特集 社会経済活動を支える気象予測技術
気象モデルによる集中豪雨の再現
集中豪雨を気象モデルで再現するということ
集中豪雨のような局地的な現象を気象モデルで再現することの難しさはどこにあるのか?
集中豪雨とは、積乱雲が同じような場所で繰り返し発生・発達することで、全体として数10km~数100km程度の範囲で降水域が広がり、数100mmにも及ぶ大雨が数時間の間で集中する現象のことを言う。集中豪雨では、大雨の範囲が広域に及ぶことから、土砂災害が多発したり、一級河川などの集水域の大きな河川が氾濫したりする可能性が高まる。集中豪雨と対照的に局地豪雨(局地的大雨)という現象があるが、これは短時間で数km~10km程度の局地的な範囲で強い雨が降る現象のことを言い、集中豪雨とは異なる現象である。ここでは、集中豪雨のような組織化した積乱雲群に伴う降水現象に焦点を当てる。
集中豪雨を構成する積乱雲の空間規模は、数km程度のものである。その内部では、数100m~1km程度の空間規模で強い上昇流や強い下降流が生じている(1)。このように積乱雲に伴う運動は、地球規模の大気のスケールからすれば、極めて小さなスケールを持つと言える。そのため、積乱雲を数値モデル(ここでは気象モデル)で表現するためには、それ相応の空間解像度が必要となる。
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