特集 2024年度年次大会
自動運転に関する分野横断型研究会企画
F181 機械のサイバーセキュリティ~基礎と応用~
9/9 13:00-16:00
背景や位置づけ・社会ニーズ
本セッションは、「自動運転に関する分野横断型研究会」と電子情報通信学会とのジョイントフォーラムである。「自動運転に関する分野横断型研究会」は、2014年に発足した研究会で、日本機械学会の13部門の有志で構成されている研究会で、タイトル通り主に分野横断的な活動を行っている。
サイバーセキュリティは、自動運転では重要な研究分野であるが、社会一般でも極めて重要な分野となりつつある。最近では、電力系統のセキュリティ攻撃が起きている。(2024年5月太陽光発電システムにサイバー攻撃―中国ハッカーが機器800台を乗っ取り、身元隠し不正送金に悪用)他にも、核燃料濃縮プラントのセキュリティ攻撃、製鉄所に対するサイバー攻撃、「安全計装システム」を狙ったサイバー攻撃、自動車メーカーを標的としたサイバー攻撃などにより実害が出ている。しかし、日本機械学会では、不慣れな分野であるため、電子情報通信学会の助けを得て開催している。
以下、サイバー攻撃事例を挙げておく。
•インフラ 駐車管理システム、LEDディスプレイ制御システム
•制御システム ソリッドステートレコーダ、インターネット接続モジュール、センサ監視装置、ビル制御システム
•家庭・個人向け Webカメラ、ビデオレコーダ、ホームオートメーションGW、太陽光発電管理システム、電力需要監視システム
•その他 ヒートポンプ、火災報知システム、ディスク型記憶装置、医療機器(MRI)、指紋スキャナ
最近の講習会事例
年次大会を利用して、毎年一回サイバーセキュリティに関するジョイントフォーラムを開催しているが、それでは不十分なので、講習会も実施している。2022年に2日間開催した講習会の内容を掲載しておく。
第1回概要:
1.「ネットワークセキュリティ入門とスマートシティ時代のセキュリティ」
2.「産業制御システムにおけるサイバーセキュリティ」
3.「新エネルギーサービス実現のためのセキュリティ」
4.「工場セキュリティの現状とその取り組み」
5.パネルディスカッション「脅威に対してどう対処すれば良いのか?」
6.「連合機械学習によるプライベートデータの機械学習活用」
7.「ICTシステムのセキュリティマネジメントと自動化の取り組み」
8.「自動運転・コネクテッド車のサイバーセキュリティ動向」
第2回概要:
1.「IoTにおけるサイバーセキュリティの現状」
2 「制御からみたサイバーセキュリティ~難しいこと簡単なこと」
3.「ブロックチェーンの可能性とセキュリティ」
4.「自動車分野におけるサイバーセキュリティの展開」
5.パネルディスカッション「脅威に対してどう対処すれば良いのか?」
6.「産業システムのセキュリティとセーフティの両立」
7.「ブロックチェーンによるIoTデータの正真性担保」
8.「移動体通信事業におけるセキュリティ」
2022年の講習会は、参加者が25名と少なかったが、2024年は、年次大会の参加者の動向を見極めてから次の講習会を開催するかどうか決定しようと考えている。
F184 ディープラーニングと機械~基礎と応用~
9/11 9:00-12:00
背景や位置づけ・社会ニーズ
本セッションは、「自動運転に関する分野横断型研究会」と日本ディープラーニング協会とのジョイントフォーラムである。ディープラーニング技術は、自動運転では重要な研究分野であるが、社会一般でも極めて重要な分野となりつつある。しかし、日本機械学会では、不慣れな分野であるため、日本ディープラーニング協会の助けを得て開催することができた。日本ディープラーニング協会は、日本の産業競争力を向上するために日本機械学会に協力すると聞いている。
