特集 2024年度年次大会
持続可能な地域社会のためのものづくり高付加価値化とGX を進める技術・取り組み・人材育成・仲間づくり
S401 9/9 口頭発表 9:00-11:55/15:00-17:00、9/10 口頭発表9:00-12:25
OS主旨:地域社会のものづくり高付加価値化とGX
我が国の持続可能な発展の実現には、地域産業の成長が欠かすことができない。そのためには、機械工学に立脚したものづくりの高度化・高付加価値化、教育・人材育成が重要である。STEM/STEAMというコンセプトが一般化しつつあるが、学問的な活動を示す工学(Engineering)とその成果物である技術(Technology)の両方を重視する意図が伺える。「ものづくり」技術の「改善」の観点に比重が置かれた従来型の取り組みに加えて、「工学」の本質である「設計」して「製造」するプロセスの刷新が産業の高度化・高付加価値化をもたらすと考える。設計の起点は人間と社会に対する深い理解であり、目的の実現に必要な技術を加えた人材育成が必要とされる。
世界的な課題である脱炭素化の実現には、必要となる製品開発と設計を含むものづくり高度化・高付加価値化で脱炭素と経済成長の両立、すなわちGXを進めることが求められる。
我が国の産業を支えてきた地域社会は少子高齢化、企業後継者不足などの大きな課題を抱えているが、一方で現在も競争力を持っている産業や地域固有の資源などの、持続的な成長のポテンシャルを有している。図1の再生可能エネルギー電力量ポテンシャル地域分布(1)(2)によると、首都圏等の人口密集地域以外では再生可能エネルギーによる電力の自給自足を可能にし、更に再生可能エネルギーを活用した新産業創生のポテンシャルを持っている。これによって、人口密集地から人口を呼び戻すことも夢ではないと思われる。
図1 再生可能エネルギー電力量ポテンシャル分布(1)(2)
本セッションは、これらの課題と動向に広く関連する技術と教育、仲間づくりに関する研究発表と取り組みの講演を行い、参加者との質疑・討論を行う。今回のセッションでも、これまでと同様に企業経営者を含む企業側の講演が多い。更に企画に加わっていただいた経営情報学会会員にも講演いただく。
OS「S401」のこれまでの経緯と今回の概要紹介
本OSは2019年度年次大会(秋田)の理事会企画OS「S401 少子高齢化社会を支えるテクノロジーの提案」で、「個人と社会の目的を意識したものづくりと機械工学に立脚した設計高度化」に関する産学連携研究会(会場の帝京大学最寄駅名から「十条の会」と略称)のメンバーが連名で講演(1)(3)を行ったことが発端になっている。2021年度年次大会(千葉)では研究会のメンバーがオーガナイザーとなって、「S401 地域産業振興の視点からの新産業革命と機械工学の役割(講演数18)」を実施した。これ以降、2022年度(富山)では「地域産業の持続的な成長の基盤となる技術と教育(JSCOSと共同企画 講演数19)」、2023年度(東京)では「持続可能な地域社会を支える多様性を活かしたものづくり、技術、共育(JSCOSと共同企画 講演数17)」とOSを継続している。今回の以下のOSに、是非多くの皆様に参加していただきたい。
2024年度年次大会(松山) 理事会企画OS S401 経営情報学会との連携企画(講演数32件)
9月9日(月)9:00–17:00 S401-1,2パネル討論 S401-3
9月10日(火)9:00–12:25 S401-4,5
オーガナイザー
田沼唯士(帝京大)、榊 純一(秋田大)、小沢喜仁(福島大)、島村佳伸(静岡大)、小浦方 格(新潟大)、中垣 亮(日立製作所)、風尾幸彦(日本機械学会)、鈴村美代子(昭和女子大)、寺島 修(富山県立大)、武田正利(電通総研)、野間 毅(東芝プラントシステム)、佐々木直哉(産総研/立命館大学)、壹岐典彦(産総研)
参考文献
(1) 田沼唯士, 榊純一, 鈴村美代子, 羽山信宏, 武田正利, 吉田夕貴夫, 少子高齢化社会を支えるものづくり生産性向上技術と教育の提案, 日本機械学会2019年度年次大会 講演論文集 (2019),No.S40107.
(2) 主要再生可能エネルギーの都道府県別ポテンシャル分布と発電所建設コスト低減,(国研)科学技術振興機構低炭素社会戦略センター, LCS-FY2017-PP-06, 2018年1月, https://www.jst.go.jp/lcs/proposals/fy2017-pp-06.html(参照日2024年6月9日).
(3) 榊純一, 田沼唯士, 鈴村美代子, 羽山信宏, 武田正利, 吉田夕貴夫, 少子高齢化社会を支える機械系ものづくり産業振興の試案, 日本機械学会2019年度年次大会 講演論文集 (2019), No.S40106.
田沼 唯士
◎帝京大学
キーワード:特集 2024年度年次大会