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2024/9 Vol.127

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特集 航空機産業およびその関連分野の成長と展望

次世代航空機への複合材料適用と環境配慮設計

鈴木 貴也〔帝人(株)〕

航空機構造材への複合材料の適用

民間航空機に使用される炭素繊維強化複合材料適用事例

近年、航空機の構造材には比重がわずか1.55g/cm³と軽量な炭素繊維強化複合材料(CFRP)が広く採用されている。CFRPは、その軽量性により燃費の向上に大きく貢献し、アルミ合金と比較しても疲労特性や耐食性に優れており、これらの特性により、機体の軽量化、CO2排出量の削減、安全性と快適性の向上など、環境性能の改善に寄与している(表1)。特に民間航空機分野では、自動積層装置(図1)などによる自動化技術の進歩によりCFRPの適用が急速に進んでいる。例えば、ボーイング社の双通路機B787型機は2011年に就航し、機体重量の50%がCFRPで構成されている。また、エアバス社の双通路機A350XWB型機も2016年に就航し、機体重量の52%がCFRPで構成されていることから、軽量化への取組みが活発である。特に、エアバス社では、1985年に就航した単通路機A320の当初から、ラダーやフラップなどの構造材にCFRPが採用され、機体重量の15%がCFRPで構成されている(図2)

表1 金属とCFRPの航空機構造材適用時の特性比較

図1 自動積層装置
(出典: MTorres社HP、参照日2024.6.18)

図2 航空機構造材料 機体別構成割合(1)

今後も、軽量化と低コスト化を目指す中で、金属と複合材料の競合関係は続くと予想され、機能性を有する複合材料の開発は、ますます活発になってくると予想される。

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