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2024/9 Vol.127

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特集 航空機産業およびその関連分野の成長と展望

民間航空機産業の成長と展望

榊 健介〔三菱重工業(株)〕

はじめに

世界および日本の航空機産業は、コロナ禍によって前例のない規模での悪影響を受けた。同時多発テロ(2001年)やSARS(2003年)による航空機需要の一時的な落ち込みがあってもすぐに需要は回復し、成長曲線に乗るというのが従来の実績であるが、コロナ禍は影響の大きさおよび期間ともに従来予想を超えるものであった。一方で、規模感は想定以上ではあったが、回復し再度成長曲線に戻るということについては共通認識であり、実際すでに回復の兆しは見え始めている。

このような状況を踏まえ、本稿では世界、日本、および三菱重工業の民間航空機産業における取組みについて概説する。

航空機産業におけるコロナ禍の影響と今後の展望

航空機需要

航空旅客需要は、1980年代以降コロナ禍まで、長期的な視野で見ると平均年率約4~5%で成長を続けてきた実績がある。2001年の同時多発テロ、2003年のSARSおよびイラク戦争、2008年からの米国および欧州の経済・金融危機などの影響を受け、一時的には旅客輸送量が減少した。しかしながら、そういった外部影響が落ち着いたあとには、成長を再開し成長曲線に復帰する傾向がある。今回のコロナ禍は前例のない規模での需要低迷であり、回復までの期間も長期化しているが、さらに長い期間で考えれば、成長曲線を描くことが予想されている(図1)

 

図1 航空旅客需要予測(1)(出典:JADC)

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