技術のみちのり
アスリートを進化させる競技用車いす
2023年度学会賞(技術)
「Mg合金を用いた競技用ハイパフォーマンス車いすの開発」
長岡技術科学大学・(株)オーエックスエンジニアリング
はじまり
Mg合金は実用金属の中で最も軽い。長岡技術科学大学と(株)オーエックスエンジニアリングは2021年の東京パラリンピック競技大会に向けて、テニス用とバドミントン用のMg合金製超軽量車いすを開発した(図1)。
図1 Mg合金製テニス用車いす(東京パラリンピックモデル)
開発のきっかけは1人の研究者の思いつきだった。長岡技術科学大学の塩野谷はスポーツ工学の専門家だ。彼は障がい者スポーツ用具の開発に携わっていて、以前に、片手で直進走行が可能な競技用車いすをオーエックスエンジニアリングと共同で開発していた。2015年頃、リオデジャネイロパラリンピックの開発プロジェクトを担当していた日本機械学会スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス部門から、この片手駆動競技用車いすを2016年のリオデジャネイロパラリンピック仕様に開発できないかと打診されたが、時間的に難しかった。そこで代わりに提供できるものとして、Mg合金製テニス用車いすの開発を提案したのだ。
キーワード:技術のみちのり