として、SIP*4にて分野間データ連携基盤(CADDE*5)(2)の開発に取り組んだ。本稿ではCADDEの特徴や構成について解説する。
*1:Information and Communication Technology
*2:農業データ連携基盤
*3:都市に関するさまざまなデータを集積・分析するためのプラットフォーム
*4:Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program.
戦略的イノベーション創造プログラム
*5:Connector Architecture for decentralized Data Ex-change(CADDE は大学共同利用機関法人情報・システム研究機構の登録商標。また、本稿中で使われている固有名詞、システム、製品名は一般に各社の商標または登録商標)
表紙:経年変化してグラデーションに紙焼けをした古紙を材料にコラージュ作品を生み出す作家「余地|yoti」。
古い科学雑誌を素材にして、特集名に着想を受け、つくりおろしています。
デザイン SKG(株)
表紙絵 佐藤 洋美(余地|yoti)