絶滅危惧科目-基盤技術維持のための再考ー
第3回 流体機械の重要性とその教育
産業、社会を支える流体機械
その重要性と流体機械教育の意義
流体のエネルギーを機械的エネルギーに変換する流体機械である風車や水車は、温室効果ガスを排出しない原動機として発電設備に用いられ、今後ますます重要になることは言うまでもない。機械的エネルギーを流体のエネルギーに変換する被動機としての流体機械であるポンプは、上下水道、発電プラント、海水淡水化プラント、灌漑用、洪水対策用など、さまざまなところで用いられ、目立ちはしないが社会を支える心臓といえる。工場の心臓と例えられるコンプレッサをはじめ、ファン、ブロアといった気体機械としての流体機械の重要性もしかりである。このように流体機械は、産業、社会を支える基盤技術であり永遠に不滅である。
図1をご覧いただきたい。ポンプとコンプレッサ・ファンを駆動する電動機の消費電力量が、日本全体の年間消費電力量約1兆kWhの46%を占めることがわかる(1)。したがって、流体機械本体の高効率化、最適な機種選定、運転の適正化などによって消費電力量を下げれば、非常に大きな省エネルギー、CO2削減につながる(2)。流体機械の特性をよく理解して適切に運用することで、地球温暖化対策に大きく貢献できるわけである。
キーワード:絶滅危惧科目-基盤技術維持のための再考ー