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2024/11 Vol.127

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特集 建設機械の最新動向

油圧ショベルの自律運転

井村 進也〔日立建機(株)〕

はじめに

建設業においては、生産労働人口の減少や熟練技能者の高齢化を背景として、省人化による生産性の向上が課題となっている。その解決策のひとつとして、自律型建設機械の開発に期待が寄せられている(1)

自律型建設機械には、それまでオペレータが担ってきた、周囲の状況の認識、状況に応じた動作の判断、判断に基づく建設機械の操作、周囲の人に対する動作状況の伝達の機能が必要であり、それらを実現する以下のシステムが必要になる。

(a) センサやカメラなどを用いた認識システム

(b) 状況に応じた動作の判断を行う判断システム

(c) 建設機械を動作させる車体制御システム

(d) 動作状況を周囲の人に知らせる表示システム

ところで、建設機械の中でも油圧ショベルは多様な作業に使われている。例えば、道路や建物を建設するための造成、上下水道の敷設や改修、岩石の採掘、建物の解体、災害時の救助や復旧、農地整備や農作物の収穫、林業における伐倒や集材、リサイクル工場での選別や運搬などに使われている。また、同じような作業でも現場ごとに細かな違いがあり、それぞれの現場のオペレータは異なる状況の認識と判断を行い、油圧ショベルを操作している。そのようなオペレータが操作する油圧ショベルを自律型油圧ショベルに置き換えるためには、現場および作業ごとにカスタマイズされたシステムが必要となる。

自律型油圧ショベルには、上述した(a)(b)(c)(d)のシステムが必要だが、現場および作業ごとにカスタマイズが必要なのは(a)(b)であり、(c)(d)は共通化できる。そこで日立建機は、(c)(d)のシステムをあらかじめ備え、現場および作業ごとに準備する(a)(b)のシステムと接続可能な油圧ショベルZX200A-7とZX330A-7を開発した。以下では、本油圧ショベルの紹介と、本油圧ショベルを用いて行った自律運転の実証試験について紹介する。

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