ディープラーニングは、現時点で最も発展が期待されている技術である。ディープラーニング向けのGPU(AIチップ)の開発元であるNVIDIAの株価が急騰し、時価総額がアップルに続く3位(2024年5月時点)となっていたり、日本政府の進める「新しい資本主義」のコアな技術となっていたりすることから社会のディープラーニングへの期待の大きさが分かる。年次大会において聴講者が100名くらいで立ち見がでるほど人気なフォーラムである。
最近の講習会事例
年次大会を利用して、毎年一回ディープラーニングに関するジョイントフォーラムを開催しているが、それでは不十分なので、講習会も実施している。2024年に開催した講習会(1)の内容を掲載しておく。
2024年「ディープラーニングと機械 ~ 基礎と応用 ~」
趣旨:ディープラーニング技術は、今後の日本の産業競争力の中心となる技術として、脚光を浴びています。政府も新しい資本主義として強力に推進しています。
機械に眼と頭脳および神経が加わることで、従来とは全く異なる自律で認知、判断、操作をする機械が出現してきました。新しい自律機械は社会全体に革命を起こそうとしています。機械は日本が得意とするところですが、眼、頭脳、神経の分野では国際的に激しい競争が起きています。革命の中で優位に立つには、機械、眼、頭脳及び神経を融合させる技術が重要になってきます。機械という重さを持つ厄介なものにうまく自律機能を付加するには、他の分野の技術者だけでは無理で、機械技術者が自身で眼と頭脳および神経を付加しないとうまく行かないと考えています。眼と頭脳の技術としてディープラーニング(特徴表現学習―主成分分析)が注目されています。安価な並列処理デバイスによりデータ処理が飛躍的に高速化され、ディープラーニングが実用化されつつあります。
1.「大規模言語モデルによる常識推論とロボットでの活用」
2.「深層学習型AIに対する品質・安全性のエンジニアリング」
3.「Beyond XAI:人と共に進化するAI」
4.「ディープラーニング活用によるドローンリモートシステム」
5.「ロボットの動作学習 ―注目情報、タイミング、動作速度などのコツを獲得―」
6.「自動車の環境認識に使われるディープラーニング」
2024年は、年次大会の参加者の動向を見極めてから次の講習会(実習)を開催するかどうか決定しようと考えている。
F183 CASEを支えるコネクテッド・マシン技術
9/10 13:00-15:00
背景や位置づけ・社会ニーズ
本セッションは、「自動運転に関する分野横断型研究会」と電子情報通信学会とのジョイントフォーラムである。通信技術は、自動運転では極めて重要な研究分野であるが、自動運転以外の機械においても重要な分野となりつつある。しかし、日本機械学会では、不慣れな分野であるため、電子情報通信学会の助けを借りて開催することができた。概して聴講者が少なめではあるが、今回のフォーラムをきっかけに通信技術への知見を増やして頂きたい。
最近の講習会事例
年次大会を利用して、毎年一回通信技術に関するジョイントフォーラムを開催しているが、それでは不十分なので、講習会も実施している。2021年に開催した講習会(2)の内容を掲載しておく。
2021年「つながる機械 ~ 機械と通信の融合 ~」
趣旨
機械に眼(センサ)と頭脳(コンピュータ)、そして神経(通信)が加わることで、従来とは全く異なる自律で認知、判断、操作をする機械が出現してきました。新しい自律機械は社会全体に革命を起こそうとしています。機械は日本が得意とするところですが、眼、頭脳、神経の分野では国際的に激しい競争が起きています。革命の中で優位に立つには、機械、眼、頭脳及び神経を融合させる技術が重要になってきます。機械という重さを持つ厄介なものにうまく自律機能を付加するには、他の分野の技術者だけでは無理で、機械技術者が自身で眼と頭脳および神経を付加しないとうまく行かないと考えています。
本企画は日本機械学会と電子情報通信学会による合同企画であり、通信の基礎および各種機械と通信とのかかわり方を詳しく教えます。神経(通信)では、5G技術による高速化・大容量化が進んでいます。今後の機械に必要な通信技術について考える機会を提供します。
