会長挨拶
会長退任のご挨拶
今期を振り返って
2023年度(第101期)会長 伊藤 宏幸
コロナ感染拡大も終息に向かう中、企画段階から制約条件のない対面イベントも復活し、一方で、オンラインを活用して効率的に会議や講習会を実施するなど、学会運営の新スタンダードが定着しました。代表会員会、理事会、部門協議会、支部協議会、さらに部門における運営委員会、支部における商議員会、幹事会、また、各種委員会/WGにおいて(再)活性化に向けた議論が進んでいることも、望ましい姿と認識されるところです。
さて、第101期(2023年度)は、次の3点の運営方針を、「不易流行の精神のもと、現在そして未来の社会に貢献する学会へ」を推進すべく取り組んできました。
1 本会のブランド価値と機械工学関係者の社会的地位の更なる向上
2 新部門制の本実施スタートによる部門間連携の強化
3 財政の健全化と本会の価値向上に向けた事業投資の具体化
我が国の研究開発費は、製造業を中心とする主要企業における研究開発費が大きな割合を占めており、売上高研究費比率は諸外国と比較して高くないものの、円安基調で拡大の兆しを見せています。また、国内の大学に対する拠出も増加傾向にあります。一方で、大学の博士人材等高度人材を輩出する機能は横ばいであり、産業界における研究者の処遇も向上しない実態があります。業種に依存しますが、研究開発費と売上高が正の相関にあることは明らかにされており、本会の最大の課題である企業所属会員数の減少に対して、こうしたマクロな視点からの方策が練られることも期待されます。
ブランド価値向上と機械工学関係者の社会的地位向上に向けて、学術誌、機械遺産、若手の会、LAJ、JSME-IU、技術者継続教育、機械の日、機械週間などの諸活動における課題を抽出し、見直し・強化を図りました。
新部門制の下で、様々な部門間連携が試行されています。多様な専門性を有する会員による新たな分野創生や社会的課題解決への取り組みが具体化され、盛んに情報発信をすることで、本会の存在意義が広く社会に浸透するものと考えています。会員メリットを追究することも必要ですが、学会の在り方としては、サービスプロバイダとレシーバが分離存在した上での対価を媒介とする価値交換ではなく、理想論ではありますが、できる限り全ての会員による互恵的で持続的な関係性を目指すべきと思料します。新たに2024年度から分科会・研究会の見直しが始まります。部門および支部の個別状況を踏まえた施策を立てるためにも、理事会との情報交換を一層密にする必要があり、部門主体で実施されている国際的な活動についても、会長・筆頭副会長、副会長が、支援要請に対し積極的に応える姿勢が望まれます。
財政の健全化と価値向上に向けた事業投資の具体化については、経営企画委員会にて、想定されるリスクへの対応も含めた議論が進み、具体的には、年次大会の活性化、情報の事業化、個人ポータル機能の導入、機械工学振興事業資金の検討・見直しに進捗がありました。
任期中、多くの場面で本会に対する期待を拝受する機会がありました。現在そして未来の社会に貢献する学会を実現すべく、会員の皆様の一層のご理解ご協力を賜れば幸いです。
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