会長挨拶
会長新年挨拶 再生と誕生の年に、改革の種子を撒く
会長新年挨拶
2024年度(第102期)会長 山本 誠 (東京理科大学)
新年あけましておめでとうございます。
日本では、昨年10月の衆議院議員総選挙で与党である自由民主党・公明党が15年ぶりに過半数割れとなり、物価高騰が続くとともに、ジョブ型雇用や転職の増加など労働環境の変化が進んでいます。また海外では、11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏の大統領復帰が決まりアメリカ第一主義への政策変更が確実視されるとともに、ウクライナやイスラエルでの戦争は終息の兆しが見えない状況が続いています。このように、国内外ともにやや不安感のある社会情勢となっていますが、我々機械技術者の立ち位置に目を向けてみると、カーボン・ニュートラルやデジタル・トランスフォーメーション(DX)といった重要な技術課題への対応という点では今年も大きな変化はないように思われます。
さて、日本機械学会の現状を簡単に説明させていただきます。コロナ禍で本会の事業規模は30%ほど減少しましたが、昨年度は対面での講演会・講習会・懇親会などが完全復活し、コロナ禍で蓄積したオンライン・スキルも活用することで、本会の事業規模はコロナ禍前の水準にほぼ戻ることができました。参加者減が続いていた年次大会も、講演が1000件超、参加者数が2,200名となり、それぞれ約200件、300名増加し、盛況となりました。愛媛大学はじめ関係各位のご尽力に心より感謝申し上げます。
第102期理事会では、この勢いを止めることなく、本会をさらに発展させ、機械技術の振興と機械技術者の地位向上を目指し、支部や部門の意見も反映させるべく、さまざまな検討を精力的に進めています。具体的には、代表会員選挙を信任投票制とすることによる候補者を推薦しやすく・投票しやすい選挙への変更、これまで学会の表彰制度では陽が当たることの少なかった中小企業や研究職以外の機械技術者を対象とした顕彰制度の創設、技術交流会や機械関連工業会・協会との連携企画の導入などによる年次大会の学生発表会から大人の会への衣替え、情報技術の進歩に伴って機械技術が大きく変化しているにも関わらず20年来更新が行われていなかった機械工学便覧の改訂着手、出版物の電子化やサブスクリプション化による利便性の向上、部門連携の研究や講演会の促進策の検討、学会誌や学術誌の活性化、部門・支部ホームページや講演会登録システムの共通化、講習会・セミナー情報の一元管理などが挙げられます。すべての検討項目が直ちに実現するのは難しいと思いますが(一部の施策は実現済です)、考えられる範囲であらゆる方面に改革の種子を蒔きましたので、無事に成長して豊かな実りが得られることを期待しています。会員の皆様には、今後実施に移されるであろうさまざまな施策へのご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
最後に、本年は巳年ですが、巳(ヘビ)は成長と変化の象徴とされ、ヘビが冬眠から覚めて地上に出てくることから力を蓄えていたものが芽を出す「起点の年」、ヘビが脱皮することから「再生と誕生の年」などと言われ、古くから発展・飛躍が期待される年と信じられています。本年が会員諸氏にとって、また日本機械学会にとって、大いなる飛躍の年となることを祈念して新年の挨拶とさせていただきます。
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