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2024/9 Vol.127

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Myメカライフ

Life is as complicated as a cell is full of molecules.

齋藤 匠(東北大学)

この度は「生細胞の分子交換メカニズム解明に関する研究」と題して日本機械学会奨励賞(研究)を賜り、この執筆の機会をいただきました。

私が在籍していた出口研究室(大阪大学基礎工学研究科)はこれまで細胞の力学適応メカニズムを探る研究を行ってきました。2018年春、博士課程の学生として研究室に入った私は、細胞が力学刺激に適応する動画を観て驚きました。例えば橋や梁など人工構造物は、人が部品を入れ替えない限り朽ちていきます。個々の細胞内にも橋等に似た分子構造物(たんぱく質などが集まってできた複合体)があります(図1)。人為的に部品交換を行う人工物とは対照的に、細胞内構造物は自ら破壊と再構築を繰り返して力学的に適応するのです。この適応力を失うと、細胞はストレスを抑えきれずに炎症や癌化を引き起こしてしまいます(どこか人間にも共通すると思いませんか?)。まさにこの適応力(生き物がさまざまな恒常性を保つこと)こそが生き物らしさの特徴の一つであるといえます。

図1 細胞内構造物

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