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2024/12 Vol.127

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特集 食の未来

食品産業におけるAI/ ロボットによる自動化と課題惣菜調理補助、盛り付けなどの活用事例

中川 友紀子〔(株)アールティ〕

はじめに

日本では、少子高齢化による深刻な労働力不足が問題となっている。特に食品加工業では、深夜帯での単純作業や、低温、高温多湿といった環境下での労働集約的な作業が多く、若年層の労働力確保がいっそう難しい状況にある。そのため、労働力不足を理由に廃業を余儀なくされる工場や、生産需要があるにもかかわらず生産量を増やせない工場も少なくない。

こうした課題を解決する手段として、食のサプライチェーン全体(生産、加工、流通の各段階)でAIやロボットを用いた自動化技術の導入が進んでいる。中でも、調理補助や盛り付けロボットは作業の効率化だけでなく、労働者の負担軽減や安全性向上に大きく寄与することが期待されている。

技術的には、人工知能(Artificial Intelligence:AI)の進化が急速に進んでおり、大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)の登場に象徴される汎用人工知能(Artificial General Intelligence:AGI)の活用が、ロボット開発の方向性を大きく変えつつある(以下、総称してAI)。ロボットに関してはその形状を問わず、従来の産業用ロボットを活用したシステムに加え、近年では狭い作業空間でも対応可能な人型ロボットにも注目が集まっている。

本稿では、食のサプライチェーンにおけるAI/ロボットによる自動化技術の導入のポイントと、特に人型ロボットを活用した作業工程の事例などを紹介し、今後の可能性と課題について考察する。

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