絶滅危惧科目-基盤技術維持のための再考ー
第8回 機械の未来を創る『機構学』教育
機構学の歴史と概要
機構学は古くて新しい学問
ホモ・サピエンスがすでに道具を使用していたことを考慮すると、機構の歴史は有史以前に遡ると思われる。その後、人々の生活の中で大工や鍛冶屋などの職人たちによってさまざまな機構が発明・工夫されてきた。有名な技術者・発明家として、古代ギリシャのアルキメデスやルネサンス時代のレオナルド・ダ・ヴィンチらが多くのスケッチを残している。近代では18世紀にジェームス・ワットが蒸気機関を完成、19世紀にフランツ・ルーローが機構学(kinematics of mechanism)という新たな学問領域を確立し、現代に至っている。以上から、機構自体は古くから存在するが、学問的には比較的新しいと言える。学術団体としてInternational Federation for the Promotion of Mechanism and Machine Science(IFToMM)が世界各国に支部を持ち(日本ではJapanese Council of IFToMM)、4つの常設委員会(PC)と14の技術委員会(TC)が設立され、世界大会をはじめ国際会議やシンポジウムなどを通じて機械・メカニズム分野における理論的・実験的手法による研究開発とその実用化を積極的に推進している。
キーワード:絶滅危惧科目-基盤技術維持のための再考ー