1.移動通信システムの概要と信号処理の基礎
2.5Gの高度化と6G
3.移動通信とゼロトラストネットワーク・セキュリティ
4.自動車サイバーセキュリティに関する動向
5.機械と通信の融合による列車制御の革新
6.スマートドローンで広がる目視外自律飛行の世界
7.モバイルロボットと工場の自動化
また、2022年に開催した講習会(3)の内容を掲載する。
1.「移動通信システムの物理層の基礎理論」
2.「Beyond 5G/6Gに向けたNICTのビジョンと取り組み」
3.「V2Xに代表される産業分野のユースケースに関する3GPPの標準化動向」
4.「協調型自動運転の社会実装への取り組み」
5.「通信が変えてきた列車制御の世界」
6.「UAS通信アーキテクチャと耐空性セキュリティ」
7.「自動運航船実現に向けた通信システムの検討」
2024年は、年次大会の参加者の動向を見極めてから次の講習会を開催するかどうか決定しようと考えている。
F185 人間に代わる機械~横断的観点から~
9/11 13:00-16:00
背景や位置づけ・社会ニーズ
本セッションは、「自動運転に関する分野横断型研究会」と日本ロボット学会とのジョイントフォーラムである。本セッションは、「自動運転に関する分野横断型研究会」と日本ロボット学会とのジョイントフォーラムである。「自動運転に関する分野横断型研究会」は、2014年に発足した研究会で、日本機械学会の13部門の有志で構成されている研究会で、タイトル通り主に分野横断的な活動を行っている。
自動運転の意味を考えると人間の代わりとなる機械であると考えられる。したがって、自動運転を一般化するために日本ロボット学会の助けを借りて広く自動運転の派生分野を考えてみることが、本セッションの趣旨である。
最近の年次大会事例
年次大会を利用して、毎年一回人間に代わる機械のジョイントフォーラムを開催している。2021-2023年に開催したジョイントフォーラムの内容を掲載しておく。
2021年
・ 倉庫作業自動化における機械の知能化
・ 拡張する映像認識AI:行動分析技術 Actlyze
・ 見て,考えて,動く CPS時代の知能化ロボット
・自動運転技術を用いた高度運転支援システム “Teammate Advanced Drive”の開発
2022年
・ 自動運転自動車の信号認識による交差点進入技術の現状と課題
・ 交通システムにおける自動運転の可能性とメリット―鉄軌道を中心に
・ 自動運転車の社会的影響と実装への道
・ Maritime RobotX Challengeに向けた自律航行船の開発
・ 自動運転を当たり前にする: CuboRex流社会実装手法
2023年
・ 人間と交代勤務するロボットに必要な技術
・ 自律型移動マニピュレータの産業応用
・ 物流・倉庫業における自動化に抜けた取組
・ 自動車製造業におけるフレキシブル生産を支える部品物流
2024年
・ 人とロボットの協働作業で広がる生産システム工学の世界
・ 船舶用状況認識システムに求められる機能と開発動向
・ ロボット連携ネットワークによる多種多様なサービスアプリケーション
・ 人型重機の社会実装に向けての取り組み -技術開発、ビジネスモデルから社会実装まで
年次大会の参加者の動向を見極めてから人間に代わる機械の講習会を開催するかどうか決定しようと考えている。
参考文献
(1) 日本機械学会講習会「ディープラーニングと機械 ~ 基礎と応用 ~」 https://www.jsme.or.jp/event/24-39/
(2) 日本機械学会講習会「つながる機械 ~ 機械と通信の融合 ~」 https://www.jsme.or.jp/event/21-42/
(3) 日本機械学会講習会「つながる機械 ~ 機械と通信の融合 ~」 https://www.jsme.or.jp/event/22-92/
高田 博
キーワード:特集 2024年度年次大会