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2024/9 Vol.127

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特集 航空機産業およびその関連分野の成長と展望

「航空機産業戦略」と今後の政策の方向性

呉村 益生・岩永 健太郎(経済産業省)

はじめに

我が国の航空機産業は、防衛航空機分野の事業を通じて、航空機の開発・製造に必要な技術を獲得、向上してきた。この間、民間航空機分野については、戦後初の国産旅客機YS-11の開発のあと、主として、1980年以降の機体構造、航空機エンジンの国際共同開発への参加を通じて、その事業規模を拡大してきた。2008年以降、半世紀ぶりの完成旅客機開発がはじまり、経済産業省(以下、「経産省」)としても2014年に航空機産業戦略を策定し、完成機事業を軸とした成長および国際共同開発への参画による成長基盤の確保の観点から取組みを推進してきた。

一方で、国際民間航空機関(ICAO)における2050年カーボンニュートラル達成の目標合意、デジタル技術活用の進展、サプライチェーンリスクの顕在化、スタートアップによる新たな市場創出に向けた動きの加速など航空機産業を取り巻く環境が近年大きく変容する中、完成旅客機開発の中止や国際共同開発案件の不透明化などにより我が国の航空機産業の成長の指針がしばらく見失われていた。

そのため、今後の成長に向けた官民の共通認識の形成を政策的な重点とし、2023年度に航空機宇宙産業小委員会(以下、「小委員会」)を開催し、1年をかけた議論を経て本年4月に「航空機産業戦略」を新たに策定した。

この戦略を下敷きに、具体の取組みを産学官で議論・推進しいてくことが重要であるとの考えのもと、その概要と経産省の今後の政策の方向性について紹介する。

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