特集 ジョブ型雇用社会の人材育成
ジョブ型雇用社会に向けた職業能力開発の推進
はじめに
昨今、「ジョブ型雇用社会」や「ジョブ型雇用制度」を取り上げた記事が、新聞紙面をにぎわしている。終身雇用や年功序列賃金を特徴とした旧来の日本型雇用制度に対して、ジョブ(職務)に人材を割り当てるジョブ型雇用制度(1)は、特段新しいわけではなく、欧米では極めて一般的な雇用制度である。かつて「Japan as Number One」(2)として持てはやされた日本企業の国際的な競争力や存在感の低下が喧伝される中、リスキリング(学び直し)やリカレント教育に代表されるスキルアップによる成長産業への労働移動の円滑化、グローバル規模による優秀な人材獲得の強化、労働生産性改善に向けた労働者のモチベーション向上といった新たな動きが見られる中で、日本型雇用制度からジョブ型雇用制度への移行は必然かもしれない。
本稿では日本の製造産業の動向を分析するとともに、ジョブ型雇用社会の拡大に伴って職業能力開発が最重要の社会課題になることを指摘する。また、ジョブ型雇用社会に求められる人材像、人材育成において重要な技能伝承について職業能力開発(3)の観点から考察し、効果的と考えられる方策を提示したい。
キーワード:特集 ジョブ型雇用社会の人材育成
表紙:経年変化してグラデーションに紙焼けをした古紙を材料にコラージュ作品を生み出す作家「余地|yoti」。
古い科学雑誌を素材にして、特集名に着想を受け、つくりおろしています。
デザイン SKG(株)
表紙絵 佐藤 洋美(余地|yoti)