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2024/2 Vol.127

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特集 木材利用に関する展望

Port Plus 大林組横浜研修所

堀池 隆弥・太田 真理〔(株)大林組〕

日本初の高層純木造建築を都市につくる

はじめに

近年の世界規模な異常気象の発生、それらに関連する大規模な自然災害の増加など、気候変動による多くの問題は、世界的な課題となっている。日本では、2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量の実質ゼロ)の実現、2030年の温室効果ガス46%削減といった目標が掲げられている。

当社では、中長期ビジョンの「Obayashi Sustainability Vision 2050」に掲げた“地球・社会・人のサステナビリティの実現”を目指し、建築におけるカーボンニュートラルに取り組んでいる。その一つが建築の木造化である。日本国土の約7割を占める森林は、温室効果ガス(CO2)を吸収するだけでなく、国土の保全、水源の涵養、木材の生産などの多面的な機能を有している資源である。

しかしながら、日本では戦後の木材使用量の低下が森林の高齢化を引き起こし、「使う→植える→育てる」という森林循環が危ぶまれている。それらを再び活性化するために建築における木材利用促進が求められている。建築の木造化は、森林のCO2吸収、固定に加え、建材として使用した木材の再利用や、最終的に燃料としてエネルギー利用するまでに木材の寿命を延ばすことができ、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献する。

今回、Port Plus 大林組横浜研修所(図1)は、炭素固定量、CO2削減量を増やし、カーボンニュートラルに寄与する木造建築を目指し、地上部の構造部材(柱・梁・床・壁・屋根)をすべて木造とする日本初の高層純木造耐火建築物に取り組んだ。


図1 Port Plus 大林組 横浜研修所 外観南面(写真提供:(株)エスエス 走出直道)

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