技術者こそコミュニケーション力を磨け!
第6回 面接や設計審査で必須の「3秒ルール」
はじめに
筆者が、かねてから悩んでいることが二つある。
その一つ目は、設計コンサルタントとして、徹底した競合機分析から「競合機潰し屋」として名を馳せる当事務所ではあるが、ときたま、憂鬱になるときがある。それは、高校や大学での同窓会、その近況報告である。進学校ゆえ、仲間たちの開発秘話は現在でも活躍の話に華が咲く。
ここで恐怖の「順番」が来る。「次は國井君、よろしく」と。いつもの私は「えーと」で始まり、少し沈黙してから「元気です!」で終了。あれを潰した、これも潰したなどとは言えるはずもない。なぜなら、その商品の開発責任者が隣席にいるからである。
もう一つの悩みは、クライアント企業での設計審査とセミナー講師のときである。どうしても、若手技術者に質問しなくてならない。例えば、「ハマダさん、その軸受を選んだ根拠は?」と質問すると、長い、長~い沈黙。「それでは次の人」とは言えない。なぜなら一生懸命に思考中であろうから失礼にあたる。
ここから沈黙合戦の我慢比べが始まる。結局、気の短い江戸っ子オジサンの私が折れて口を開く。「すみません。私はどうしたらよいですか? 待っていればいいですか?」と。ここまで来てやっと彼は口を開く。「わかりません!」と。
私は心の中で叫ぶ。「もっと早く言えよ!」と、ますます、短気な江戸っ子オジサンになっていくのである。
さて、図1に示すように、今回の第6回では、「技術者向けコミュニケーション7つ道具」の存在と、そのうちの一道具として「3秒ルール」を伝授する。
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